シン・エヴァ論・論

アメリカ人から電話。レンタカーの話かと思いきや
「あのさ、昔に貸してくれたDVDでさ、100円でなんかご飯食べるストップモーションの変なビデオ、あれ、タイトルなんだった?」
と急に聞かれて全然わからない。


「ほら~!あの変なやつだよ!」
こう言っては何だけど、俺の持ってるDVDは全部変だと思うんだよ…
100円というのはわからんが、俺の持ってるストップモーションのDVDでヤン・シュバンクマイエルかな?

「え?やん?シュワンクマイヤー?」
いや…ごめん、名前のホントの発音全然わからんけど、チェコスロバキア、東ヨーロッパの監督で、ヤンだから多分JANかな。
…あ、そういや飯食うシリーズあったな!


Jan Švankmajer - Breakfast (Food 1992).

これか?
「そう!コレだ!」
全然100円じゃないよ…そもそも何だったんだろう。

 

 

という話はいいとして、エバおじさんの何が面白いかといえば、エバ見てあれこれキャッキャ話すのが楽しくてしょうがない。

 

俺がシン・エヴァを劇場で見てからの、見た順のシン・エヴァ解説動画

 

岡田斗司夫


シン・エヴァ完全解説〜ネタバレなし&有りのダブル解説〜観る前と観た後で10倍面白くなります! 岡田斗司夫ゼミ#386(2021.3.14) / OTAKING Seminar #386

この人の、いつもの上から目線の解説。
ここでハタと気づかされたのが、13号機登場シーンの変なポーズ…あれってカオル君の登場シーンのポーズと同じだとの指摘。

クソッ、なんで俺ぁ気が付かなかったんだ!と肩を落とす。

 

■ライムスター宇多丸コンバットREC


宇多丸さん vs コンバットrecさん シン・エヴァ鎮魂談話前半ネタバレ

俺が楽しみにしてたライムスターの感想だったが、むしろコンバットRECのコメントにビリビリきた。
エヴァという作品を見たいんじゃない、庵野監督の作品を見たいんだ!」
確かにそうだ。
旧劇場版からの怨念?が積もりに積もった俺みたいな客層は、確かにエヴァがどうとかじゃなくて庵野秀明が何考えてるかが知りたいから見てるのは間違いない。

 

この話で俺がふと思い出したのは、宮崎駿風立ちぬ
この映画…映画としては面白く無いと俺は思ってるんだけど、これも劇場で見てちょっと涙が出た。
なんでか、といえば、宮崎駿の半生、まさしく生き様を「風立ちぬ」から読み取ったから。

 

宮崎駿はマジで学生運動してたサヨクで、戦争大嫌いなんだけど、兵器が死ぬほど好きなミリオタという矛盾。
・自身がロリコンでアニオタのくせに他人のロリコンでアニオタ連中が大嫌いという矛盾。
・結婚して子供ができたけども全然家に帰らなくて、その息子=吾郎は母親から「こんな父親になってはいけない」とずっと言われ続けた結果、なぜか息子がゲド戦記を撮ってしまったという矛盾。
・その息子がつくったゲド戦記は駿の単に劣化コピーだったというのに興行的に大成功という矛盾。
・「となりのトトロ」がずっとDVD化されなかった理由は、子供は外で遊ぶものであって、DVDなんか出したら家の中にこもってしまうじゃないか!と本気でスタッフに怒ってたから、という矛盾。

 

そーいう矛盾を抱えまくった本人の行きついた先に「風立ちぬ」ができたという経緯、その映画の中味も、家族省みずに最強の殺戮兵器をルンルンで楽しくつくってしまうけど、結果として敵味方死にまくる(その場面は一切描かない)…

つまり、たとえ嫁子供が遠くで死んでても俺はアニメ映画つくるの楽しくてしょうがないんだよ、できたアニメで子供は暗い家の中で閉じこもってテレビ見てて、ロリコンオタクも大量生産されちゃってもアニメ映画つくるの楽しくてしょうがないんだよ俺は!的な、いわば映画監督としての業(ごう)を感じて、俺ぁ涙がでたのである。

 

なので、そんな宮崎駿の人となりをまったく知らない人が見たら、多分、「風立ちぬ」は面白いとは思えない。

 

エヴァの映画もそーで、新劇場版だけ見てる人は意味が分からないと思う。
コンバットRECが言うように、エヴァンゲリオン庵野秀明私小説、という解釈をしてるかしてないかが、この映画が面白いかどーかの分かれ目だ。

 

なので、庵野秀明に興味ない人は多分、シン・エヴァは"意味わかんない"だけだと思うし、それで別に間違ってるようにも思えない。実際、意味わからんシーンは山盛りあるし。

そこで、この、コンバットRECのいう
こんだけ庵野監督が苦しむなら、エヴァなんて無ければよかったんだ!
というワケのわからないセリフが最高に面白かった。

 

■マクガイヤー

www.youtube.com

楽しみにしてたマクガイヤー、期待以上の解説にショックを受ける。

シン・エヴァでは前半、クソ田舎で田植えしたりの農業パートがある。しかも結構長い。そもそもエヴァ、いや庵野秀明といえば都会の絵、電柱・電線だろ!ぐらいにしか思ってなかったので、ワケが分からん…これがエヴァか…と思ってたんだけども、マクガイヤーに言われてハタと気が付いた。

 

エヴァTVシリーズからずっと主人公の心象風景パートは、古い電車である。
シン・エヴァで、その田舎は古い電車の車庫、終着駅となっており、そこででっかいターンテーブルで電車が180度方向が入れ替わる装置が描かれる…つまり、ここの場所からエヴァの物語は折り返し地点・180度変わりますよ!という宣言だよ!と言われて激しくショックを受ける(笑)

 

その農業パートで、貴重な食料を出されたが手を付けない主人公に向かって「出された食い物を残すな!」と説教する知らないオジサンがでてくる。こんな人物…常識というか礼儀を教えるまっとうな大人…は、これまでエヴァに登場してこなかった。こういう普通の大人を通じて、さらに昔の登場人物が皆常識を持った大人として登場することで、いわゆるセカイ系="全ての世界は自分だけ周囲2m程度に閉じてる"という話は、否が応でも他者と泥臭く生きていかなきゃならないんだ、エヴァからはじまったセカイ系はこれで終わり!超えていくのだという宣言だ!と言われて激しくショックを受ける(2回目)

 

そもそも庵野監督は超偏食家である。
庵野秀明の嫁、安野モヨコのマンガ「監督不行届」

監督不行届 (FEEL COMICS)

監督不行届 (FEEL COMICS)

 

このマンガに偏食の様子が描かれているが、肉魚駄目で、サッポロポテトバーベキュー味が主食だそうである。

 

マクガイヤーいわく、安野モヨコと結婚のあいさつでモヨコの両親宅に行ったんだよ。そこで食いもん出されたけど食えなくて、「出された食い物を残すな!」って絶対怒られたんだよ!という解説を聞いて激しくショックを受けた(3回目)
なんか言われてみたらそんな気がする!

 

あと、G監督からのご紹介
■茶一郎 映画レビュー


【鍵となる一つの映画から見た】シン・エヴァンゲリオン 劇場版 :|| レビュー【ネタバレ全開】

この人は、新劇場版からのファンというコトで、なんというか、スマート。
新劇場版からの解釈で頭のいい人が解釈したらこんな感じ。なんも間違ってない!なんも間違ってない…が、旧劇場版からの呪いで20年以上脳みそがイカれた感じがもっと欲しい…!

海外投資を楽しむ…ほどの余裕はない

見慣れない番号から電話かかってきたな~と思ったらアメリカからだった。
「これから日本に帰るんだけど、今、日本についたら2週間隔離されるんだよぉ!」
と、アメリカ人が困惑しながら相談してきた。

 

「ホテル代は自腹だから食費込みで10万円はかかる。空港からウチまで移動しようしたら、公共交通機関は使ったらダメ。電車とかバスとか、他人と相乗りするのが全部だめなので、レンタカーならOK。ただ、レンタカーで現地乗り捨てにするとガス代を入れて9万ぐらいかかるかも…なんか…ない?」

と言われて、俺も困惑する。
コッソリ新幹線使ったらダメなの?と聞いてみたら、

「2週間毎日、スカイプで現場の映像込みでどこにいるか報告義務があって、移動するとその手段まで確認されるから、もしウソついて移動してコロナ感染源になったら強制国外退去させられるYO!」

 

 

…という話はともかく、
最近、橘玲のファンになったので、その橘玲が設立メンバーでもある
有料会員制サイト「海外投資を楽しむ会」に入会してみた。

www.alt-invest.com

 

まだ全部は見てないが、
有料サイト内はまるで20年ぐらい前のホームページの見た目で、内容はテキストだけ。
さらに、その内容はさらなる有料サービスへの案内。
■香港とか海外の証券会社なんかの口座開設サービス、ん万円。
アメリカのハワイに法人をつくるサービス、ん万円。
とか、かなりガチンコのサービス。

あと、海外の口座の活用とか送金方法とかの文章のサンプルとか。

 

んでもって、掲示板も20年ぐらい前のテキストだけのBBSがある。
会員同士の通常版と初心者用版との2つがある。
ざっと見てみると、シンガポールの口座から資金が移動しないトラブルとか、かなりガチンコな相談…。


あと、海外の不動産買ってくれ、みたいな営業もちらほら。

ファルコン&ウィンターソルジャー

G監督から「ファルコン&ウィンターソルジャー」を見ろ!と指令が出されたので、見ました。


ファルコン&ウィンター・ソルジャー | 予告編 | Disney+(ディズニープラス)

冒頭のアクション、カネのかかり方がハンパねぇのは流石。
コロナで劇場公開ナシの分、配信で全力出す、という感でしょうか。
G監督絶賛のもわかります。ハイ。
しかも第一話の最後のヒキは確かに「BAD BOYS」感満載。

 

冒頭のアクション、モモンガ状の人がヘリにポイッと乗るのはド肝を抜かれましたが、あれ、ヘリの回転翼に当たらない?とか、翼の人はマイクっぽいの無いけどどうやって交信してるの?風の音とかスゴイと思うんだけど…とか、翼の人の背中から出てくるアレが3台ぐらいあったらもはや本人いらなくない?とか、まあ…その…とか言うと、またG監督から

ミリオタは死ね

と大声で説教されると思うんだけど、俺はミリオタっていうほど軍事知らないから!

 

前シリーズの「ワンダビジョン」今から思えばもしかして客層を女性向きにつくったのかな?と思ったんですがどうですかね?主人公も敵も女性、ホームドラマ主体で、殴る蹴るもない、銃撃もないってのは誰向けの客層だろうと思ってるんですよ。

 

そもそもマーベル…アイアンマンとか超男の子向けコンテンツだったんで、新シリーズはちょっと女性層にむけてアピールしてみたらどうやろか?どうせアホの男連中は何つくっても見るだろうし、的な感じで…。

 

んでもって、新シリーズ第2作は思いっきり中二病の男向け…わかりやすいけど家族に問題を抱えたスーパーヒーローと、昔は悪だったという影のあるスーパーヒーローの2本立てっていう感じで。

俺はDSM派

某Hには自分から断言しておいて5%ってのはちょっと多すぎないか?と不安になって調べてみたら、
統合失調症の発症率は約1%だという。すみません間違ってましたね。。
それでも100人に1人ぐらいは発病する。

 

 ・仕事でも連絡がつかないなど日常生活が破綻。
 ・荒唐無稽な陰謀論を本気で信じる。
 ・ネットの書き込みが数千回に及ぶなど病的。

 

これでド素人が判断というのもアレですが、
ネットで読める精神科医のマンガ、ゆうきゆうによりますと、
精神病か否か判断って、日常生活に支障をきたしているか否か、らしいです。

マンガで分かる心療内科 | 【上野心療内科・精神科】ゆうメンタルクリニック上野院(駅0分)


というわけで、立派?に病的だと思います。

■妄想の人にどう接すればよいか

yucl.net

いつも暗~いウツ病の人は多いんですが、逆に躁病の人は少ないんだそうです。
・ネットの書き込みが数千回に及ぶなど病的。
というのが気になるんですけど、これがウツと併発してるのであれば、双極性障害ってそんな感じです。

yusn.net

マンガばっかじゃねーか!というご指摘には、

www.msdmanuals.com

あるいは、厚生労働省

www.mhlw.go.jp

あたりですけど、アル中でなければ
躁or双極性障害統合失調症っぽい感じじゃないでしょうか。

 

んでもって、統合失調症の多くは、男性の若者…10代後半から30代ごろの生活の変化(学校・就職など)がキッカケで発病するらしいです。

しかしながら、そもそもの原因に環境は関係ないと言われてます。なぜなら、世界各地、どんな未開の地でも近代都市でも発病率は一定だからそーです。

 

さらに、頭の良し悪しも関係ありません。最も有名なのは数学者ナッシュでしょう。彼の業績はナッシュ均衡を含めてゲーム理論の基礎を構築した天才でしたが、実在しない人間がいつもとなりにいたそうです。

そのナッシュの人生を描いた映画「ビューティフルマインド」には、じっとナッシュを見てるだけの人が出てきますが、そーいう感じらしいです。


『ビューティフル・マインド』日本版劇場予告編

映画をみたはなし

なぜ映画をみるのか?
と問われたら、フツーの人は"暇つぶし"と答えるよーにと思う。
俺も昔はそうだった。

単に中味のない、その場限りで消費されるエンターテイメントだと思い込んでいた。

 

しかし、原一男ゆきゆきて神軍」の衝撃で考えが変わり、
ホドロフスキー「エル・トポ」をみて確信に変わった。

映画もスゲエ奴があるのだ、と。

 

なぜ映画をみるのか?それに意味があるのか?
の答えに、近代社会として最も合理性がある説明は
島田裕巳「映画は父を殺すためにある」に書いてある。

 副題にあるとおり、「映画をみることは子供が大人になるための通過儀礼である」ということ。
この指摘は正しい。
特にハリウッド映画にはガッチリはまる説明だと思う。

 

ただ、俺個人としては、町山智浩のセリフの方がしっくりくる。
町山智浩における映画の面白さとは、映画を観る前と観た後で世界が変わってしまう体験をするから。

 

世界が変わるって、どーいうこと?と言われると…
町山智浩はその例を映画「シティ・オブ・ゴッド」で説明しているが、ちょっとわかりにくい。
俺としては養老孟司の説明がわかりやすい。

桜の花をみるとき、今の状態で桜を見るときと、自分が末期ガンとなり来年はもう桜を見ることができないという状況でみる桜の花は違って見える。

同じ桜の花をみる、ということも、自分の価値観が変化してしまえば別のものに見える。
言い換えれば、映画をみることで自分の価値観を揺さぶられたい、と思うのだ。

 

価値観は人それぞれなので、他人の評価など関係ないし、ほとんどの映画は通り過ぎるだけである。
しかし、ごくまれに、そういう作品に出合うことがある。
俺としては原一男でありホドロフスキーが自分の価値観を揺さぶった数少ない監督である。

 

当時の俺は、アニメは実写よりも下に見てた感はある。
大友克洋「AKIRA」も漫画版の方が数倍優れていると思ってた。

 

ただ、旧劇場版エヴァンゲリオン新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」をみたときには震えた。

 

…前置きが長いけど、つまり、先日、
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」見たんだよね!

 

旧劇場版から20年以上ファンであり続けてるエヴァおじさんの一員として、新作をみるのは義務だったんだけど、みたらみたで誰かに話したくてウズウズしちゃうんだけど、みた人じゃないと絶対話が通じないというジレンマでウズウズしてまして…
G監督に聞いてみたら、2日後に見に行くと聞いて、その2日後、G監督から連絡がきた瞬間に電話で2時間ぐらい話しましたよ、ハイ。

 

G監督いわく
エヴァ教の教祖である庵野監督がさぁ、ハイ、この宗教これで終わりで~す!って感じだったよね」
とゆーのは的を得てますよハイ。

 

いや~、これ以上ないレベルですっきり終わりましたよエヴァンゲリオン

まったく個人的な感想でいえば、映画のラスト、スクリーンを見ながら高橋留美子うる星やつら」の終わり方と同じだ…と思っちゃいました。 

 

なんか20年以上続いたお祭りが終わったって感じで、すがすがしさと同時に寂寥感というか、なんというか…
エヴァンゲリオンって、TV版・貞本漫画版・旧劇場版、それぞれの別の話があるぶんだけ今回の新劇場版もなんか誰か同人誌でつくったよくできた最終回だと言われてもなんか納得しそうな、そんなレベル。

 

それはそれとして、こんな終わり方は一部の信者たちにアレな感じが…という違和感が、まさしくこのブログ

anond.hatelabo.jp

思わず笑いそうになると同時に、気持ちはよくわかる。

 

ま~、なんとも言えねぇ…ネットフリックスでTV版から見なおそうかと思うぐらい、なんか仕事も手につかねぇ…。んでもって、俺は旧劇場版の方が好きかな…。

システム論 その5 閉鎖系システム

ミニバンのオイル交換に立ち寄った自動車工場で
「タイヤ、パンクしてますけど…」

 

え~…!?確かに右側のタイヤの空気が抜けてる感がある。あれ?後ろのタイヤも?
「たぶん、コレ、右側の前後のタイヤで釘か何か踏んだんじゃないですかねぇ…」

 

クソぉ…また余計な出費が…

…まあパンクはともかくですね、これまでのシステム論をまとめますと、まずは図1になります。

f:id:torisoba_bekunai:20210316234338p:plain

図1 単純化したシステム

え?これ関数じゃね?というご指摘は正しい。
こんな単純なの?と言われそうですが、システム論の基本はこんな感じです。

 

例でいえば、サイバネティクスの説明ん時に、エアコンの話をしました。

 

部屋の気温が10度のとき、エアコンの設定温度を20度にしたら、20度になるまで温め続ける、という話です。

 

これを図1で考えますと、
 入力=気温
 四角X=エアコン
 出力=あったかい空気
となります。
もし、入力値である気温が20度を超えると、出力が止まるシステムと言えます。

 

実際の機械はもっと複雑ですので、少し付け加えると図2になります。

f:id:torisoba_bekunai:20210316234443p:plain

図2 ちょっと複雑なシステム

単純に図1が二重になっただけです。

上記のエアコンの例でいえば、24時間つけっぱなしの場合はタイマーで切れるとしましょう。
このとき、
はじめの入力は気温ですが、これが何時間経過したか、という入力値が加わることで、少し複雑な機械の動きになります。

 

 

この図1と図2で説明できないのが自己組織です。
自己組織は図3のようになると思います。

f:id:torisoba_bekunai:20210317001532p:plain

図3 自己組織システム

図2に似てますが、図1と同じ入出力に加えて、四角Xの出力がそのまま入力にもなっています。
これは何か?と言えば、自らを省みる、という意味です。

 

自己組織の例でいえば、四角XをG監督としますと、
 入力=他人の言動
 四角X=G監督
 出力=G監督の言動
となりますが、G監督自身でこの言動は自分らしいのかと自問自答する=自ら省みる、という流れがある、ということになります。


図3は理屈の上では、もはや現在の機械・AIでは無理、いわゆる第5世代人工知能じゃないと無理という話になります。

 

これまでのシステム論は図1~3なんですが、共通しているのは入力と出力があることです。

言い換えれば、システムとは環境に反応するものです。

ここでの環境とは、システム自身が制御できない全てを意味します。

 

エアコンの場合は、外気温は制御できませんし、G監督システムにおいては他人がどう考えるかは制御できません。こんなふうに、システム自体で制御できないがシステムに影響を与えるものを環境と呼びます。

 

つまり、システムとは環境の中にあって、その中で何からの答えなり結果=出力を生じるもの、です。

ちなみに、これを開放系システムと呼びます。

 

(※物理学的に開放系・閉鎖系の定義がありますが、システム論の場合はちょっと意味合いが変わっています)

 

さて、システム論の最後、オートポイエーシスという話がでてきます。

 

オートポイエーシスとは何か。
生物学の学者さんが唱えたんですが、システム論の当初の目的である生物とは何か、という疑問に答えたかたちで、生物の神経系の発達には入力も出力もないのだ、と。
神経系や免疫系の発達を観察すると、自らがつくりだしたものに自らが対応するかたちで発展していくという過程をたどると説明しています。ただ、俺はこの話が理解できてません
図にすれば、図4になると思います。

f:id:torisoba_bekunai:20210317001550p:plain

図4 閉鎖系システム

どーゆーこっちゃ?と言われても、俺もよくわかってないので何とも言えませんが、この自分の出力がそのまま入力になる円環的システムといえますし、入力と出力は存在しないともいえます。

なので、このシステムにおいて制御できない環境は存在しません。システムに影響するもの全てはシステム自身が生み出します。

これを閉鎖系システムと呼びます。

 

ちゃんと説明しろや!という方はwikiでもいいですが「松岡正剛の千夜千冊」がよくまとまってると思います。

1000ya.isis.ne.jp

 

 

…で、これ一体なんの話?

というご指摘は正しい。

システム論 その4 自己組織

前のブログの組織論、なんかモヤっとしてワケわからんかったですかね?
今回はもっとワケわかりません。

 

組織論の続きなんですが、ネットワーク組織云々のあたりで自己組織という話が出てきます。

今田高俊「自己組織性―社会理論の復活」

自己組織性―社会理論の復活

自己組織性―社会理論の復活

  • 作者:今田 高俊
  • 発売日: 1986/05/01
  • メディア: 単行本
 

 自己組織とは何か。
それは、制御するもの・中心となるものがないのにバラバラだったものがひとりでにまとまっていくこと、です。

 

それって、前に冷めたコーヒーを温めたら、バラバラの動きをする水分子らが大きな流れとなる=対流が起こる、ってアレ?散逸構造理論のこと?という指摘はスルドイ。
それを自己組織化といっても別に間違いではありません。

 

が、今回のテーマは人間活動であって、社会的、文化的なものです。

 

例えば日本語の意味って時代によって変わっていきます。
G監督も指摘してましたが、「全然」という言葉があります。これは「全然~無い」という否定文のみ使われるのが正しい日本語だ、というコトになってますが、明治時代は肯定文「全然~ある」という言い方をしてたことが知られています。

 

あるいは、自分を意味する言葉(一人称代名詞)の「私」「僕」「俺」もしくは相手を意味する言葉(二人称代名詞)の「あなた」「貴様」「お宅」など、多数あるうえに時代によって使われ方が変わっています。

 

このニュアンスの違いはわかるけれども、なんで時代が変わると意味が変わってくるのか?と言われると説明ができません。

小説「舟を編む」なんかでもわかるように、日本語は常に変化していて、辞書の内容も時代によって変わってきます。

 

なので、日本語のルールは明確に決まってるわけではありません。
日本語のルールはあってないようなもの…制御するもの・中心となるものは無いのに、日本語全体としてまとまりがある=自己組織といえる、のではないか?という話です。

 

社会や文化というのはキッチリとしたルールが無いことが普通で、境界もモヤ~っとしてます。

 

伝統文化でも音楽でも会社組織でも何でもいいんですが、そーいう社会や文化と呼べるモノ・雰囲気は何でできてるのでしょうか?

これを機械論的に分解しようとすると、無理が出てきます。
そこで、部分に分解できない特性を持っている=システムとして考えようというワケです。

 

モヤ~っとしてワケわからんですか?まあ…そうですよね…

 

そうですね…仮に G監督らしさって何?ということを考えてみましょう。

 

G監督らしさ、というのは一般的には他人が持つG監督のイメージのことですが、これを決定づけるのはG監督の言動です。G監督らしいかどうかはG監督自身が決めるはずなんですけど、俺とか某HがG監督本人に向かって
「それってG監督らしく無い!」
と言って、G監督自身が言うコトが変わってしまうのはよくあります。

 

そもそもG監督らしさ、というのはあるのか?といえばある。
しかし、アリと無しの境目はかなりモヤ~っとしてます。

さらに、それを決定づけるはずのG監督自身が、G監督らしさとは何かを考えた結果、行動を変えてしまうというコトがありえるとはどういうことでしょうか?

 

G監督らしさに明確なルールはありません。G監督自身を含めて周囲の人間の評価なんですが、何も客観的な指標がありません。自分が自分らしいか?といういわば自己矛盾をG監督が抱えることになります。


G監督が考えるG監督らしさというのは主観に過ぎないのですが、自ら客観的に判断して、意図的に変える、ということになるのですが、その結果も所詮主観にしか過ぎません。

これが自己組織性と呼ぶ特徴ではないかと俺は考えてます。

 

会社組織を考えたとき、この会社っぽい、コレはこの会社にとって良い、コレはこの組織にとって悪い、という価値判断は所詮主観レベルですが、その判断を行うメンバー同士が交流を何度も行うことで、結果的に会社ごと、組織ごとに何らかの特徴を持ってくる、ということです。

 

…ここまで読んでいただいて何なんですが、

 

いや、お前何言ってんの?
この議論、何か意味あんの?

 

という感想を持たれてませんかね?いや、そのご指摘は正しいですよね、という話が次回。。