現実逃避してたらボロボロになった話

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「現実逃避してたらボロボロになった話」永田カビ

G監督オヌヌメ度 ★★

 

アル中文学(?)でパッと思いつくのは中島らも。原稿を前にして酒を飲み始め、朝に気が付くと原稿ができていた、という逸話は本当っぽい。世界的にはウィリアム・バロウズだろうか。俺としてのアル中最強本は邦山照彦「アル中地獄」である。「アル中地獄」は中島らもが太鼓判で褒めてたんで読んだんだが、そのアル中幻覚は文字通り”想像を絶する"。

アル中漫画だとやっぱり吾妻ひでお失踪日記だし、続編の失踪日記2 アル中病棟」もスゴイ。

 

本書は、アル中の女性著者によるアルコール性急性膵炎+脂肪肝+(G監督レベルの)精神病理学的にちょっとアレな日記である。まんしゅうきつこでも書いたが、破滅的・自虐的作品は女性が優勢なのかと思う。

 

4リットル入りの焼酎はデカすぎてコップに注ぎにくいとか、どーしても食欲がないんだけど食べないと退院できないので入院食をこっそり捨てる方法とか、知らなくてもいい情報で面白い…面白いんだけど、ちょっと著者の感情の揺れ幅が病的に凄すぎてちょっとなぁ感が否めない。

 

後半は、マンガの創作とは何かという自問自答が繰り返され、精神的に追い込まれる様子が描かれるが、そこで救いの手が差し伸べられるんだけども、それがあの最凶漫画「人間仮免許中」の著者、卯月妙子である…。

 

俺としてはこの著者の感受性が強すぎるというか、自己憐憫がキツくてあまり好きになれないんだけど、それでも面白いとは思う。この著者で一番有名な「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」も古本で見つけたら読んでみようかと思う。

 

…まあ、G監督にこの本を読ませたら、俺を殺す気かぁああ!と泣きながら暴れそうなのも容易に想像できる。