2001夜物語

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2001夜物語星野之宣 全3巻

坂口尚「あっかんべェ一休」なみに傑作だと思うんだよ度 ★★★

 

星野之宣を「ヤマタイカ」だけで評価して欲しくないのだ。。間違いなく日本を代表する漫画家の一人であり、本作は間違いなく傑作である(机をたたく)。

 

俺が中学生だったか高校生だったかは忘れたが、「2001夜物語」の衝撃は忘れられない。明らかに「2001年宇宙の旅」のパクリオマージュからはじまるが、その描写といい物語性といい、日本のハードSFを代表する作品である。

 

このマンガ全3巻を読み終えた当時、これと同等レベルのハード系SF作品がこれから読めるのだろうかという不安と期待を寄せていたが、やはり、というべきかこれほどまでに優れたSFマンガは見当たらない。思いつくのは幸村誠プラネテス」ぐらいだが、完成度は圧倒的に本作品が上。

 

本作と同等水準だと思うのは元ネタの映画「2001年宇宙の旅」や「インターステラ」ぐらいだし、先に送ったSF小説「月は無慈悲な夜の女王」ぐらい世界トップクラスだと思う。

 

んじゃ、本作は30年以上前だし、星野之宣は他にもいっぱいSFマンガ描いてるじゃん、といえばそーなんだけど、本作が最高傑作だと俺は思っている。

 

星野之宣は多作であるし、正直、当たり外れが大きい。

 

SFとしてファンタジー要素をどう描くかがSF作品のキモだとは思うが、時折ファンタジーすぎて妙に子供向け作品になるのも仕方ない。この著者の場合、ファンタジー+アクションマンガになってしまうことがありがちで、俺としては「ヤマタイカ」はそーいう意味でちょっとついていけないし、おおよそ短編の方が面白い。

 

星野之宣の評価は宇宙を舞台にしたSFだけでなく、古代日本を扱った宗像教授シリーズも非常に面白い。

 

ちなみに、この著者と諸星大二郎とは当時の漫画賞最高峰といわれる手塚賞を受賞しての週刊少年ジャンプでデビューであった。この2人のマンガは当時のジャンプでも相当異質だったらしい。
ちなみに「逆境ナイン」の島本和彦"星野之宣諸星大二郎、つまり天才じゃないと手塚賞はもらえないんだ!"と自身のマンガで語っている。