前に某Hから送ってもらった「岡崎に捧ぐ」以来、山本さほには注目していた。
本屋で2冊同時発売されてたのを見て両方買ってみた。
「この町ではひとり」
せつない度 ★★
著者の山本さほは、俺は一回り年下になるが「岡本に捧ぐ」の時代背景には同じニオイを感じることができる。
西岸良平「三丁目の夕日」は戦前の子供時代、そして、さくらももこ「ちびまる子ちゃん」は戦後昭和の子供時代を描くだけでヒットすることが分かった、といわれる。
そりゃ"描くだけ"ってことはないが、漫画を読む少年らにとって一世代前の世界が興味を引くというのはわかる。
ではその読者が中年…というか読者の少年時代と漫画の時代が同じく"ちょっと前"の場合、読者にとっては独特の郷愁というか哀愁というか、何か切ない気持ちにさせられる。
この「この町ではひとり」は、著者が二十歳前後に故郷を離れて一人暮らしをはじめ、おそらくブックオフかと思われる古本・中古屋でアルバイトしていた頃の話である。
一人暮らしをはじめた頃の孤独、そして何か嫌な予感がずっと続く緊張感はなかなか面白かった。
前に書いた永田カビなんかは、著者とは共感できない面白さがあるのだが、山本さほには共感できる寂しさがある。
で、もう一冊「きょうも厄日です」
オススメ度 ★
あっ、これネットで読めたヤツだ。。こちらは短編集で、日常の面白い出来事を描いたエッセイ。