確か某Hにかなり前に送ったと思うが、福満しげゆき「僕の小規模な失敗」は傑作である。
傑作なのだが、同時に、この作者はメジャーになれない…!俺だけは!俺だけは彼を応援するんだ!と思った。正直、あの鬱屈した雰囲気がメジャー誌に載るとは想像できなかったのである。
※kindleだと講談社から発売になってるが、もともと「ガロ」とか「アックス」とか知る人ぞ知る漫画雑誌しか掲載してなかった。
しかし、今や超が付くほどの売れっ子となった。
その…フィクションものはちょっとアレだが、私小説風というかエッセイ漫画はいずれも面白い。
で、新しく「妻と僕の小規模な育児」が発売されたので買ってみた。
読者側に子供がいるなら色々考える度 ★
帯に"この作品は私生活を基にしたフィクションという体裁の私漫画です"と書いてあるのでこれから私小説風とかじゃなく私漫画と言おう。
で、この著者の子供に先天性障害があるというキツイ話からはじまり、いじめ問題なんかに親としてどう対処するべきか悩んだりしつつも、子供は所詮他人であるという妙に冷めた視点も含めて作者らしいといえば作者らしい。
後半、実はギフテッドだったことが判明し、明るい方向になるのは読者としても救いがある。
俺が妙に?面白いと思ったのは本書のあとがきで、著者の高卒の友人がスゴイ馬鹿だという話が延々と書いてある。著者の高学歴というか大卒へのコンプレックスというか、ねたみ・そねみというか、怨念が渦巻いているのがこの作者らしくて面白い。
正直、これほどの売れっ子漫画家になるなんて、東大理Ⅲ入学よりも難しいと思うんだけど、この怨念こそがこの作者の原動力であり面白さなんだろう。