大日本天狗党絵詞

古本屋にて、むむっ。「大日本天狗党絵詞」が一冊200円か…。
俺が買うしかあるまい。

 

黒田硫黄ほど"鬼才"の称号が似合う人もいない。
実質的デビュー作である「大日本天狗党絵詞」は、一目でこれまでのマンガを超えた驚異的な作品であった。

 

 

オススメ度 ★★

 

ただし、楽しめるのは相当な"マンガ読み読者"による、というのも間違いない。
独特の絵、独特のコマ割り、独特の物語、どれも今までに無いだけにジャンプぐらいしか読んだことがない人は読みにくいだろうし、そもそも何が描いてあるのかもむずかしい。

黒田硫黄を見つけ、楽しめることができるというのは当時の漫画マニア?の僥倖であったはずだ。

 

まるでアクション映画の一コマを切り抜いて墨絵で描いたような漫画は、現在に至るまで黒田硫黄以外俺は知らない。桜玉吉も墨絵のような漫画を描くが、全くと言って方向性が異なる。

 

本作も、結局、何の話だったか説明するのはむずかしい。
天狗たちが日本で独立国を作ろうとする話といえばそうなのだが、途中で、天狗というのは単にその人の"思い込み"だよ、という話が挿入されたあたりから一体、どこまでが現実でどこまでが"思い込み"なのかよくわらかなくなってくる。

 

俺としては、この本作は"主人公シノブが一人前になる物語"だ、と理解している。最後のシノブは天狗だったのか否か。そう考えると、師匠から独立するまでの物語なんじゃないかと思える。一番目立つZ氏がなんなのかは最後までわからないけど…。

 

近年、あまり作品を出さなくなったが、まさかの「アップルシードα」を描くというのは、まるで壮大なギャグのようだが、これはこれで僥倖である。