異世界もの

異世界モノ、とゆーのが流行っているらしい。
NETFLIXでもいくつかそれらしいアニメ、kindleの無料マンガでそれらしいのも読んでみた。

 

ソードアートオンラインオーバーロード盾の勇者の成り上がりRe:ゼロから始める異世界生活、この素晴らしい世界に祝福を、異世界おじさん、異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術異世界魔石商会へようこそ、スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました、転生したらスライムだった件…などなど、ほとんど1シーズン・1巻ぐらいで挫折したけど、面白いものもあった。

 

基本的には、普通の日本人…高校生とかサラリーマンとか…が、ドラクエなんか世界に放り出されて冒険する、とゆーものだが、主人公にはその世界を制圧できるほどの突出した能力、あるいはその世界があまりにも貧弱すぎて現代日本社会の知恵で世界を変えられる、といった感じが、いわゆる"異世界もの"の典型っぽい。

 

こーいう世界観は別段今にはじまったことじゃない。大昔からの文芸論はともかく、ひと世代前のジャンプだといわゆる王道といわれた剣と魔法の世界のマンガである。そこに現代人がそのまま登場し、かつ、1話目からして最強、というのが現代風?のようだ。

 

とゆーことで、その2点
・なぜ異世界(といっても中世ヨーロッパっぽい舞台)で現代人が登場すべきか?
・なぜ冒頭から世界征服できるほど最強なのか?
がなんで今、面白いのだろうか?

 

なぜ異世界(といっても中世ヨーロッパっぽい舞台)で現代人が登場すべきか?
剣と魔法のファンタジー世界の話は大昔、というか書物の歴史と等しい。だって聖書も日本書紀も剣と魔法のファンタジーだから、それはそれで面白いのは間違いない。
異世界モノが流行る前のマンガですぐ思い出すのはジャンプの「ダイの大冒険」かな。

第1話 オレは小さな勇者ダイ!!

第1話 オレは小さな勇者ダイ!!

  • 発売日: 2020/01/06
  • メディア: Prime Video
 

 ドラクエの漫画版だが、この主人公の設定は現代人ではない。この主人公を現代日本人に置き換えれば異世界モノになるが、その必要性は何かといえば、多分、みんな漫画読まなくなったからかな?

 

漫画を読まない子供は代わりにゲームをする。ゲーム世代にとって"異世界"とは、ウィザードリーとかドラクエとかファイナルファンタジーとかから派生してきた剣と魔法の世界がいわば"共有可能な異世界観"といえる。その背景は中世ヨーロッパっぽい雰囲気であったからではなかろうか。

 

で、なんでその世界の人じゃなくて、現代人の方がいいのか?といえば、マンガどころか本も読まない人にとって、国語の問題によくある「登場人物の気持ちになって考えてみよ」という訓練ができてない。なので、自分と同じ価値観である現代人がいきなりドラクエ世界に放り出されたほうが「登場人物の気持ちが考えやすい」

 

なぜ冒頭から世界征服できるほど最強なのか?
剣と魔法のRPGのゲームにおいて面白いのは、初期段階よりも経験値を積みまくって強くなった方が面白い。できればそのゲーム内で最強キャラで無双状態、というのは憧れである。いわばゲームのクライマックスを物語の冒頭にもってきた、ということだろう。

そこから友人や恋人を獲得していく、という流れが異世界モノの典型的パターンだろうか。すでに最強の力を手にしてるので、基本的にケンカにはならず、圧倒的優位な立場を利用して仲間を増やしていく物語が多い。

まあケンカはしたくない、けど寂しいから他人と繋がりたい、けどマウンティングはしたい、 というのが今の子供なり青年なりのイチバンの欲求なんだろう。

 

あまり漫画なりアニメなりを見慣れてない子供にとって、努力を重ねて強くなる、というストーリーはもはや冗長なのかも知れない。

 

昔のジャンプは"努力・友情・勝利"と言われ、確かにドラゴンボールはそうだったし、先ほどのダイの大冒険もそうだった。しかし、ワンピース以後、努力の要素はほとんどなくなってきた。この"努力"の要素が無い、という点は考えてみると興味深い。

 

高度成長期のマンガは、努力すると報われた。巨人の星なんかのスポ根モノなんかは特に、死ぬほど努力すれば勝利が約束されたが、バブル崩壊以後は必ずしも努力は実らない、という物語も増えた気がする。ここらへんは社会情勢とマッチする気がするのだがどうだろうか。単純に漫画、それも青年・大人向けが増えたから、かもしれない。ただ、最近のマンガで"すっごい努力して勝利・成功する"という漫画はすぐには思いつかない。

 

さらに言えば、ずっと昔から"実は王家の子供だった"、"実は天才の子孫だった"云々、血縁関係を重視する物語は多い。つまりは王なり天皇なりへの憧れなワケだが、これはハッキリ言って民主主義なんかの胡散臭さの代弁であろう。リーダーの素質とは何かを考えるとき、努力や才能という理由だけでは説明しにくい。リーダーの素質とはカリスマである。そのカリスマとは何かといえば、宗教的価値観であり、生まれながらにしてリーダーたる素質があるはずだ!王の子供に生まれついたという"運"がカリスマだ!といった感じの思い込みを持ちたいという欲求がそもそも人間にあるような気が、俺はする。


ともかく、異世界モノで面白いじゃねーかと思ったひとつは「幼女戦記」。アニメ版しか見てないけど。


TVアニメ『幼女戦記』 第1話「ラインの悪魔」予告

第1次大戦時のドイツで魔法が存在する世界。ただし、その魔法も通常兵器と同様に運用されている世界観にサラリーマンだった主人公が転生する。戦局を大逆転するほどの力はないが、少しばかりの才能と、その後の歴史を知っているという2点でどうやってドイツを勝利まで導くかが描かれる。
正直、全く1次大戦を知らない人が面白いのかはわからないが、泥沼の塹壕戦からのスタートはなかなか興味深い物語だった。

ただ、けっこう硬派な内容に対して、そのタイトルはどうにかしてほしいんだけど…幼女ってのはなぁ。。

 

まー、しかし、俺は料理漫画が好きかな…「ながたんと青と-いちかの料理帖-」とか面白かったし。。