創作「仁義なきミッドウェイ海戦」

んじゃ、俺的にミッドウェイの敗戦はなんだったのか?といえば、次の3点。

 

■日本側の情報軽視
まずは日本側の奇襲攻撃がアメリカに筒抜けだったのが最大の敗因だろう。

奇襲を仕掛けた側が逆に奇襲にあってしまった。

さらに現代日本にも通じる問題として、なぜ奇襲がバレたのか?を反省しなかった。

 

■最後の最後、米国側の幸運
開戦当初、米軍側がポイポイ爆弾を落としてもひとつも当たらなかったため、日本側は米軍の攻撃を甘く見てしまった。そして低空を飛行する雷撃機はボッコボコに撃ち落された。しかしその結果、日本側は低空に注意を引き付けられた。

 

はからずもその2つが要因となって、最後の最後、高高度から急降下して爆弾を落とす急降下爆撃機に全滅させられたのであるが、その急降下爆撃機は実は日本軍を見失っていたのだ。そして偶然にも発見・攻撃した時のタイミングは神がかり的だろう。

 

ミスは両軍ともに多い。ミスが少ない方という見方はむずかしい。

 

ヤクルトスワローズの監督だった野村克也「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言った。これは今回まさしくその通りで、ミッドウェイ海戦野村克也の手のひらの上だった(?)

 

■組織の硬直化と責任の不在
アメリカ側のトップ、ミニッツ司令長官は、部下と生活を共にし情報共有したという。そんな姿勢が暗号解読にもつながったように読める。
その一方で、果たして日本側の暗号解読班レベルが山本に意見を述べることができたか?さらに山本が聞く耳を持っていたか?についてはほぼ不可能ではなかったかと思われる。

 

さらに、この日本軍含め現代日本にも通じる根本的問題は、ミッドウェイ作戦の責任者たる山本と南雲が一切責任を取らなかった、ということではなかろうか。

 

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というわけで俺的にミッドウェイをまとめてみたワケだが、正直、ミッドウェイ海戦の一部始終はわかりにくい。

 

そこで、俺が妄想を交えてミッドウイ海戦を書き直してみたい。
資料は基本的に先のネットフリックスと「失敗の本質」の2つ。
んで、語り口調は架神恭介「仁義なきキリスト教史」を参考にした。

仁義なきキリスト教史 (ちくま文庫)

仁義なきキリスト教史 (ちくま文庫)

 

 

 

題して…

 「仁義なきミッドウェイ海戦

 

第1章 米軍側:真珠湾にて

チェスター・ミニッツは司令長官としてハワイ真珠湾に降り立った。
「ホンマ、ボコボコやんけ…」
米国海軍は日本軍の真珠湾攻撃でボッコボコにされていた。 

 

当時、アメリカは世界大戦に参戦したとはいえ、基本的に戦地はヨーロッパだし、太平洋をはさんだ敵国の日本は、地図のどこにあるのかもわからないアジアの小国である。
大半のアメリカ国民は無関係のようにものんきに思えていたところ、自国の領土であるハワイを、自国の軍船をボッコボコに爆撃されたのである。

 

大統領のおやっさんは真っ赤になってミニッツに報復を命令した。
「ワテらの腹がおさまらんやろ。やってこんかい」

 

しかし、ミニッツは計画を聞いて考え込んだ。
相手の組の本拠地を爆撃するというのはそもそも無理がある。案の定、東京爆撃は大統領のおやっさんのパフォーマンスに終わった。

 

第2章 日本軍側:山本五十六

 

おやっさんのお屋敷、爆撃されて黙って見とれっちゅーんか!」
山本五十六は皇居を爆撃され、激昂するフリをしつつも、かねてからの計画を実行する算段をうかがっていた。
「アメ公のタマとるんやったら、やっぱ奇襲しかないやろが!」

 

居並ぶ組長たちは頭を抱えた。そもそも日本海軍は30年以上前からアメ公を仮想敵として戦略を練っていたが、それはアメ公が太平洋をえっちらおっちら越えてきた艦隊をボコボコにする、というものだった。
逆に日本海軍自ら太平洋を越えていくというのは、これまでの計画・兵器開発レベルに加えて艦隊編成から訓練も何から何まで変更ということになる。


先の真珠湾攻撃も山本のゴリ押しであったが、その成果は絶大であったため、他の組長は文句を言いづらかった。

 

「ワイの言う通りにせんかい。お前ら全員タマなしか!」
結局は山本のゴリ押しで、ミッドウェイ奇襲は決定してしまった。

 

後知恵だが、ここで日本側のはじめのミス。

これまでの日本海軍は艦隊VS艦隊を想定してすべてを準備していたが、山本が想定したのはお互い空母による航空機VS航空機だった。しかし、何十年も積み上げてきた思想をひっくり返せず、相手が空母による航空機だというのに、日本側は艦隊VS艦隊用の編成を組んでしまったのである。ここは山本が説明できなかった責任ともいえるが、海軍トップ全体で理解できなかった責任ともいえる。

 

切り込み隊長に任命された南雲は「エライことになってもうたなぁ…」とは思ったが、任命されたら仕方がない。山本の親分には逆らえなかった。

 

南雲の任命そのものがミスだと、俺は思えない。俺は南雲に同情する。

 

山本のミッドウェイ奇襲の目的は、アメ公の空母を破壊することだった。
そのため、手順としてはまずは南雲がミッドウェイ島を奇襲攻撃し、あわてふためいたアメ公がハワイから3~4日かけて空母で応援に駆け付けたところを山本自身を含め全員でボッコボコにする、というものだった。

 

しかし、山本は南雲には
「ミッドウエイ島、ボコボコにしてやらんかい。後から駆け付けた連中もボコボコにしたれ」しか伝えてなかったため、南雲はてっきりミッドウェイ島が第一目標だと思ってしまったのである。

 

ここで日本のミス。南雲は空母こそが最終目標だとは知らなかった。なので南雲はミッドウェイ島爆撃にこだわり、致命的結果的を招く。

 

第3章 米軍側:暗号処理班

 

「ミニッツのおやっさん、"AF"はミッドウエイで間違いおまへんで」
暗号処理班のロシュフォードは、ミニッツに直談判していた。ジャップが"AF"にカチコミに来るという情報は入っていたが、肝心のAFがどこかはわからなかった。
「せやけどお前、どこにAFがミッドウェイや~ゆう証拠があんねん」
「ほな、偽の情報流しますけん、それで確かめまひょ」

 

ロシュフォードは"ミッドウエイの水道壊れてうんこ流れへん"という偽情報を流すと、しばらくたって日本側の"AFうんこ流れへんらしいで"という通信を傍受したのである。

 

ここが日本最大の敗因、暗号が解読された瞬間である。

 

確かにAFはミッドウェイで間違いない。ミニッツはニヤリと確信したものの、また気が重くなった。相手の兵力と経験はこちらより上である。奇襲を見破ったからといって勝てる見込みもなかったのである。

 

ともかく、ミニッツは太平洋側の全兵力をミッドウェイに集結させることにした。
太平洋側の米空母は計4隻(+ミッドウェイ島飛行場)、一方のジャップも空母4隻の戦いとなると思われた。その矢先、珊瑚海戦で米空母2隻がボコボコにされてしまう。

 

オイオイ、勘弁してくれよと被害状況の確認したところ、空母ヨークタウンはなんとかハワイで修理できそうだと報告が入った。

「で、ヨークタウンの修理はどのぐらいかかるんや?」
ミニッツが聞くと、はやくて3ヶ月、できれば半年見て欲しいという
「間に合うかボケェ!3日や!3日で修理せんと耳から手ぇ突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたるぞ!」
驚異的な修理で、なんとヨークタウンは3日で再度ミッドウェイに配備されたのである。

ミニッツは、何とか空母3隻(+ミッドウェイ島飛行場)の戦力をかき集めたのである。

 

空母を3日で修理はスゴイ。 長期的視点で言えば、攻撃され破壊されたときにどう対応すべきか、を日本側は軽視しすぎていたといえる。

 

 第4章 日本軍側:南雲

 

日本側は昭和17年6月5日(米側日時は1942年6月4日)、ついにミッドウェイ島への奇襲攻撃を開始する。飛行場にボコボコに爆弾を落としつつも、いるはずの米軍機がいない。

ここで日本側の攻撃隊は、肝心の米国機と滑走路を攻撃できなかったため、南雲のおやっさんに再度カチコミの要請を行うことになる。

 

後知恵だが、この時の攻撃隊がミッドウェイの2次攻撃を要請しなかったら状況は変わっていたかもしれない。

 

ほぼ同時刻、南雲は面食らっていた。

奇襲攻撃だったはずなのに、なぜか自分が奇襲攻撃を受けているのである。

「なんでや!?」

爆撃機をいそいで零戦が迎え撃つ。

さらに船の回避行動により、結局1時間以上の戦闘のすえ、米軍機は壊滅、日本側の船は無事だった。

「クソガキが…びびったけど所詮はアメ公、こいつらヘタレやで」

 

この米軍機の攻撃は弱すぎた。米軍側のミスといえるのだが、結果、南雲は米軍の攻撃を甘く見てしまう。

 

ミッドウエイ攻撃隊より、南雲へ再度カチコミの要請が入る。

「よっしゃわかった。もういっぺんミッドウェイにカチコミ行ったらんかい!」

 

このミッドウェイ2次攻撃への命令は、結果的に大ミス。しかし、南雲はあくまでもミッドウェイ攻撃が第一目標だと思っていたので仕方ない気がする。

 

ミッドウェイへの再度カチコミ準備におわれている最中、近くにどでかい米軍艦がいるらしい、というヤバイ連絡が南雲に入る。

「マジか!もっぺん見てこい!」

再度確認したところ、マジだった。

「どーゆうこっちゃ…アメ公の船は3日はかかるっちゅー話やったやないか…」

無線は傍受の危険があるため切ってある。そのため山本に確認できない。

「えらいこっちゃ…空母やったら最悪や…対艦で武装しなおすしかあらへん!」

 

日本空母側は大騒ぎになった。さっきまで対地兵器にしろと言ったのに対艦兵器に切り替えろという。

 

さらに困ったことに先にミッドウェイ島を攻撃し終えた航空機が帰ってきはじめたのである。

 

ここでとれる手段は2つ。

手段1■攻撃優先として、先に攻撃隊を発進させる。この場合、帰ってきた機体は着艦できずに燃料切れで海上に不時着することになり、撃墜されたも同然となる。

手段2■帰ってきた機体を優先して着艦させる。この場合、着艦終了から攻撃隊の発進までメッチャ時間がかかるし、この間の防御も手薄になる。

 

南雲は悩みに悩んだ。

理屈の上では手段1に決まっている。しかし、ここで歴戦のパイロットたちの顔が浮かんだ。機体をむざむざ海に捨ててしまっては、彼らに顔向けできない。さらにパイロットたちが溺死してしまうかもしれない。

う~ん…そもそもアメ公の攻撃はめっちゃ弱かったやん。多少攻撃されたとしても大丈夫じゃね?

 結局、手段2■帰ってきた機体を優先して着艦を選んだ。

ただでさえ兵器の切り替えで大騒ぎであったのに、さらに次々と着艦してくるので混乱の度合いは増してしまった。

これがのちに、大惨事を招く。

 

この事態を全く想定していなかったのは南雲だけでなく山本も同じ。自ら奇襲を受ける場合をまったく想定しなかったミスは致命的だった。そもそも奇襲がバレないとして対策を指示しなかった山本の方にこそ俺は責任が重い気がする。

 

さらに言えば、第一目標と思い込んでいたミッドウェイ島爆撃に全力を傾けるのは南雲として当然だった。ちょっとでも防御に残しておけばよかったのに…という見方もあるだろうが、後ほど登場するアメリカ側の実行部隊トップのスプルーアンスは、防御完全無視の全力攻撃させたために成功するので、一概にどちらが正しいとはいえないと思う。

 

第5章 米軍側:切り込み隊長スプルーアンス

 

一方、米軍側が発見した日本の空母は2隻だった。情報では計4隻のはずだ。

米軍側の切り込み隊長(日本では南雲と同じ立場の)スプルーアンスは、さて、どーするべぇと考えながら、自らの空母をじわじわと日本空母に近づける作戦をとった。

そして1時間後、スプルーアンスは飛行部隊に発艦命令をだす。

 

ここで少し、空母から飛び立つ飛行機について考えて欲しい。

 

雷撃機はクソ重い魚雷を搭載し、かつ、低空で水面スレスレで敵艦に向かわねばならず、攻撃時には相手側の格好の的になる。また、他の爆撃機も速度は遅い。

従って、基本的にはそれら雷撃機あるいは爆撃機による攻撃隊を、日本側戦闘機(零戦)から守る米軍戦闘機を護衛につける。

 

そして、空母から一度に飛び立てる飛行機はせいぜい一機ずつ。それを上空で何機か集まって編隊を形成するのには時間がかかる。

このとき、第一次の発艦から第二次の発艦まで約1時間を要したという。

 

そんな発艦の準備最中、スプルーアンス"南に日本の偵察機がおったで"という連絡がきた。

 

これでスプルーアンスはブチ切れた。

「南に敵空母がある!全力でカチコミや!護衛機が待てるか!飛び立ったヤツから、いてまえ!」

米空母エンタープライズと米空母ホーネットから飛び立った奴は、編隊を待たず順に攻撃に行けという。

 

ただでさえ雷撃機は格好の的であるのだが、当時、米軍雷撃機の魚雷がきちんと爆発する確率は1割であった。残りの9割は不発弾で、なんも役に立たなかったのである。

 

雷撃機が護衛もなく、さらに9割が不発するのに敵の的になれ、という命令は、日本の神風特攻隊レベルで酷な気がする。確かに神風特攻隊は片道燃料で飛び立てば死んだも同然である。しかし、米軍側も帰りの燃料はあったが9割は意味なく的になって死ねというものだった。

 

実際、ミッドウェイで出撃した米軍の雷撃機はほぼ全滅し、魚雷は最後まで一発も当たらなかったのである。

 

んじゃ、別の爆撃機である急降下爆撃機の方がいいのか、といっても、この爆撃機の攻撃手段は、かなり上空=高高度から、敵船に向けてほぼ垂直に落下するように急降下し、爆弾を落とした直後に急上昇するという、いずれにせよキツイものである。

 

果たして、このスプルーアンスの命令は良かったのか悪かったのか。結果的に多数の犠牲を出しつつも大勝利につながったのである。

一方で米空母ヨークタウンを指揮するフレッチャーは、念のため爆撃機の半数を温存していた。スプルーアンスはイチかバチかの賭けに出て勝ったといえよう。

 

第6章 米軍側:急降下爆撃機

 

スプルーアンスのブチ切れた命令で、空母エンタープライズから発艦した急降下爆撃機たちは、太平洋のど真ん中で迷子になった。

 

これは米国側の致命的ミスのはず。しかし結果的には劇的に幸運を招く

 

当時GPSなど無い。そのため、飛行機のパイロットたちは自分の手計算で距離と方角を割り出して進むしかなかった。言われたはずの方角には、何もなかったのである。

 

実は、進撃方向が南にズレていたのだ。

 

同じくエンタープライズから発艦した雷撃機と、別空母ヨークタウンから発艦した爆撃機は迷子になることはなかった。

 

一方で、ホーネットから出撃した雷撃機は日本軍を発見したが、爆撃機と護衛の戦闘機は最後まで日本軍を発見できなかったのである。

ホーネットの爆撃+戦闘機が日本軍を見つけられないというのは、米軍側の大ミス 

 

「あかん…もう燃料ないやん…帰ろっか…」

 

 エンタープライズからの急降下爆撃機隊があきらめて帰ろうとしたその時、偶然にも日本の軍艦を発見する。

 

「オイオイ!見つけたで!軍艦1隻だけってのは無いやろ…近くに空母があるはずや!」

 

この偶然が米軍最大の幸運となり、日本軍最大の不運となる

 

第7章 日本軍側:南雲

 

「クソッ、ヘタレ連中が大挙してきやがった!」

日本側空母は、南雲が選択した"手段2■帰ってきた機体を優先して着艦"と"対地爆撃から対艦魚雷への取り換え"作業中というてんわやんやの状態で、次々と米軍の雷撃機が襲い掛かってきたのである。

南雲が予想してたよりも米軍側の攻撃ははやかった。南雲は大ピンチに追い込まれる。

 

このときの米軍側の攻撃は、エンタープライズ+ホーネット+ヨークタウンからの雷撃機の集団であった。

しかし、この攻撃で日本側はほとんど被害を受けなかったのである!

 

なぜなら、米軍雷撃機パイロットたちは実戦はおろか訓練不足であった。集団としての攻撃はまったくといって訓練されておらず、バラバラに攻め入った結果、ことごく日本側の零戦と対空砲で撃墜していったのである。

 

これは米軍側の致命的ミスともいえる。雷撃機たちは攻撃に失敗し、ほぼ全滅したからである。しかし、これがまさかの分岐点になる。

 

「さすがにびびったわ。。お前ら、よう守り抜いた!」

この時点で、南雲の選択は間違ってなかった。南雲にとってこれまでの米軍の攻撃はあまりにも弱かったため、耐えられると予想したのは正解だった。

 

この米軍側雷撃機の攻撃から守り抜いた時点で、日本側はほぼ無傷。一方の米軍は攻撃機の大半を失っていた。ミニッツ、大ピンチである。

 

「準備でけたら、お前ら、皆殺しや…!」

南雲は攻撃隊出撃の準備を待っていた。

 

米軍側の雷撃機は水面スレスレの低空を飛ぶため、守るかたちでの零戦も低空で警戒していた。また、艦船側の見張り(当時、日本側にまともなレーダーはなかった)も、低空からの攻撃に神経をとがらせていた。

 

しかし、次の瞬間、

迷子になっていたエンタープライズの急降下爆撃機隊と、そのエンタープライズから1時間遅れて発艦したヨークタウンの急降下爆撃機隊とが偶然にも合流する!

同時に高高度から日本空母への攻撃態勢に入った。

 

この幸運で米軍が勝利、この不運で日本側が負けた瞬間である。

 

日本軍は、まったくの手薄状態だった高高度から米軍側の急降下爆撃機により、ものの2~3分で空母4隻のうち3隻を失ったのである…!

 

第8章 日本側:空母「飛竜」

 

唯一、日本軍に無傷で残された空母「飛竜」が反撃を開始する。

本来なら南雲のおやっさんの指令を待つのだが、山口司令官は独断で命令した。

「お前ら全員でタマとってこいや!」

 

ここでの山口司令官は先のスプルーアンスとおなじく、発進準備が整った爆撃機+護衛戦闘機だけでも攻撃をさせた。

 

米国空母ヨークタウンはこの飛竜からの攻撃でボコボコにされ、炎上する。

 

「見てみい!やってやったで!…のこり2隻や!やったるど!」

山口司令はヨークタウンへの攻撃隊が帰ってくるのを待ったが、その数は3割しかいなかった。

山口司令は、その残った3割で再度、第二次攻撃隊を発艦させる。

 

その第二次攻撃隊は進撃中に敵空母を発見する!この空母は炎上していない。これはヨークタウンとは別の空母だと判断。ただちに攻撃を開始した。

 

しかし実は、この空母はヨークタウンだったのである。ミッドウェイ海戦より前の珊瑚海戦でボッコボコになるもハワイで3日で修理した空母だが、ここでも、たった2時間で火災を消し止めたのである。

ここで日本軍の最後のミスとも思えるが、もはや挽回できる状態ではなかった。米軍側の修理能力…ダメージ・コントロールは素直にスゴイということだった。 

 

第二次攻撃隊はヨークタウンを再度攻撃して完全に破壊するも、被害も大きかった。

この時点で、山口司令は米空母3隻のうち2隻を沈めたと勘違いしていた。

 

「米空母はあと1隻とはいえ、さすがに機体を失いすぎや…夕方にならんと全滅や…」

 

攻撃側としては、日没前後の黄昏時(薄暮)が有利である。山口司令は、攻撃機の大半を失いつつも最後の最後までチャンスをうかがっていた。

 

しかし、日没になるよりも前、ついに飛竜は、エンタープライズとホーネットからの攻撃隊に発見されてしまう。

山口司令は相当警戒していたのだが、太陽を背にした米軍の急降下爆撃機からの奇襲攻撃を受け、日本側最後の空母、飛竜はおしまいとなってしまった。

 

以上が、ミッドウェイ海戦のホントかウソかわからないあらすじである。

 

第9章 その後の日本軍

 

ミッドウェイ海戦は日本の大敗に終わった。山本五十六が構想していた空母ありきの戦略は、空母を失ったことで終了した。

 

しかし、日本の新聞は、ミッドウェイで日本軍が勝ったかのように喧伝したのである。

ここで山本と南雲に処分をしてしまっては、新聞報道とつじつまが合わない。

 

結局、山本と南雲はこの負け戦で何も責任を取らなかったのである。

 

大本営垂れ流しで国民感情をあおる新聞報道と、組織のトップが責任をとらないってのは、現代日本にも脈々と通じるところがあるんじゃなかろうか(などという皮肉を言う俺ってカッコイイわ~…と悦に入る。)

 

両軍合わせて3千人以上が死んだ戦いだった。

 

あっ、今、映画館で「ミッドウェイ」上映してる…


映画『ミッドウェイ』予告編