今から200年ぐらい前なので、フランス革命のすぐ後ぐらいです。
ドイツでマルクスが爆誕します。
父親が弁護士の家で育ち、けっこう裕福でちゃんと教育を受けて育ちます。
(この"マルクス自身は裕福な家庭で育った"点は重要な気がします。)
マルクスが30歳の時、エンゲルス(28歳)との共著で「共産党宣言」を書きました。
その後の代表作「資本論」なんかを含めてその影響力は聖書と同じかそれ以上、まさに世界を変えたのです。
「共産党宣言」は短い本です。内容がわからないところは読み飛ばしてもらってかまいません。シビれるのは、現実に世界を変えた中二病満載のセリフです。世界を変えようとする者は、このぐらいカッコいいセリフを言って欲しいものです。
全くの余談ですが、遠藤ミチロウのバンド「ザ・スターリン」では、この共産党宣言のカッコいいセリフをそのまま「先天性労働者」という歌の歌詞として歌ってます。
もちろん上記の歌詞で「くさ~い くら~い」あたりは遠藤ミチロウの創作ですけども。
歌う様子もyoutubeで見ることができます。
いや~パンクですねぇ~(ニッコリ)パンクスは無政府主義、つまり究極の共産主義です!…え?youtubeで何言ってるか聞こえないですって?いいんですよ。ルー・リードもロックに歌詞は関係ぇ無え!って言ってましたから。
俺は遠藤ミチロウのソロ・ライブに行ってですね、観客は30人ぐらいだったでしょうか。帰りにCDを手売りするミチロウが「なんだよ!誰も買わね~のかよ!」とボヤいてたのがカッコよかったです。ハイ。
…え~っと、マルクスの話に戻りますけど、
文字通り世界を変えることとなった「共産党宣言」を、30歳以下の2人が書いたというのは、まさしく数百年に一度の天才だったことは間違いありません。
ちなみにヒトラーの著書「我が闘争」なんかは、国内政治のチマチマした話と、恨みつらみと、ボクたちの民族が一番偉いんだ!という話が延々と続くので、俺は最後まで読めませんでした。"簡潔なわかりやすさ"というのは人の心を動かすのに重要だとは思います。
では、そのマルクスは何を語ったんでしょうか。
はじめにマルクスが語った共産主義という話は、あっという間に世界中に伝わりました。
しかし、伝わるうちにどんどん内容が変わってきたのも事実です。
マルクス主義とは何か?という答えは人によって違うレベルにまでなってきます。マルクス自身「私はマルクス主義者ではない」と言ったというエピソードは有名です。
以下の話は、マルクスがはじめに考え出した(初期?原始?)マルクス主義を俺が簡単にまとめてみました。
■世界はかならず共産主義になっちゃうゾ♡
マルクスは人間の歴史は必ずこうなる!と断言しました。
1、資本主義が超発展します。
↓
2、少数のスゴイ金持ちと、大多数の貧乏労働者(プロレタリアート)の貧富の差が開きます。
↓
3、大多数の貧乏労働者(プロレタリアート)が金持ちをやっつけます=革命
↓
4、共産主義社会という天国がやってきて、貧乏人がむくわれます。
くわしく説明してみましょう。
マルクスの時代は、かなり混沌とした状態です。
フランス革命にもあるようにヨーロッパ全土で、王様ぶっ殺せ!俺たちが政治やるんだ!という感じと、おなじ国・民族で団結だ!違う連中をやっつけろ!という感じが混ざって、各地で革命・革命騒ぎが起こりまくり、誰が国家権力を握るのかをめぐって政治は超不安定です。
政治なんて貴族じゃあるまいし~と思っていた平民たちも、産業革命で機械化がじわじわ普及してきて、先祖代々続けてきた仕事が明日にもなくなるかもしれない、という不安もでてきました。
マルクスは、そんな混乱のなか、ついに歴史の真実を見つけ出した!お前ら安心しろ!と発表しました。
それがさっきの1~4の順番です。
1、資本主義が超発展します。
これまで工場などというものはなかったんですが、技術の向上と機械化によって、大量生産が可能になってきました。
企業(工場)の経営者たちは、それで儲けたカネで、さらに土地を買って、さらにデカい工場をつくって、機械を買って、さらに儲けたカネで土地を買って…というサイクルを繰り返します。このサイクルが資本主義の発展です。
マルクスの時代、フランスのパリやイギリスのロンドンで実際こんな感じになってきました。
2、少数のスゴイ金持ちと、大多数の貧乏労働者(プロレタリアート)の差が開きます。
この1のサイクルで資本主義が発展しまくると、結果的に経営者と労働者(プロレタリアート)の間でものすごい貧富の差が開いてきます。
技術の高度化・機械化はとどまるところを知らず、人間がいなくてもどんどん生産できるようになりますので、労働者は明日失業するかもしれないマジでヤバイ状況となります。一方で、経営者はどんどん金持ちになっていきます。
なぜ経営者は金持ちになるかといえば、労働者の給料をピンハネ(搾取)しているからです。そして金持ちは金持ちどうしで食い合いをし、結局はよりデカい金持ちだけが残ります。
最後に残るのはごく少数の超金持ちと大多数の超貧乏な労働者という社会になります。
3、大多数の貧乏人が金持ちをやっつけます=革命
ここで立場が逆転します。高度に発展した生産体制によって、生活に必要なモノはそろっています。経営者など不要です。
金持ち連中はビンボーな労働者(プロレタリアート)たちの手によって消えてなくなります。
4、共産主義社会という天国がやってきて、貧乏人がむくわれます。
もはや給料をピンハネ(搾取)するような人はいません。機械化によって生きるために必要なすべてのモノは、計画的につくられ、みんなに平等に配られます。ここにはもはや人間を制限するような仕組みはありません。政府も国家もありません。
※政府も国家も無い=無政府主義(アナーキズム)、だからパンクス(=アナーキズム!)は共産党に通じるのです。
以上、この歴史の流れは、必ずそーなります。太陽が沈んだらまた昇るのと同じぐらい絶対です。
だって科学的に正しいんだも~ん!…と、マルクスは主張したわけです。
■なんでそーなるの?それは唯物史観だからさ!
なんで1~4の歴史になるの?その科学ってなんなの?という理由は唯物論といわれる哲学がモトになっています。その唯物論からマルクスが考えるに、すでに歴史の流れはそーなると予想できたわけです。これが唯物史観です。
んじゃ、その唯物史観ってなんじゃらほい?
まず、すべて世界は上部構造と下部構造に分かれます。
↓ ネットで見つけた図解
こんな感じ。
要するに物理的なモノと豊かな経済があってこそ、あるいはそのレベルに応じて、哲学とか法律とか芸術とかができるようになるんだよ、という考え方です。
「衣食足りて礼節を知る」なんて言葉がありますが、意味は近いんじゃないかと思います。前原誠司もそう言ってますし。
ここで非常に重要なのは、世界の成り立ちの説明で神様がどこにもいないことです。
当時、キリスト教ガチガチのヨーロッパで、神様抜きで世界の仕組みを説明しようとしたというのは画期的、いや天才的でした。これが共産主義=無神論者と言われるゆえんともなります。
ともかく、人間はもともと自然で野蛮な状態なので、はじめは幼稚な文化しか持てませんが、やがて技術を持ち、それが発展していくことで、どんどん進歩していくというワケです。
人類の歴史から考えますと、
野蛮な人類→古代の奴隷社会→王様・貴族・平民がいる封建社会→資本主義
と発展してきたわけです。
さて、その資本主義の次を考えますと、高度な技術・機械化でものすごく経済が発展したら文化とかヤベェぐらい発達するじゃん!最後はもうパラダイスですよパラダイス!となるわけです。さて、そのパラダイスはどんな世界でしょうか?
マルクスが考えたパラダイス=人類すべてがピンハネされずに労働して自由に豊かに平等に暮らせる社会=共産主義の社会というパラダイスだったワケです。
■ところで、ピンハネ(搾取)ってなんだ?
なぜ労働者(プロレタリアート)は経営者よりビンボーなのか。それは経営者がピンハネ=搾取するからです。
なぜ経営者側は搾取ができるのか?
それは、労働者が作った商品は、必ず労働よりも付加価値をつけて売るからです。
つまり、
商品を作った労働力の値段 < 商品の値段
となるからです。
労働者が1人で1時間ぶん労働してつくった商品は、その1時間分の時給よりも高いワケです。
なんでなのか?といえば、その商品を作るために必要な土地や機械なんかにかけたカネの分が加算されてるからです。
土地や建物、機械なんかを所有するには、はじめにおカネが必要です。労働者はもともとカネがないので買えません。おカネを持つ経営者だけが土地を買い、さらに買い増ししていく、という構図になるんですね。
労働者(プロレタリアート)はビンボーなので、そもそも何も所有できません。労働者(プロレタリアート)は、自分自身を商品として経営者に売るしかないワケです。
それはもはや自分の時間を、自分の人生を会社に切り売りしてる奴隷じゃないか!
そもそも自然状態から考えると、土地を誰かが所有しているなんてのは不自然です。みんなのモノにしたらいいじゃん!
まるで日雇い派遣のように、大切な日々を切り売りしないと生活できないなんて非人間的なことはやめよう!
土地や会社はみんなのものにしよう!
これが共産主義のはじまりの考え方です。
異論は…いっぱいあると思うけど、原始マルクス主義ってこんな感じだと思うんスよね。
で、次は、なんでマルクス主義をみんないじめるの?どこが悪いっていうの?を説明してみます。