ウヨク入門一歩前 その3 …人権?

だいぶ前の話なんですけど、俺の友人が電車に乗ってた時の話です。


友人が乗ったその車両は、ラッシュというほどでもないぐらいの混雑だったそうです。
程なくして、
「にんげ~ん!にんげ~ん!」
と、大声で叫ぶ声が聞こえてきました。
友人も周囲の人も、びっくりしてその声を主を見ると、まあ、その、精神病理学的にアレな方だったので、見た瞬間、みんな、まあ、アレですよね、という感じで生暖かく見守ってたそうです。

やがて
「じんけ~ん!じんけ~ん!」
と叫びだした瞬間、車内は凍りついたそうです。

 

…という話は、まあ、おいといてですね、
G監督から「前に役所の庁舎の前を通ったときにさあ、その庁舎にでっかい垂れ幕がかかってて"人権を守ろう!"みたいなこと書いてあったじゃん。それ見て笑ってたけど、どゆこと?」と聞かれましたので、俺の"人権"感(?)を書いてみようと思います。

 

とりあえず、人権がどーたらこーたら言い出したのは、やっぱりフランス革命のはずです。
これは"サヨク入門一歩前"の最初で言った話にまた戻るんですけど、人権とは王様による政治を倒すための理由、もっと極端に言えば、王様と教会を殺すための理由だった、と俺は思っています。

 

その人権のはじまりとなったフランス革命の前後は複雑で、俺には何が何だかなんですけど、有名なのはバスティーユ襲撃でしょうか。

ja.wikipedia.org

フランスの刑務所を大勢の市民たちが襲撃した、という事件なんですけど、結局、その刑務所に入ってたのは7人で、政治犯みたいな奴は誰もいませんでした。


上記リンクのwikiには下記のように書いてあります。

(7人の)内訳は4人の文書偽造犯と2人の狂人、それに1人の素行の悪い伯爵である。

これ、要するに4人の泥棒と、2人の精神障害者です。最後の1人の"素行が悪い"ってどんな素行かと思ったら、単に伯爵の息子のくせに遊び人だった、というものです。なんというか…ワケわかんないと思いませんか?なんでコレが革命的なんでしょうかね?

 

このバスティーユ襲撃とかって何なんでしょうかね…俺としては、フランス革命って、すごい暴力的な「ええじゃないか運動」だったんじゃね?と思っています。


だって、フランス革命の後に議会でサヨク側に座った連中はテロの語源になるほどの滅茶苦茶な政治をしましたし、中心人物だったロベスピエールのやったことって結局グダグダで、王侯貴族と教会を敵にまわしてのグダグダの内戦(ヴァンデ戦争)になったりして、なんかもうフランス全土でヤケクソとしか思えません。

 

フランス革命で、なんで民衆が王侯貴族とかキリスト教とかを敵に回してケンカしたのか、といえば、まずは、王侯貴族の政治に民衆が飽き飽きしてた、ということは間違いないとは思います。

それと同時に、アレ?もしかして王侯貴族じゃない奴でも政治やっていいんじゃね?と気が付いてしまったコトです。


んじゃ、その正当性って何でしょうか?
当時、善悪を判断するはずのキリスト教は王侯貴族にベッタリで信頼できません。
そこで出てきたのがキリスト教よりもエライ神様がいる!=人権を思いついたのです。

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人権を思いついたイメージ

「人権神様が、オラも政治してもいいって言っただ!みんな~ぱらいそさ、いくだ~!」というワケです。

 

…え?神様?人権が神?宗教とは違うんじゃないの!?


先ほど出てきたフランス革命の中心人物ロベスピエールwikiを読んでみるとですね、

ja.wikipedia.org

以下の説明が書いてあります。

 

ロベスピエールは非キリスト教化を主導して最高存在の祭典を挙行するなど、革命政府の中核的存在となった。

 

「最高存在」っていうのは、キリストよりも最高の神様ってことです。その神をたたえる祭典を開いてました。
つまり、人権の根本は宗教です。

 

え~?でもさ、神は死んだ!とかって言ってたじゃ~ん!
というご意見もありますが、それは結構後からで、フランス革命後100年ぐらいは後だと思います。俺としては戦後ぐらいからじゃね?と考えています。具体的には実存主義という考え方が流行してからだと思うんですよ。

 

宗教と、哲学や思想の違いは何か?といえば、その話があってるのか間違ってるのか議論できるかどーかです。
宗教とは、そもそもあってるか間違ってるかは問題になりません。

そもそも絶対に正しい神様がいる、というところからスタートしています。
なので、キリストは正しいのです。

なぜキリストは善なのか?正しいか?は質問として間違っています。

なので、同じく人権はなぜ善であり、正しいのか?という質問は、質問自体が間違っています。
人権だから善であり正しいのです。なぜなら人権も宗教だからです。

 

フランス革命からひろまった人権教は、そもそもキリスト教から出てきた新興宗教なので、根本的には同じ性質があります。

 

ひとつは、一神教であること。
フランス革命キリスト教とケンカしたのもこの理由です。人権は絶対真理なので、お前らも信じないと殺すぞ!というマジでヤバい、いかにも新興宗教っぽい危なさを秘めていました。これがグダグダの内戦(ヴァンデ戦争)となった理由です。


現在、人権はすっかり世界宗教になったので、キリスト教含めて現地の土着信仰とはお互い折り合いをつけた感じになってます。

 

ひとつは、おせっかい、ということ。
これはいかにもキリスト教っぽいのですが、正しい教えはひろめなくてはならない、という性質があります。原始仏教小乗仏教)なんかは、教えを知りたいものだけが仏門を叩けばよかったんですけど、キリスト教とか人権は、正しい教えは全員が知るべきだ!断る奴はみんな悪だ!という方向があります。

 

あと、抽象的な神であること…というのも、昔からの宗教は自然のものが神様になる…太陽とか雷とかは、人知を超えてるので神様だ、というのはわかりやすいんですけど、国家を統治するには、なんかモヤっとして抽象的な方が使い勝手がいいと思います。


やがて、王侯貴族の政治制度(封建制度)から、王様殺していいんだよ、だって人権だもん!というわけで、そーいう人権を根拠にした近代の政治制度がつくられるようになりました。

 これが民主主義です。

 

…と、サヨク入門一歩前から読んでいただいた方ならピンとくると思うんですが、んじゃ共産主義も人権思想なんだから民主主義なの?というご質問があるかと思います。

答えはハイ、そうです。

共産主義だろーが社会主義だろーがアナーキーだろーが民主主義です。

 

社会民主主義とか、 朝鮮民主主義人民共和国とか、いろいろなナントカ民主主義が山ほどありますが、みんな人権がモトになっているという点で同じです。

はやみんな人権を疑ってないんですから、オラんとこの政治は民主主義だべ!って言ったら勝ちみたいな状況ともいえます。

 

え~?なんで?民主主義ってのはさ、国民ひとりひとりが一票入れる、選挙が必要でしょ?中国とかってそーいう選挙ないじゃん!中国も民主主義なのかよ?
というごもっともな疑問があると思います。

 

選挙というのは、民主主義の政治を行うための、単なる手段です。
ちなみに国民みんなで選挙した結果、ドイツではヒトラー政権が誕生しましたし、イタリアではファシスト党独裁政権を意味する悪口"ファシスト"の語源となった政党)が生まれましたし、日本でも先の大戦より前から選挙はしてました。

 

なんで選挙したら人権が尊重できるんでしょうか?その根拠は何でしょうか?別に選挙なんてしなくても、トップダウンで人権尊重すればいいじゃ~ん!というのが中国側の主張です。

 

まあ、俺としては最低限、選挙ぐらいやれよ、と思うんですけどね。。

 

ともかく、人権はキリスト教すらも超えた世界宗教となりました。

キリスト教カトリックプロテスタントとか、いろいろな宗派に分かれていきましたが、人権も全く同じで、いろいろな宗派に分かれていきました。

資本主義・西側、具体的にはアメリカ・ヨーロッパ・日本なんかの人権タイプと、共産主義・東側、具体的には中国を筆頭にした人権タイプに大きくわかれています。

 

さらに日本国内、いや、都道府県、いや、市町村レベル、いや、学級委員会レベルですら、様々な人権派を唱える人がでてきて、俺がホントの民主主義者だあ!って奴が山ほどでてきたというワケです。

 

ここでやっと、G監督がはじめに「なんで市庁舎の"人権を守れ!"って垂れ幕をみて笑ったの?」の答えが書けます。

いまや日本は人権教国家です。それを疑う人はいません。日本国が外交的なメッセージで言うならともかく、市町村レベルで"人権を守れ!"というメッセージなんて、町ぐるみで狂信的になれ!という意味か、あるいは"お前ら人権思想が足りないから俺たち公務員様が教え込んでやる!"というおせっかいな意気込みとしか読めません。

…まあ、普通の人とすればそんな市庁舎の垂れ幕なんて"人権で飯食ってる連中"あるいは"人権という仕事をしなきゃいけない公務員様のポーズ"にしか過ぎないのを理解してて、みんな見て見ぬフリをしてるだけで、「じんけ~ん!」と叫ばれるともう相手にできない、というあたりが笑える、という話です。