竜女戦記

かなり昔、G監督にコレ、面白いYO!と渡されたのが
ナチュン」だった。 

ナチュン(1) (アフタヌーンコミックス)

ナチュン(1) (アフタヌーンコミックス)

 

 南国の海辺に住む土着の民の物語で、性的にもなんか変だな…と話を進めるうち、驚愕の展開を迎えるマンガであった。著者の都留泰作は京大出身の文化人類学者であり、同時にマンガ学(?)の教授という異色の漫画家。

 

続いて「ムシユヌン」は「ナチュン」以上にハナッから頭がおかしいが、同じく驚愕の展開を迎える。「ナチュン」を知ってる読者としては"今度はそーいう方向できたか!"とうならせる怪作であった。

 

で、3作目となる漫画は「竜女戦記」

竜女戦記 1

竜女戦記 1

 

 現在2巻まで出ていたので、早速購入して読んでみた。

 

この作者としてはサイズが大きいのが嬉しい。この人のは大きい紙で読みたいし、今回の内容も入り組んでるので大きいサイズが良いと思う。

 

先の2作品と比べて、導入部分から妙に話が複雑…主人公たちの国の状況説明が複雑だし、登場人物がヤケに多い。
架空の日本の戦国時代?みたいな話なのだが、SFというかファンタジーが入り組んでる。

 

どこまでホントの話なのか…読者としてはウソかホントなのか真偽できないまま、この物語の世界の成り立ちから現在状況までモノローグで説明される。
んでもって、次から次へと登場人物が現れる。
主人公含めてどの人がどのぐらい重要なのかがよくわからないまま物語が展開されていくので、多少混乱する。

 

1巻も終盤になると、徐々に物語が見えてくる。
ただし、2巻でも新しい人物が入り乱れ、物語が進みそうでなかなか進まない。

 

著者のこれまでのマンガは、後半に加速度的に物語が展開されるので、かなり期待はしてるけど、これまでの2作とはだいぶ毛色が違うな~と思ったら、以下のサイトを読んでナルホドと的を射た。

book.asahi.com

本作「竜女戦記」は「ゲーム・オブ・スローンズ」の受け売りだ、と言っている。
俺は「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作「氷と炎の歌」は読んでないが、ドラマは見た。
このドラマはまさしく傑作で、中世ヨーロッパを舞台にしたファンタジーだが、その世界観、物語の衝撃的展開は他に類を見ないレベル。

指輪物語」とかのファンタジーと似てるといえば似てるんだけども、スケールといい物語の複雑さと予測不可能な展開は群を抜いてる。


「ゲーム・オブ・スローンズ 第一章:七王国戦記」予告編1

実は「ゲーム・オブ・スローンズ」には決まった主人公がいない。
序盤に大量の登場人物がでてくるし、物語が進むと、あれ?これ、あの時の人かな?みたいな話が次々と出てくるので、ボーッと見てるだけでは内容が理解できない困ったドラマでもある。
かなりの人が序盤で見るのをやめてしまった、というのもわかる。

 

ただし、多くの登場人物のそれぞれが主人公レベルの話となっており、単に悪役と思っていたものの立場が逆転したり、この人がリーダーになるんだと思ってたら思わぬ人物の策略で失脚したりと、物語の中盤は超面白い。
そして、時折、謎の超常現象のような出来事が一体何なのか?という謎が付きまとうのも魅力である。
俺は悪役・サーセイのカリスマ描写に恐れ入った。

 

なるほど「竜女戦記」が「ゲーム・オブ・スローンズ」だといわれて、登場人物の多さといい、国家間の政治の話とか、さらに竜とか鬼とか、なにコレ?的なものの理由は分かった。
もともとが奇想天外な物語を描く著者だが、どーいう着地をするのかは実に楽しみである。