マザーレス・ブルックリン

日本近海をヨットで4日間航海して、地元のヨットハーバーに停泊したという70過ぎのアメリカ人と昼飯を食った。


その人曰く「トランプ大統領がTPPを抜けたのはアホだ!」

というので、バイデン支持ッすか?と尋ねたら

「いや~、バイデンというよりサンダース支持者なんだよね」

…サンダースの主張って国民皆保険とか基本的に日本の制度をアメリカに導入しようとしてるだけのようにも思うんですけど、アメリカ国内ではサンダースは共産主義者だと非難されるそーですけど、アメリカ人は日本を共産主義国家と思ってるんですかねぇ?

と尋ねたら苦笑いしてた。

 

んまあ、そんなこんなで映画の話になって、その人曰く「マザーレス・ブルックリン」面白かったよ!と言うので、さっそくネットフリックスで見てみた。


映画『マザーレス・ブルックリン』本予告 2020年1月10日(金)公開

実に渋い探偵モノで、登場人物は多いし結構話は複雑なんだけども、面白かった。
最後のスタッフロールで主演のエドワード・ノートンが、監督も脚本もしてたのがわかって驚いた。


有名俳優がこんなゲキシブ映画を撮るってのは…トミー・リー・ジョンズ主演・監督「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」を思い出した。

 

ところで、この映画のセリフでよくわからないところがあった。
とある主要人物が死ぬ瞬間に「フォルモサ…」と、謎の単語を主人公につぶやく。

その主人公が仲間に
フォルモサって何だ?」と聞くと
「台湾?」
という日本語字幕が出るのだが、発音はジャパン?ジャップ?と聞こえた。

明らかにtaiwanとは言ってない。


日本語字幕を英語字幕に切り替えて(ネットフリックスはこーいうのができるのでエライ)確認すると
「jap island」

と言っていた。

 

物語の設定は第二次世界大戦直後なので、日本の蔑称japはわかるがjap island…直訳すれば「日本の島」が台湾か!と初めて知った。確かに大戦後まで台湾は日本領だった。
しかし、何でフォルモサが台湾なんだろう?

 

フォルモサ formosa」で調べてみると

Formosaの意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書

formosa=台湾の旧称

へぇ~…知らんかった。

 

ちなみに、台湾が日本領だったのは、日本が侵略戦争を仕掛けたわけではない。
日清戦争の結果、賠償として清国から割譲されたからである。

 

割譲された当時の台湾は、清国にとって化外(けがい)の地とされ、ほとんど統治はされてなかった。実際、台湾には首狩り族がいて、隣の部族の首を狩ることで成人の儀式とするという風習があった。

 

清国からの割譲を受け、日本が台湾に乗り込んできて統治する様子を描いた台湾人による台湾映画の傑作「セディック・バレ」がある。


『セデック・バレ』予告編

この映画は、当時の台湾を舞台に首狩り族の話からはじまる。
日本統治が進む中で、日本が建設した学校で運動会が行われるのだが、その運動会の日に決起した台湾部族により、子供も含め日本人100人以上が皆殺しにされる事件(霧社事件)が起こる。そして、ついに日本軍vs台湾部族の戦いが起こる…という、史実をもとにした映画である。

 

日清戦争に台湾は関係ない。なので勝手に清国が台湾を日本へ割譲させてしまったのは、土着の台湾人にとっては迷惑千万な話であるというのはわかる。


そして、当時、統一した台湾人というのも存在しなかった。

なにしろ、となりの部族同士で首の狩りあいをしてたので、部族間で話はまとまらず、対日本軍でも団結することはなかったのである。