■「スパイダーマン・スパイダーバース」見る。
アニメ関係の賞を総ナメした作品だが、俺はアメリカのアニメ…ディズニーやピクサーのアニメは好きではない。人間がまるでゴムでできたようにプルプルして伸び縮みする感じはどーも違和感がある。
ネットフリックスで「スパイダーマン スパイダーバース」が公開されたので見た。
ナルホド、これはちょっと新しい感じがする。
予告編はおとなしいが、だんだん画面はド派手になってくる。
この感じ…押井守「イノセンス」で冒頭、街の夜景が異常にキレイで、あ~アニメがなんか新しい感じになったなぁと感心したのを思い出したが、その時の経験に似た、というよりもさらに新奇性をスパイダーマンに感じた。
アメコミをそのままアニメにしたらこんな感じだろう、という、日本のアニメでもマンガでもピクサーでもない、ポップなイラストをアニメで動かす、という感じ。
以前に読んだ「読者ハ読ムナ」で、
「マンガはイラストになっては駄目だ。動きが無くなるから」
という指摘がある。
確かにそうで、アメコミはいわば決めポーズ集みたいなマンガ、イラスト集のカタマリみたいなマンガなんだけども、このアニメは、全てが決めポーズで構成されたアニメのように見える。そのデザインセンスは感心する。
一方、物語はまあ、どーでもいいかな。。
悪人がブラックホールを作って街を破壊しようとするのでスパイダーマンが止める、という話。
物語のクライマックスは、大友克洋「AKIRA」と同じイメージで、ビックバン的なエネルギー体?の中で戦っててビルや電車が吹っ飛んでくるんだけども、これがまた抽象的なというか原色の派手派手しいデザインが次々と襲い掛かるような感じは新しい。あえて言うなら「2001年宇宙の旅」で最後に主人公がモノリスでトリップしたときの謎の抽象画を現代風に超過激にした感じと言えばいいのか…。
まあ、ラスト30分でも見ると面白いかも。
■「1917 命をかけた伝令」見る。
最後までワンカット、ず~っとカットを切らないという試みは「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」で先にあった。
しかし、この映画「バードマン」でカットを切らない必然性は何もなかったと思う。
今回の1971は、ワンカットに必然性がある。
主人公は、数時間前まで敵の前線基地だった場所を通過して、自軍の最前線まで伝令を届ける、という物語。
まず、目的がハッキリしている。んで、ず~っと主人公が映ってるので話は非常にわかりやすい。
舞台が塹壕戦というのもあって、そもそも極端に視界が狭い、とゆーのもワンカットのデメリット…周囲の状況がわかりにくいので窮屈に感じやすい…を消してる。
そこで、視聴者は主人公と一緒に、いつどこに敵がいるかもわからない場所をゆっくり進んでいく。
ある意味、1人称のゲーム画面のようにも思えるが、そこは圧倒的に画面がキレイなのでゲームっぽさはない。
この緊張感はなかなか面白いし、クライマックスのデカさにも感心した。