ベスト・フレンド

某Hよりお叱りを受ける。

先日の俺のブレイディみかこ書評がクソである、と。
「お前は、ブレイディみかこを左翼とカテゴライズしただけで何もわかってない」

torisoba-bekunai.hatenablog.com

 いや~…スマンね。。

 

ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読んでて、既視感というか、ふと思い出した少女マンガがあったんだが、そのタイトルも著者名も全然思い出せない。

 

せめてものつぐない?として某Hに紹介したかったんだが、どーも思い出せない。
2日ほどネットでいろいろ検索して、ついに判明した。

 

この少女マンガを見つけるのにブックオフの少女漫画売り場をオッサンが行ったり来たり、文字通り舐めるように本棚を注視してたことについて、世間の皆様に申し訳なかったことをまずは謝っておこう。。

 

著者は原田智子。
見つけたのは「ベスト・フレンド」1~4巻+ルーツ編、あと「ブルジョワジーの密かな愉しみ」

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「ベスト・フレンド」の初版が1992年って、もう30年前かよ。。

絵柄からもわかるように、ブリッブリの少女漫画である。ただし、読者年齢層は高い。連載雑誌はフィールヤングで対象年齢は大学生以上。
なので、この漫画の2人の主役うち女性は20歳前後、男性は30歳前後の設定である。

 

確か「ベスト・フレンド」の前の連載で、その2人の出会いから描いてたと思うんだけども、「ベスト・フレンド」は2人が結婚してからの話で、物語は2人が金持ちの家でイチャイチャしているだけともいえるのだが、他の少女漫画とは一線を画す思想が興味深い。

 

登場するヒロインは服飾デザイナーで成功しており、かなりのナルシスト。一方のヒロインは文筆家を目指しており、かなりフェミニズム論者、というか、この作品自体がフェミニズム啓蒙(?)マンガとなっているのだ。

 

結婚した2人の家に友人が訪ねてくるのだが、その時の2人のセリフが

「僕たち左翼のインテリゲンチアで無神論者だから」

と、臆面もなく伝える。その友人も

「てっきりKGBのスパイか日本赤軍のコマンドかと思った」

 

このマンガの読者の9割以上はそこらへんのセリフの意味は分からないとは思うが、作者もそれをわかってて、その左翼のインテリゲンチアで無神論者による主人公2人と、世間とのズレをコメディとして描いている。そのコメディがちゃんと面白い。

 

さらに少女漫画にもろ、フェミニズムはじめ人種差別等々政治的セリフが出てくるし、主人公が読んでる雑誌が「今日のソ連邦」とか、何故かピロシキ食ってるとか、作者のソ連への憧れがいろんな部分ににじみ出ているのも興味深い。

 

今読み返して面白いのは、ゲイというかホモは本書でまるっきりギャグの扱い。
LGBT云々は時代で変遷していくのがよくわかる漫画でもある。

左派系のメッセージが強い女性漫画家といえば石坂啓が有名だが、ギャグの質は原田智子が上をいってると思う。