シン・エヴァ論・論

アメリカ人から電話。レンタカーの話かと思いきや
「あのさ、昔に貸してくれたDVDでさ、100円でなんかご飯食べるストップモーションの変なビデオ、あれ、タイトルなんだった?」
と急に聞かれて全然わからない。


「ほら~!あの変なやつだよ!」
こう言っては何だけど、俺の持ってるDVDは全部変だと思うんだよ…
100円というのはわからんが、俺の持ってるストップモーションのDVDでヤン・シュバンクマイエルかな?

「え?やん?シュワンクマイヤー?」
いや…ごめん、名前のホントの発音全然わからんけど、チェコスロバキア、東ヨーロッパの監督で、ヤンだから多分JANかな。
…あ、そういや飯食うシリーズあったな!


Jan Švankmajer - Breakfast (Food 1992).

これか?
「そう!コレだ!」
全然100円じゃないよ…そもそも何だったんだろう。

 

 

という話はいいとして、エバおじさんの何が面白いかといえば、エバ見てあれこれキャッキャ話すのが楽しくてしょうがない。

 

俺がシン・エヴァを劇場で見てからの、見た順のシン・エヴァ解説動画

 

岡田斗司夫


シン・エヴァ完全解説〜ネタバレなし&有りのダブル解説〜観る前と観た後で10倍面白くなります! 岡田斗司夫ゼミ#386(2021.3.14) / OTAKING Seminar #386

この人の、いつもの上から目線の解説。
ここでハタと気づかされたのが、13号機登場シーンの変なポーズ…あれってカオル君の登場シーンのポーズと同じだとの指摘。

クソッ、なんで俺ぁ気が付かなかったんだ!と肩を落とす。

 

■ライムスター宇多丸コンバットREC


宇多丸さん vs コンバットrecさん シン・エヴァ鎮魂談話前半ネタバレ

俺が楽しみにしてたライムスターの感想だったが、むしろコンバットRECのコメントにビリビリきた。
エヴァという作品を見たいんじゃない、庵野監督の作品を見たいんだ!」
確かにそうだ。
旧劇場版からの怨念?が積もりに積もった俺みたいな客層は、確かにエヴァがどうとかじゃなくて庵野秀明が何考えてるかが知りたいから見てるのは間違いない。

 

この話で俺がふと思い出したのは、宮崎駿風立ちぬ
この映画…映画としては面白く無いと俺は思ってるんだけど、これも劇場で見てちょっと涙が出た。
なんでか、といえば、宮崎駿の半生、まさしく生き様を「風立ちぬ」から読み取ったから。

 

宮崎駿はマジで学生運動してたサヨクで、戦争大嫌いなんだけど、兵器が死ぬほど好きなミリオタという矛盾。
・自身がロリコンでアニオタのくせに他人のロリコンでアニオタ連中が大嫌いという矛盾。
・結婚して子供ができたけども全然家に帰らなくて、その息子=吾郎は母親から「こんな父親になってはいけない」とずっと言われ続けた結果、なぜか息子がゲド戦記を撮ってしまったという矛盾。
・その息子がつくったゲド戦記は駿の単に劣化コピーだったというのに興行的に大成功という矛盾。
・「となりのトトロ」がずっとDVD化されなかった理由は、子供は外で遊ぶものであって、DVDなんか出したら家の中にこもってしまうじゃないか!と本気でスタッフに怒ってたから、という矛盾。

 

そーいう矛盾を抱えまくった本人の行きついた先に「風立ちぬ」ができたという経緯、その映画の中味も、家族省みずに最強の殺戮兵器をルンルンで楽しくつくってしまうけど、結果として敵味方死にまくる(その場面は一切描かない)…

つまり、たとえ嫁子供が遠くで死んでても俺はアニメ映画つくるの楽しくてしょうがないんだよ、できたアニメで子供は暗い家の中で閉じこもってテレビ見てて、ロリコンオタクも大量生産されちゃってもアニメ映画つくるの楽しくてしょうがないんだよ俺は!的な、いわば映画監督としての業(ごう)を感じて、俺ぁ涙がでたのである。

 

なので、そんな宮崎駿の人となりをまったく知らない人が見たら、多分、「風立ちぬ」は面白いとは思えない。

 

エヴァの映画もそーで、新劇場版だけ見てる人は意味が分からないと思う。
コンバットRECが言うように、エヴァンゲリオン庵野秀明私小説、という解釈をしてるかしてないかが、この映画が面白いかどーかの分かれ目だ。

 

なので、庵野秀明に興味ない人は多分、シン・エヴァは"意味わかんない"だけだと思うし、それで別に間違ってるようにも思えない。実際、意味わからんシーンは山盛りあるし。

そこで、この、コンバットRECのいう
こんだけ庵野監督が苦しむなら、エヴァなんて無ければよかったんだ!
というワケのわからないセリフが最高に面白かった。

 

■マクガイヤー

www.youtube.com

楽しみにしてたマクガイヤー、期待以上の解説にショックを受ける。

シン・エヴァでは前半、クソ田舎で田植えしたりの農業パートがある。しかも結構長い。そもそもエヴァ、いや庵野秀明といえば都会の絵、電柱・電線だろ!ぐらいにしか思ってなかったので、ワケが分からん…これがエヴァか…と思ってたんだけども、マクガイヤーに言われてハタと気が付いた。

 

エヴァTVシリーズからずっと主人公の心象風景パートは、古い電車である。
シン・エヴァで、その田舎は古い電車の車庫、終着駅となっており、そこででっかいターンテーブルで電車が180度方向が入れ替わる装置が描かれる…つまり、ここの場所からエヴァの物語は折り返し地点・180度変わりますよ!という宣言だよ!と言われて激しくショックを受ける(笑)

 

その農業パートで、貴重な食料を出されたが手を付けない主人公に向かって「出された食い物を残すな!」と説教する知らないオジサンがでてくる。こんな人物…常識というか礼儀を教えるまっとうな大人…は、これまでエヴァに登場してこなかった。こういう普通の大人を通じて、さらに昔の登場人物が皆常識を持った大人として登場することで、いわゆるセカイ系="全ての世界は自分だけ周囲2m程度に閉じてる"という話は、否が応でも他者と泥臭く生きていかなきゃならないんだ、エヴァからはじまったセカイ系はこれで終わり!超えていくのだという宣言だ!と言われて激しくショックを受ける(2回目)

 

そもそも庵野監督は超偏食家である。
庵野秀明の嫁、安野モヨコのマンガ「監督不行届」

監督不行届 (FEEL COMICS)

監督不行届 (FEEL COMICS)

 

このマンガに偏食の様子が描かれているが、肉魚駄目で、サッポロポテトバーベキュー味が主食だそうである。

 

マクガイヤーいわく、安野モヨコと結婚のあいさつでモヨコの両親宅に行ったんだよ。そこで食いもん出されたけど食えなくて、「出された食い物を残すな!」って絶対怒られたんだよ!という解説を聞いて激しくショックを受けた(3回目)
なんか言われてみたらそんな気がする!

 

あと、G監督からのご紹介
■茶一郎 映画レビュー


【鍵となる一つの映画から見た】シン・エヴァンゲリオン 劇場版 :|| レビュー【ネタバレ全開】

この人は、新劇場版からのファンというコトで、なんというか、スマート。
新劇場版からの解釈で頭のいい人が解釈したらこんな感じ。なんも間違ってない!なんも間違ってない…が、旧劇場版からの呪いで20年以上脳みそがイカれた感じがもっと欲しい…!