スマホ脳

アンデシュ・ハンセン「スマホ脳」読む。

 「イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史」がスゲェ読むのに疲れるので、その気休めに読んだ本なんだけど、これが興味深かった。

 

冒頭、人間というかホモ・サピエンスとは何か、という話から入る。我々は数十万年以上続いた一種の生物であり、実はスマホ含めて現代社会に適応するようには脳や体ができてないんだよ、という本である。

 

例えば、注意力が続かない、注意力散漫、というのは進化論的に正しい。
数千年前、森林の中でポツンと残された人間を想像してほしい。
ふとした物音、かすかに動いた枝葉に即座に反応しないと危機的状況になるため、常に全方向に注意を向けなければならない。

 

それが現代だと、椅子に座って本なり資料なりを読み続ける、という行為が求められるのだが、集中力が続かないのは人間の本性というわけである。

 

スマホ、特にSNSはそこをうまく利用してくる。
人間の脳内麻薬というか快楽物質を最大化させることに特化している。
例えば、画面を切り替える(スワイプする)場合、コンマ何秒かわざと遅らせる。そのことで、無意識的に期待させるのである。

 

あるいは、人と人とのつながりを常に意識させる。
うわさ話は人間、誰しも興味がある。なぜなら、身近な人のうわさを聞きたいという欲求は進化論的に重要だから。
ホモ・サピエンスは集団を形成する生物である。そこの社会的つながりは生存本能と直結している。スマホは、その奥底にある欲求を突いてくるのだ。

 

現代人は、スマホを一日当たり2600回触るらしい。
利用時間は平均4時間。高校~大学生あたりになると7時間というのも珍しくない。

 

スマホを使うとアホになる、というレベルの話ではない。
他人のスマホが視界に入ってるだけでアホになる、という科学的データを提示したなかなか興味深い本だった。