堀内勉「読書大全」やっと読み終える。
紀元前から今日に至るまでの名著200冊の書評集。
とにかく著者の読書量には恐れ入る。本書も電話帳並みに分厚い。
書評のいいところは、自分が読まなくても"読んだ気になる"ことである。
マルクス「資本論」とかハイデッガー「存在と時間」とか、日本語に翻訳されてるのに日本語として俺は理解できないレベルだし、西田幾多郎「善の研究」なんかも原書が日本語なのに理解できない。
こーいうクッソ難しい本の要約をしてくれるのはありがたい。
個人的には本書のおかげで、ゾロアスター教からキリスト教に至る系譜というか、善悪二元論の元ネタはゾロアスター教、というのを知った。
政治経済哲学歴史、あらゆる分野をひとりでまとめる、というのを専門家は嫌う。絶対に批判する奴がでてくるからだ。
俺も、自然科学のリストにトーマス・クーン「科学革命の構造」を入れた方がいいんじゃない?とか思ってしまうのだが、そーいうクダらねぇ批判を恐れず書き上げたというのは専門家ではなかったからかも知れないが、ホントにスゴイ。
ブックガイドとしてはもちろんだが、著者の頭の中を覗き見る、という見方が面白いようにも思える。
なにしろ、はじめに紹介するのが"経済"分野である。普通なら歴史とか宗教とか哲学あたりだろうが、経済に思い入れがあるんだ!という意図も感じるし、その経済系の書評の知識レベルが他の分野と比べて高い気がする。
まあ、サブタイトルが”ビジネスリーダーが読んでいる~"だからかも知れないが。
本書の紹介で俺が読みたくなった一冊は、約2千年前の第16代ローマ皇帝マルクス・アウレーリウス・アントニヌス「自省録」。
君がそんな目にあうのは当たり前だ。君は今日善い人になるよりも明日なろうというのだから。
善い人間のあり方について論ずるのはもういい加減で切り上げて善い人間になったらどうだ。