伝説のラーメンハゲ

■腸よ鼻よ

古本屋で1,2巻100円で買った後は全部新刊でそろえてしまった。
5巻が出たので買わねばならなかった。
あの安倍晋三も同じ難病という"潰瘍性大腸炎"を患った作者の体験エッセイ・ギャグ。

 

俺もケガや病気の経験はあるが、ここまで自分をギャグにできない。
5巻でついに大腸を摘出する手術となる。

 

■らーめん才遊記

コンビニ本の古本で見つけたので全巻購入。
伝説のラーメンハゲこと芹沢達也が超カッコイイ。

 

そもそもは「ラーメン発見伝」にて、ラーメン好きの駄目サラリーマンが主人公で、いかに美味いラーメンを作るか、そしてラーメン屋ができるか?というマンガであった。
が、「ラーメン発見伝」のライバルで悪役で登場したラーメンハゲこと芹沢達也に読者は魅了された。

 

主人公はよくあるラーメンオタク気質なのだが、芹沢達也はそのラーメンを経営の観点から批評する。その批評はいわば"言ってはいけない""身も蓋もない"話なのでビリビリくるのである。

 

本書の「らーめん才遊記」は「ラーメン発見伝」の悪役・芹沢達也を準主役とした続編でもありスピンオフでもある。ちなみに主役はラーメン素人の若い女性であり、この設定のため読者にとってわかりやすい説明役となっている。

 

はじめはラーメン経営の話で、例えば、雑居ビル4階のため客の入りが悪いラーメン屋をどうするか?ラーメン屋の店主となるべき人材は?あるいはバイトはどんな人を雇うべきか?などといった内容であった。
しかし、途中からラーメン対決になってちょっと興ざめしてしまったのだが、その最後、ラーメンとは何か?という定義は非常に面白かった。

 

要するにラーメンとはニセモノだ、という。
麵は手打ちよりもほぼ機械でしかつくれず、化学調味料が入れた方が安価でウマイに決まっている。蕎麦なんかと違ってあくまでB級グルメにとどまる理由はここにあると喝破するキャラが登場し、皆、ぐうの音も出ない。

 

あくまでもクールな悪役だった芹沢達也はそのセリフを決して否定せず、作中、唯一といっていいアツいセリフを言う。
「ラーメンとは、フェイクから真実を生み出そうとする情熱である」
そしてラスト、「らーめん才遊記」を読んだ読者だけがグッとくるシーンで終わるのである。

 

日本人のラーメンに対する異様な熱意については、「美味しんぼ」で暗い情動みたいな話が取り上げられるが、そもそもの言い出しっぺは寺山修司ではないかと思う。

うろ覚えだけども寺山修司はラーメンについて、煮えたぎる大鍋の料理ってのは何か黒魔術か錬金術を思わせる的なエッセイだったように記憶している。

 

後編■第5章 仏教の伝来と道教の出現

この章はG監督が好きそうだ。

三国志時代あたりから、上流階級を中心に仏教が伝来し始める。
そのため、仏教的解釈が国教である儒教にも影響を与えるようになった。
そして同時代、道教が形づくられるようになる。

 

「チャイニーズ・ゴーストストーリー」が最近リメイクされたらしいけども、その世界観はいかにも中国っぽい。この中国っぽさが道教っぽさでもある。

 

この道教老子荘子思想と神仙養生=仙人が混ざってできた宗教である。
老子思想は以前にも説明したが、ヒッピーみたいなもんで、道徳とか政治とかそんな人間社会など取るに足らない物であって自然に帰れ的な思想である。

 

一方、仙人思想は、不老不死を目指す。
秦の始皇帝も不老不死を目指したが、誰しも長生きしたいな~的な素朴な信仰であった。そこに金丹を練るとかの怪しい薬をつくったり、変な術とか修行するみたいな話ができた。

 

その邪教ともいえる仙人思想に深みを与えたのが老子思想である。


後編■第6章 魏晋南北朝時代における高踏的無政府思想

先ほどの道教にもあったが、政治や道徳など所詮人為的なものである。人間は自然にかえるべきで、政治など下品な行為であるというのが超カッコイイ、イケてる、という思想もでてきたのがこの三国志時代である。

 

まあ、戦乱続きで政治などクソ食らえという風潮もある一方、最大勢力である儒教も究極的には無政府主義的な傾向がある。
そのため、何も欲せず、積極的に何もしない、というのがむしろ清々しい人間の生き方だ!的な思想が大流行りした。