バクちゃん

■バクちゃん全2巻 イイよね、コレ。

宇宙人である獏の子供が地球に移住してくるというSF。冒頭こそ一昔前のホンワカSFマンガっぽいものの、少し読み進めると、これは日本における移民・外国人問題であることがわかる。


様々な宇宙人は、それぞれ各自の星に問題を抱えて日本に移住している。言葉や制度や仕事の壁に苦悩する様子は外国人労働者そのものであることがわかる。

 

ホンワカとした絵柄であることで残酷な現実がオブラートに包まれてはいるが、かなりウェットな大人のマンガ。

 

本書はカドカワ、ビームコミックスだが、こういうジャンプでもサンデーでもマガジンでも、ましてやチャンピオン系でもない、マイナーとされながらも良質なマンガがある、というのが日本のマンガ全体の奥深さを感じさせる。

まあ、ビームコミックの元編集長は秋田書店出身の奥村勝彦というのはあるけど。

 

ジャンボマックス1~3巻

なんで某Hが高橋ツトム…?と思いつつも、まあ、高橋ツトム、面白いよね。。


高橋ツトムはデビュー作「地雷震」から、力強い絵柄と水彩画のような背景のコントラストに独特の雰囲気がある。「スカイハイ」が一番有名だと思うが「爆音列島」なんかのヤンキー漫画が作者に合ってるような気もする。

 

本書の「ジャンボマックス」は違法のED薬をめぐる話で、主人公よりもその脇役である眼鏡の仲介役キャラが魅力的なのが高橋ツトムっぽい。正直、1巻あたりはフツーだが3巻まで読むと続きも気になる。

 

外山恒一「政治活動入門」

政治活動入門

政治活動入門

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いや~、ネタ本として著者の名前で笑える…以上の内容は無いな。。

3分の1ぐらいまで読んで、もうおなか一杯。。

なんというか…それぞれ細かい話はおよそ正しい。しかし、その解釈がおかしい。

 

例えば「第二次大戦後の朝鮮戦争時に日本人戦死者がいた」とか「8月15日が終戦日だと言ってるのは日本だけ」などの指摘は正しいし、そこを指摘できる人は少ない。

 

第一次大戦第二次世界大戦と区切るのはおかしい」という主張も"歴史は連続している"からといえばそういえるかもしれない。しかし、現在も戦争中である!というのは、そもそも戦争という言葉の定義がおかしい。(紛争と戦争の違いは何か?というあたりは某Hから俺も教えられた)
外山恒一のいう戦争とは、国家が複数存在する限り常に戦争状態なんだ!という意味であって、単なる脅し文句でしかない。
そもそも、そー言うなら第一次大戦の事情も、古代ヨーロッパから…せめて神聖ローマ帝国ぐらいはさかのぼらないと説明できなくなってしまう。

 

「政治と芸術、学問は全て大きな運動を形成する」とか「人文学系の諸学問は、ほとんどが社会変革のための理論」とか、それってヘーゲル哲学以降、マルクス系左翼理論そのもの。俺の大嫌いな社会進化論だよ。

まあ…人文学系の諸学問をなぜ科学といえるのか、せめて科学思想史程度は知って頂きたい。。

 

本書では、ところどころ日本の左翼活動家を批判することで自分は左翼じゃない!みたいな感じを装ってはいるが、
要するに、左翼オジサンが「今の日本の左翼はなっとらん!」と説教してるだけ

 

学生運動みたいなのは近代以前からずっとあった!いつの時代も知的で若い暇人によって社会革命は起こった!」とか書いてあるけど、日本の歴史を変えた織田信長とか秀吉とか家康とかが「知的で若い暇人」とは思えないんだけどなぁ。三国志も「知的で若い暇人」たちとは思えないし。。
外山恒一の指摘する歴史は、産業革命以後の話だよ。。