日本は借金でダメになるのか論

筋肉痛だと思ってたのが全然治らない。
近所の中規模病院に行ってみた。

 

テキトーに触診あたりで終わるかと思ったら
「よし、レントゲン撮ってみよう」
といわれて、レントゲンを撮る。
「…骨には異状ない。よし、MRI撮ってみよう」
といわれて、MRIを撮ることになる。

 

なんか大袈裟になってきたなぁ…まあ検査自体は仕方ないかと思いつつ、同意書にサインを求められる。
"閉所恐怖症ではない"という項目に多少、思い当たるフシがある。
以前といっても20年ぐらい前にMRIを経験して、なんかスッゴイ嫌だった記憶がある。

 

それにMRIが超強力な電磁石であることで、部屋の隅にあったガスボンベが穴の中に吸い込まれて圧死するという事故が韓国であったのを思い出す。

 

妙なプレッシャーを感じつつもMRIの中に入る。
騒音がスゴイのでヘッドホンをつけ、白く狭い輪っかの中に入れられ、動くなと言われる。

 

あのゴンゴン言う騒音はわざとしているという説も聞いたが、とりあえず、動き始めになんか歯の治療痕の金属が反応しないかと異様に緊張したが、別段何もなく、安心する。

 

…と、聞こえるのはゴンゴンと言う工事現場の音みたいな騒音と、目の前10センチ程度にせまる白い壁だけ。

しばらくはボーっとしていたが、

 

ふと"ドラム缶にお尻からエビのようにくの字に入っていくと、出られなくなって死ぬ"という心底どうでもいい小話を思い出し、突然、心理的にパニックに陥る。

 

ヤバくなったら押してね(ハート)というボタンを左手に渡されていたが、そのボタン、実は風船状になっていて、空気圧のセンサーであるのだろうが、グニグニと押した感が無い。さらにパニック状態になってしまう。

 

…ほうほうのていでMRIを終えると、30分以上は穴の中でじっとしてたっぽい。
「まあ、使える画像でイケます」みたいなことを言われて、だったら早く終わらせろよ!とイラッとするもとりあえずはホッとする。

 

ともかく、そんなに待ち時間も無いのに
受付→診察→レントゲン→診察→MRI→診察で計3時間以上かかる。

 

結果、
「筋肉痛じゃない?」
といわれて泡吹きそうになる。
それ、俺がはじめに言ったじゃん…!

 

ともかく、

経済系コラムを読んでたら名目GDPの単語が出てきた。…あれ?名目GDPと実質GDPの違いって何だったっけ…?という基本中の基本を忘れてしまっていたことに気が付いた。
(※インフレを考慮しないのが名目GDPを、考慮するのが実質GDP

 

ということで、
「高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学」で勉強しよう。

 

を読み直してみる。

 

GDP三面等価
生産が増える(付加価値)=給料が増える(所得)=カネが増える(購入)
単純に言い換えると、生産(Yield)=分配=支出 となる。

 

モヤっとしてると思うので、具体的にG監督の仕事でいえば
G監督がつくった動画の価値(生産)= G監督が得たカネ = 客が支払ったカネ
となる。

あれ?カメラとかパソコンとか事務所の家賃とかの経費とかは?などと細かいことを言えば、ちょっと複雑になる(そもそも動画の値段と客が支払うカネって交渉次第じゃね?という哲学的な要素もあると言えばあるが)

仮に100万円で動画が売れたなら、その動画は100万円の価値があるし、100万円の売上となるし、客は100万円支払った、というのはご理解いただけるハズ。

これが三面等価の基本
生産(Y)=分配=支出
で、この3つのうち分配はさらに3つに分解できる。

分配=消費(Consumption)+貯蓄(Saving)+税金(Tax)

分配というのは、さっきの例で言えばG監督が手に入れたカネとなる。
そのカネは、何かを買う(消費)になるか、買わなかったぶんのカネ(貯蓄)か、税金の支払い(税金)になる。
というわけで、
分配=消費(C)+貯蓄(S)+税金(T)
と分解できる。

 

んでもって、ちょっと話はそれるが、
日本国内で売れたもののすべて(総供給量)は、国内で生産されたもの+国外で生産されたものの合計となる。
つまり
総供給量=国内総生産(Y)+輸入(Import)

このとき、総供給量(売れたもの全部)は総需要(買ったもの全部)と等しい。
この総需要(買ったもの全部)はさらに4つに分解できる。
総需要=消費(C)+投資(Investment)+政府(Goverment)+輸出(Export)

消費(C)というのはそのまま日本で誰かが購入したもの。
投資とは機械とか建物とか、商品をつくりおきしておくことで、投資(I)となる。
政府というのは、役人の給料とか道路とか橋つくったりする公共事業なんかで支払ったカネのこと。
輸出というのは、外国の客が国内の製品なんかを買い物をしたぶん
これの合計は総需要となる。

総供給量=総需要のため、さっきの式から

国内総生産(Y)+輸入(IM)=消費(C)+投資(I)+政府(G)+輸出(EX)
と書ける。
さらに、左辺の輸入(IM)を右辺に移項すると
国内総生産(Y)+=消費(C)+投資(I)+政府(G)+輸出(EX)-輸入(IM)

さらに もともと生産(Y)=分配=支出のため、
支出=消費(C)+投資(I)+政府(G)+輸出(EX)-輸入(IM)
と書くこともできる。

ということで、
生産(Y)=消費(C)+貯蓄(S)+税金(T)=消費(C)+投資(I)+政府(G)+輸出(EX)-輸入(IM)
単純に一番右の生産(Y)を消すと、
消費(C)+貯蓄(S)+税金(T)=消費(C)+投資(I)+政府(G)+輸出(EX)-輸入(IM)
が成り立つ。
すると、左右の項に消費(C)があるので、消してみると
貯蓄(S)+税金(T)=投資(I)+政府(G)+輸出(EX)-輸入(IM)
となる。
さらに税金(T)と投資(I)とを逆の項に移行させると
貯蓄(S)-投資(I)=政府(G)-税金(T)+輸出(EX)-輸入(IM)
となる。
これが有名かつ、今後重要なISバランス式といわれる。
ハイ、コレ、試験に出る式です。

 

さて、これでまずは「"日本国内借金が1000兆円超えてるのがヤバイ"という話は、経済学的にこれといって意味が無い」ことを書いてみましょう。

 

上記の式において関係するのは
政府(G)-税金(T)
です。
政府(G)は、役人の給料+公共事業、税金(T)は、税金の総額なのですが、
2010年のデータで 政府(G)-税金(T)=33兆円 になってます。
つまり、政府が使ったカネより税金が33兆円分足らない、ということです。
このぶんが赤字分(公債)となるワケです。

 

で、先ほどの試験に出る重要な式
貯蓄(S)-投資(I)=政府(G)-税金(T)+輸出(EX)-輸入(IM)
のうち、投資(I)を右辺に移項させると
貯蓄(S)=投資(I)+政府(G)-税金(T)+輸出(EX)-輸入(IM)
となります。

 

ここから2つ視点で説明していきます。
1■誰が誰にカネを貸したのか?
2■誰が商品を購入したか?

 

まず1■誰が誰にカネを貸したのか?
から見て行きましょう。2010年のデータですけど

貯蓄(S)=民間貯蓄 112兆円
投資(I)=企業が借りたぶん 73兆
政府(G)-税金(T)=政府が借りたぶん(公債)33兆
輸出(EX)-輸入(IM)=外国が日本から借りたカネ 6兆

貯蓄(S)112兆=投資(I)73兆+(政府(G)-税金(T))33兆+(輸出(EX)-輸入(IM))6兆
となります。

 

要するに、日本国民の貯金の額は、政府の借金といえるワケです。
政府の借金を減らすと、日本国民の貯金額が減ります。
つまりは、税金(T)だけ上げるとその分だけ日本国民の貯金額が減る(S)、といえます。
日本国民の貯金は政府の借金…つまりは、政府の借金=国民の資産なのです。

 

2■誰が商品を購入したか?
さて、貯金とは何か?といえば、消費に使わなかったカネと言えます。
日本国民が消費しなかったカネ 112兆
その分を誰かが消費しないと売れ残りになります。
その112兆円を誰が消費したか?は、同じ式で表せられます。
 使わなかったカネ(S)112兆
 投資(I)=企業が投資として消費 73兆
 (政府(G)-税金(T))=政府が消費 33兆
 (輸出(EX)-輸入(IM))=外国が消費 6兆
貯蓄(S)112兆=投資(I)73兆+(政府(G)-税金(T))33兆+(輸出(EX)-輸入(IM))6兆

というワケです。
このことから、政府が消費しないと誰も消費しない→経済縮小という理屈になるのです。
いやいや、そもそも無駄な消費は…という言い方をする人もいますが、ここの消費とは公債となります。


公債って借金じゃん!駄目だよ!という人は誰が誰に借金しているのか考えてみてください。

公債とは、政府が国民に対して借金していることを意味しています。
つまり、政府の借金=国民の財産 ということです。

現在に至るまで、日本の借金は過去最大!みたいなニュースを見かけますが、それは同時に国民の財産も過去最大級になったということです。

 

■本書には書いてないけど…
以上を踏まえて、よくある日本は借金でダメになる論を上げてみますと、

 

一般家庭の家計でいえば国民の一人当たりの借金はXXX万円になっている!

その借金は正確には政府であって、国民はその借金を返してもらう側です。つまり、
一般家庭の家計でいえば国民の一人当たりの借金はXXX万円になっていると同時に、XXX万円の資産がある。
といえるのです。

 

このたとえ話は根本的に無理なことがありまして、政府は通貨発行権がある、ということです。いくらカネを刷るのかは政府が決められます。借金があればカネいっぱい刷っちゃおう!などということもできるのです。

一方で国民はんなことできません。ホントに例えるならば、親子間で発行した「肩たたき券」の価値について、親子ならコントロールはできるよねというレベルで語らねばウソではないでしょうか。

肩たたき券は、肩をたたく方にとっては負債ですが、肩をたたかれる方は資産といえます。

 

その肩たたき券が他人に渡ってしまったら、親子間でコントロールできないし、肩たたき券が無効だと言えば他人からの信頼が無くなってしまう、という話なら理解できます。

 

・国民の金融資産の合計は1500兆円で、借金が上回っている!
ハイ、国民の金融資産だけしか言わないのは逆に疑問です。
日本国政府全体(関連子会社など含めた連結決済)の資産がなぜか除外されているからです。日本国政府の総資産はざっくり6千兆円ぐらいあります。
文句を言う人は、道路とか橋とかで現金化できない資産だ!という文句がありますが、
日銀を含む政府系金融機関とかUR都市機構の独立行政法人の資産はアホほどカネがあります。
何故かここらへんを批判するひとがマスコミにほとんどいません。

 

・子や孫の世代に借金を残すのか!
ハイ、先ほどの反論と同じになりますが、資産も残すことになっています。
あと、多少テクニカルな話になるのですが、現在の100万円と100年後の100万円とは価値が違います。
インフレがあればの話ですが。
通常、1年間に2%前後のインフレが適度であると言われます。
よく昔の偉人伝なんかで10円を借金して~みたいな話がありますが、現在の10円と明治時代の10円とは価値が全然違う、というのはよく理解できると思います。
それと同じで、現在の1千億の借金を100年後に返す時、価値が変わっているということを通常は考慮に入れるべきです。

その点において、現在のデフレは良くないですね。

 

ギリシャとかアイルランドとかは赤字で国家破産だ!日本もギリシャになる!
先ほど、政府の借金=国民の資産 と書きましたが、
日本の場合は 日本国政府の借金=日本国民の資産 です。
ギリシャの場合、ギリシャ国債をほぼ外国人が持っていました。
つまりギリシャ政府の借金=外国の資産 です。
そのため、ギリシャの場合は政府が借金=ギリシャ国民の借金 となります。
日本の場合と状況が全然違うのです。

 

国債が暴落したら破産だ!
もしマジで日本国債が暴落した場合、現在、日本国債を1割程度保有しているの外国人には支払いをしなければなりませんが、残りの9割分の支払いはいくつか選択肢があります。
強権的には日本国民に向けて支払うのを拒否できるというのもありますが、インフレ率を調整して何十年何百年かかけて支払っていくという選択肢が可能です。国家に寿命がないから可能な手段です。
そして現時点では日本国政府の資産があります。具体的には独立行政法人を解体することで現金化するという手段があるということです。
そして究極的には、日銀が1千兆円券を何枚か発行して国民に渡してハイ終わり!ということも理論上はできます。

 

そもそも、その暴落はどのぐらいの現実性があるのでしょうか?
国債の利率の低さ=信用度なので、ここ最近の日本国債の利率などほぼゼロです。
アメリカよりも低いということは、将来的に借金を返す能力はアメリカよりも日本が上という市場評価に他なりません。マジでヤバそうな他の新興国…トルコとかブラジルとかの国債利率を見てから暴落と言って欲しいものです。

日本国債は金融市場で売買されていますが、このガチンコの商取引の世界において、
「自分のカネを賭けてない評論家」 vs 「億・兆円単位で取引している全世界のトレーダー」
の2者のうち、どちらの判断が正しいか?と言われたら、俺は後者一択ですけどね。

 

そりゃ可能性を言えばキリがないのですが、この日本国債暴落論を唱えるのは、なぜか税金でメシ食ってる公務員とか大学教授なんかに多い気がします。
いや~、本気で日本国債が暴落すると思っているのであれば、なぜ公務員の給料を下げようと言わないのでしょうか?もし日本が赤字で倒産しそうだと主張するなら、その日本の税金の支払いを少しでも止めて財政の健全化をはかるべきだと思うんですけど…俺は彼らからそんな話を聞いたことがないのが逆に不思議です。

そもそも国債暴落論を本気で信じているなら、すべての日本円資産は全額ドルとかに変えて、もちろん日本の家とか土地とか買わずに、国籍も変えるはずだと思うんですよねぇ。。