岡崎に捧ぐ

某Hに紹介されたけど、なんか見た目で敬遠してたのが良くなかった。
最後まで見ると名作だった2本。

 

■「岡崎に捧ぐ

以前、某Hから1巻が送られてきたので1巻は読んだ。
1巻だけなら"ちびまる子ちゃん的"な子供のころのあるあるネタ漫画だな、という印象だった。
ただし年代がちびまる子ちゃんより後で団塊ジュニア世代である。


俺が敬遠してたのは、作者が幼少期の友人たちをいささかコケにしているようにも感じたからと、ちびまる子ちゃんの作者さくらももこの異様な才能に勝てるとは思えなかったからである。

 

古本屋で全5巻が400円で売ってたので買った。
1冊100円以下じゃん…。
2巻あたりまでは1巻とほぼ同じ感じであったのだが、徐々に物語が変わっていく。
幼少期に友人たちを上から目線で描いていたのは実は後半への伏線だったことが通して読んで初めてわかった。

 

おそらく誰しもが抱く幼少期の頃の無敵感というか、自分中心に世界が回っている感じから、大人になるにつれ、徐々に自分が大多数の一人以下の存在である現実に気づかされ、何者でもないし何者にもなれない自分に自信を喪失していく様子がリアルに描かれる。
実体験としか思えないし、まあそうであろう作者の青年期の悲哀がグッとくる。
ただ、この作者はこの作品で、さくらももこと対等に胸を張れるほどの漫画家としてデビューしたのも重ねてグッとくる。

 

そもそも俺ぁ、先にその後の漫画「きょうも厄日です」は読んでたんだから、この作者がそんな他人を小馬鹿にするだけでないことは容易に想像できたはずなのに…俺ぁまだまだだったな~。

 

 

■「漁港の肉子ちゃん」


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某Hがコレ面白いよ、と言ってたな~と思いつつ、ネットフリックスで冒頭30分ぐらいで見るのをやめてた。

 

主人公が小学生で、その学校生活での人間ドラマが妙に説教臭いというかNHK教育番組を見ているかのような展開で、そつのない演出とそつのない作画、特に意外性も感じなかったのでなんかそのまま敬遠していた。

 

で、一か月ぐらいは放置していた気がするが、なんとなく続きを見たら後半は全く違った物語であった。

 

前半は小学生高学年による小学生の物語であったのが、後半は大人による大人のためのドラマ、まるで弘兼憲史の「人間交差点」のような昭和感満載の泣けるドラマに展開していくのである。

 

ベタなドラマだと馬鹿にしてはいけない。ベタなドラマをちゃんと描ける演出はそれはそれで良いものだし、本作は単に古臭いだけでもない。昨今の妙に作家主義的なアニメ…ジブリとか新海誠とか細田守とかのゲージツ的?なわかりにく~~い演出を避けてまっとうに描いたのを俺は評価する。

 

ただ、本作が売れ無かったという理由もわかる。

そもそもこの映画の客層がよくわからない。

前半は中高生向きだが後半はまるっきり大人向け。アニメだがアニメ好きが見る絵柄でも内容でもない。
コレを吉本が制作したというのがなんか興味深い。おそらくジブリっぽい感じで国民的アニメ的位置づけにしたかったんだろうけど、まぁ…ダメだったよね。。