橘玲「スピリチュアルズ」

 

スピリチュアルといえば江原啓之みたいな心底近寄りたくない連中らを連想する語感であって、これまでの橘玲とは真逆である。
もしもタイトルだけなら絶対に読まない本だが、著者が橘玲なので読むしかなかった。

 

この本の中身は、むしろ副題の"「わたし」の謎"である。わたし…人格とか性格とか、いわゆる人間の精神といわれるものの謎とは何か?を最新科学で説明した内容である。

 

本書のあとがきによれば、著者の橘玲は、これまで性格判断に全く興味はなかったがトランプ大統領の誕生ではじめてパーソナリティ診断に興味を持ったという。

 

俺もトランプ大統領が誕生した時、Facebookで大規模な印象操作が行われたと報じられたが、それが具体的に一体どういうのものなのか、全然わからなかった。AIがどうやって人の趣味趣向を判断し、どうやって投票行動までつなげるのだろうか?

 

冒頭、そのちょっとしたカラクリ?を書いてある。
とあるジャーナリストが、そのAIにfacebookいいね!と同じ要領で、200項目のいいね!のデータを提供した。例えば"ターミネーター2"いいね!、とか程度である。
その結果、そのジャーナリストの宗教観、政治観、職業や学歴、大学の専攻科目までほとんど正確に予測した。もちろん直接的な質問は全くないにもかかわらずである。
映画や音楽や読書の趣味程度の全く無関係と思われる項目を集計することで結果、恐るべき精度で個人的性格を言い当てることができるようになっている。

 

本書によれば、人の精神とは主に5つだけ。
・内向的か外交的か
・楽観的か悲観的か
・協調性、共感力があるか
・自制心がどれくらいか
・経験の開放性の程度

(最後の"経験の開放性"はざっくり言って芸術的センスみたいなもの)

で、
これってアンケートか何かで答えるの?といえば、少し違う。

例えば、内向的か外交的かを判断するには

 1,つばを飲み込む。
 2,舌に綿棒Aを当てる
 3,その後、舌にレモン汁をたらし、つばを飲み込む。
 4,同じところに新しい綿棒Bを当てる。
 5,綿棒Aと綿棒Bの重さをはかる。

(※以上はかなり要約した手順)
結果、重さが同じなら外交的、異なる(綿棒Bが重い)なら内向的である。

 

…なんでか?というのを人体の生理学的に説明してるのは興味深い。

 

以前の著作である「言ってはいけない」で、人間の知能はほぼ遺伝で(約70%)決まる、と書いていたが、今回も人間の性格は遺伝でおよそ(約50%)決まる、というものである。

 

橘玲は、人間の知能や性格は進化論で説明がつく、という哲学をもつ。俺もおおよそその方向は支持するが、微妙に疑問も残る。

それは永井均の提示した疑問ともいえる

"何故わたしは、わたしなのか?"

わたしという自我はG監督でもなく某Hでもなく、なぜわたしなのか?

という疑問はぬぐい切れない。

橘玲的立場なら"偶然"としか説明できないだろうが、最も重要な疑問でもある。

 

まあ、この本はG監督読まないと思うのでそのうち某Hに送ります。

※最後でリポーターのスピリチュアルが気になる流しそうめん

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