カネとは何か

貨幣、カネとは何かを、時折考える。
ちゃんと「塩鉄論」あたりから読むべきかと前々から思ってはいるが…読んでねぇ。

 

最近ファンになった橘玲の初期作品
橘玲マネーロンダリング

マネーロンダリング (幻冬舎文庫)

マネーロンダリング (幻冬舎文庫)

  • 作者:橘玲
  • 発売日: 2012/12/14
  • メディア: Kindle
 

 以前に読んだ「タックス・ヘイヴン」よりも手口が生々しい。
ナルホド、これで注目されたのはわかる。

 

本作で"最もスマートなマネーロンダリング"として国債を利用した方法がかなり詳細に書いてある。

どうやらかなり知られた手口だったらしい。

しかし、本書の記述だけで具体的にイメージしようとするとわからない部分がある。しかも現在ではこの手法は使えないらしい。

 

上記は小説だが、実際のマネーロンダリング(と呼ばれているもの)はどういう手口なのか?を解説しているのが
橘玲マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで」

 あのライブドア事件なんかの複雑な金融取引を図解で説明している。

俺ははじめてライブドア事件の資金の流れの一部始終を解説した本を読んだ。大抵の記事は"なんか怪しい"レベルで終わっているが、本書はキッチリと書いていて、キッチリとライブドアの資金の流れは"合法"であると書いてある。
しかし、これまた複雑で俺にはよくわからん。。

 

なお、上記の小説「マネーロンダリング」における"国債を使った最もスマートなマネーロンダリング"の実例として日本のヤクザがクレディ・スイス銀行において行った取引を図解で説明している。

そして、これも裁判の結果だが合法とされた。

 

本書で興味深いのは"銀行とはひとつの概念"だとする。具体性ではカネのやり取りだが、そのやり取りは現実の商取引…モノを売った買ったレベルを乖離したシステムだともいえる。

 

■清武 英利「プライベートバンカー カネ守りと新富裕層」

プライベートバンカー カネ守りと新富裕層

プライベートバンカー カネ守りと新富裕層

  • 作者:清武 英利
  • 発売日: 2016/07/13
  • メディア: 単行本
 

 橘玲が描くプライベート・バンク像は、読者の興味がありそうなグレー・ゾーンを描いている感じだ。一方、この著者の小説はプライベート・バンク内部で働く銀行員目線という感じ。

 

ひとつ、面白いと思ったのは海外の生命保険の話。

仮に遺産が5億円程度で、相続税で半分ぐらいとられちゃうという場合。
このとき、10億円の生命保険に加入する。

※日本だと高額過ぎる生命保険はストップがかかるが、海外のプライベートバンクなら可能。
いざ、死亡して生命保険を受け取った場合、10億円を受け取り、その半分を相続税or贈与税で支払っても5億円が残るのである。

無論、掛け金もスゴイ額になるが、これを借金してても支払うのである。

しかも借金した場合、相続時に借金は相続対象から相殺されるので、それをわかってて銀行側は生命保険の掛け金分を貸付する、という仕組みである。


■井上 純一「がんばってるのになぜ僕らは豊かになれないのか」(角川書店単行本)

 マンガだが、現在の日本経済の問題点と処方箋をわかりやすく描いている。
無論、異なる立場の側もあるだろうが、俺は基本的に賛成である。

 

このマンガでカネとは何か?の説明に、カネ=税金を支払うクーポン券、だと定義しており、銀行とは単に数字を管理しているだけ、としている。
実にシンプルで非常にスルドイ。