バービー

映画「バービー」見る。


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紹介動画だとすげえつまんなそうだったのに、見てみたら…面白くて何故かくやしい。
ホント頭がイイ人がつくったコメディ映画って感じで、フェミニズムあたりのめんどくさい政治的な話をポリコレ込で笑い飛ばす。

 

ただ、日本でコレが流行らないのもわかる。
おおっぴらに政治ネタで笑う文化がほとんど無い気がするし、そもそもがアメリカの政治・文化…フェミニズムあたりを知らないとなると本作の何が面白いかはわからない。そういうのを知らない20代前後の日本人客にはわからないだろう。過去映画のネタとかいっぱいあるし。まあプロモーションで原爆を揶揄したというのでやり玉に挙げられてたが、本作は全方向的に政治的発言でケンカを売る感じなので、本作のセンスでちょっと日本人相手にケンカ売ってみたというのも映画を見た後なら理解できる。

ただ、そのセンスが良かったとは思えない。

 

ともかく、冒頭で「2001年宇宙の旅」のモロパクりからはじまる。
しかも元ネタの猿が骨を握ってボッコボコにするシーンを、本作では女児が赤ん坊の人形を握ってボッコボコにする。
要するに"バービー人形の登場以前と以後で女児向け玩具は革命的に進化したんですよ"という説明なんだけど、いきなりのこのシーンで嫌悪感がある人はもうこの映画見なくていいですよ、という強めのメッセージが語られる。
まあ、若い人(?)ならそもそも「2001年宇宙の旅」を知らないだろうから、かなり…なんというか気難しい映画好きおじさんこそがむしろストライクゾーンなんですよという宣言にも見える。

 

一方で、なにしろバービーなんだから女性向け、女児向けの見た目なのは間違いない。
ただし内容はかなりブラックよりの政治ネタが多いし、しょーもないブラックなギャグが延々と続くのも楽しい。

 

惜しむらくは俺が英語わかんねぇあたり。おそらく、相当に政治的・差別的な用語に気を使ってるはずだ。そこら辺をどういうニュアンスで言い換えてるのかが日本語字幕でしかわからない。すげえセリフが多い映画だけに残念。

ちなみに俺は本作を見終わるまで、名前と顔が一致しないな~と思ってた。そもそもバービーの世界にいる女性の名前は全員「バービー」で、男性はほぼ全員「ケン」だというのを見終わってから気づいた。バービー人形のそもそもの設定がそういう名前なんだよね。

 

しかし、なんちゅうか、まあ下らねぇ映画なんだけど、わかる人にはわかる…フェミニズムを超えて実存主義哲学なんかの話が根底に語られるものの、別にそんな小難しい話を気にしなくても楽しめるつくりにはなってる。

 

こういう映画を見ちゃうと、ホント邦画を見る気が失せる。
なんちゅうか…邦画の多くは観客をすげえ馬鹿だという見下した感じ、あるいは弱い者イジメ、あるいは有名な芸能人がワイワイやってるだけのような内輪受けのコメディを見せられる。そりゃ全部が全部ハリウッドが素晴らしいみたいなことは言わないが、なんというかテレビの延長線上でつくったような邦画はホント見る気がしない。伊丹十三レベルまでとは言わないが、コメディ映画好きの俺としてはなんか残念でならない。