小島祐馬「中国思想史」

小島祐馬「中国思想史」二章まで読む。

呉智英の解説で

"極めて高度でありながら煩雑ではない。読む者に迎合しておらず、といって初学者を眼中に入れていないわけではない。まことにバランスがよい。

などとベタ褒めするので読んでみた。

 

本書の冒頭、序説はこんな感じである。

中国において書物を分類するに、経・史・子・集または甲・乙・丙・丁と分かつが、これが中国における学問の分類となる。
経とは、もと孔子の刪定し、あるいは編述したものを総称する語で、漢代では詩・書・礼・易・春秋の五経に楽を加えた六経または六芸というものをその内容としたが(略)

ウググ…やべえ…こんなの400ページ以上も読んでられないかも。。と危惧しつつ、とりあえず序章、一章(中国古来の社会状態の変遷)と二章(原始儒家思想)まで読むと、ああ、ナルホドと膝を打つことも多々あった。

 

儒家思想といえばまずは孔子論語である。俺は論語を1年ぐらいかけて読み通したことがあるのだが、結局、よくわからなかった。
誰しも一度ぐらいは論語の一節ぐらいは国語で習ったはずで、その内容は、おおよそありきたりな道徳的な話で、多分、つまらなかったはずだ。

なぜこんな小話集が封建制度の要となりえるのか?という疑問が最後まで残った。
そして、その論語封建制度国家としてどうやって制度化するのか?という部分も謎であった。

 

その点を、本書はバッサリと指摘している。要約すると、

孔子の思想は究極的には"個人主義"である。なぜなら、国家よりも家族(=親)を優先しているからである。(そもそも孔子の時代に"国家"という概念は存在しない)
道徳が優れている人によって世界を治めるべきだ、というのが孔子の思想であり、つまりは道徳的に優れた人が封建制度の上に立つべきであると説く。
封建制度をつくる根本原理は権力の有無ではなく道徳の有無である、と説いたのである。

 

あ~、これってプラトンの"哲人政治"と基本構造は同じなワケだ。
んじゃ、道徳的に優れてるかどうか誰がどうやって判断するの?という部分はハッキリしないため、後世は混乱していくことになる。

 

孔子の100年ぐらいあと、孟子が誕生する。
孟子はマジ孔子リスペクトし、孔子の思想を広めていく。(キリスト教におけるパウロみたいな立ち位置のようだ)そして、ありがちだが孟子独自の解釈を入れてしまう。孟子によれば道徳的に優れているかどうか判断するのは民衆だ!とする。
そして孟子の後、荀子が出てくるのだが、荀子孟子のいわば弱点を批判するような形で登場する。

 

なるほどな~…道徳的に優れているかどうか、自分で判断するとすれば、そりゃ誰しも自分は道徳的に違いない!と判断するだろう。

今の民主主義だって共産主義だってその根本は道徳であるのは同じだ。
その道徳の優劣で階級制度をつくろうとしたのが孔子であり儒家思想であったワケだ。

 

 

■三十歳バツイチ無職、酒場はじめます。

居酒屋マンガだが、普通の居酒屋マンガとは少し違う。
ラズウェル細木の居酒屋マンガとか「ワカコ酒」なんかは基本、客目線だが、このマンガは客数10席程度の小さな居酒屋をどうやって経営するか?という経営者目線マンガである。

 

酒は買ってきた発泡酒や缶ビール、料理なんかは基本、買ってきた総菜とかレトルトカレーとか、いかに手間なく原価率を下げて客を呼び込めるか?というあたりが根本になっている。
…これって、ホリエモンの動画にあった「デパ地下のタイムセールで安くなった総菜をその日の夜に出す居酒屋システム」じゃねーか…と思いつつも、それなりにひと工夫した料理のアイディアにナルホドとは思う。

 

極めてご都合主義的な登場人物と物語の展開は、なんというかリアル版「ミスター味っ子」的なマンガといえようか。…でも…なんか…パッとしない。。