中国思想史

 

後期■第8章 宋初の自由討究
後期■第9章 北宋五子
後期■第10章 朱子の集大成

ふう~、とりあえず最後まで読んだ。

 

宋時代、またバッと様々な思想が出てきたが、最も特徴的なのは「理学」である。
理学とは、これまでの儒家思想を哲学的に解明しようとする学問である。

 

これまでは、あくまでも孔子孟子が何を考えていたか?を忠実に再現しようとするのが儒家思想であったが、宋時代にやっと哲学的に捕らえようとする動きが出てきた。

 

8章はかなりボリュームがあり、まとめるのはかなりむつかしい。
ただ、やはり儒教の発展は道家や仏教の発展に引きずられるようなカタチで発展したらしい。

 

9章は、その宋時代に重要な5人を紹介している。

そして、ついに最後の章で朱子が登場する。
朱子による朱子学宋学とも言われ、宋の時代に儒教をまとめた最も有名な儒学者である。

儒教孔子孟子からはじまり、鄭玄→朱子と発展した。

 

日本においても江戸時代、明治になるまで朱子学は最も王道の学問派閥だった。

この朱子学、基本的には自然・物理現象としてスゴイ指導者(天子)があらわれるとした。

 

現代では奇妙な思想であるが、つまりは現状追認型の思想でもある。
たまたま指導者の椅子に座った人間を、実は自然の摂理、意思だったんだ!というワケ。

この思想が王道とされたが、一方で朱子学を批判する側として代表的なのは王陽明による陽明学である。

 

以上、ものすごいざっくりしたまとめ。

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さて、現状で少し考えてみる。
2千年続いた"表向き儒家思想"+"実際は法家思想"が現代でも続いているとしたら…
習近平が何故トップになれたのか?といえば天がそう決めたからである。
なぜ天が決めたのかといえば、習近平は徳があるからである。
従って、習近平が決めたルール(法律)は正しく、従わなければならない。

 

まあ…なんかスゲエしっくりくる。
北朝鮮もこの理屈で説明できる気がする。

 

あと、韓国の司法なんかも本書から考えてみると、
例の従軍慰安婦問題含めていわゆる反日的問題あるいは過去の元大統領らへの無茶苦茶な判決は、法律よりも徳が上だ、という理屈で説明できそうな気がする。
何故、現政権含めて韓国は親北朝鮮・反日なのか?といえば、
北朝鮮には徳があるが日本は韓国よりも徳が無いから、といえよう。
徳って何ぞや?まあ道徳的ということだが、その道徳的云々の深い理由は無い。
そもそも儒家思想において哲学は本質ではない。
そこで選挙による国民が納得できる=徳の有無の判断といえるのではないか。
ただし中国が"表向き儒家思想"+"実際は法家思想"であるのに対して、韓国は儒家思想と法家思想がごちゃ混ぜといえそうだ。

 

フランスとかイタリアとか、首相や大統領が愛人つくって子供のワラワラ作ってることをみると、ヨーロッパはそんな道徳心というか儒家思想とは無関係だというのはよくわかる。

 

じゃあ日本はどうだ?
新しく総理大臣になった岸田文雄は、道徳的だからこそ総理大臣になれたのか?といえば、おそらく多くの日本人はそうは思ってないハズだ。まあ犯罪者ではないけど本当の善人とも思ってない。その意味からすれば、儒家思想ではない気もするが、皇室に対してはどうか?

 

現在の皇室の結婚をめぐるニュースの底には、
皇室の存在意義として皇室は徳があるはずだ、善人であるはずだ、という前提があるように思う。
そんなもん、皇室と本来何も関係が無い。
三島由紀夫も皇室とは日本文化の源泉であるとは読めるが、儒教との関係性は何も読みとれない。

 

今のワイドショー皇室報道において、善人であるはずの皇室がこんな男と結婚したら徳が無くなるぞ?と解釈できる。
その意味では、日本人のマスコミ含めた視聴者らは"特権階級は徳をもってるはす"と素朴な儒家思想があるといえるかもしれない。
そういえば、池袋暴走事件の飯塚被告の"上級国民"の話もそう読もうと思えば読める。

 

しかし、イギリスのダイアナ妃報道を思い出せば、皆なんも考えてない興味本位のような気もするし、あるいは、主権たる国民の権利は王室・皇室をむき出しにできるはずだ、という悪意があるような気もする。