地元最高

コンピュータ、って表記するのはもう古いんだ。。

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やべぇ…一般的にはともかく一定の専門職相手には「メモリ」「サーバ」表記が正しいと思い込んでたわ…。

 

という話はともかく、油断してたら本が届いた。

 

■劉慈欣「三体」

ネットフリックスで「三体」見たと言ったら原作小説が届いた。ありがとう。
とりあえず一章だけサクっと読んでみた。

文革でのリンチ殺人の場面だが、なるほど原作では枝葉の話…教授の心情とか嫁さんの生い立ちとか…がかなり多いけど、ネットフリックス版だと相当省略されてる。原作を読んだ人だと、ネットフリック版は話の進み具合が凄い速いとのこと。

 

榎本俊二キンクス

なかなか渋いチョイス。ありがとう。
榎本俊二はデビュー作「GOLDEN LUCKY」から読んではいたが、当時、吉田戦車なんかのシュール系漫画が大流行してた。その中でも「GOLDEN LUCKY」はシュールさは頭一つ抜けてたが、俺にはそれがあまりに作為的というかわざとらしすぎた。そこそこシュールレアリズム好きだった俺としてはブルトンなりダリなんかのシュール運動の本質(?)からはズレてるように感じたからである。

 

印象が変わったのは「榎本俊二のカリスマ育児」からで、エッセイ漫画なのだが、作者独特のテンポと特徴的なコマ割りが、そこら辺の凡庸な漫画とは一線を画すことがやっと理解できた。

マンガと比べるのも妙だが、映画でいえばアキ・カウリスマキレニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」みたいな味わいである。

マンガ特有のコマからコマへの動きのある描写をあえて無くすような、コマごとに紙芝居のような演出が独特の雰囲気を醸し出す。

 

で、本作は家族間のほのぼのギャグマンガでありがなら、初期からの実験的手法がばっちりハマったこの作者しか描けないなかなか凄い漫画だ。この漫画、G監督か一路君がべた褒めしてたと思うんだが、気持ちはわかる。

 

あと、俺が昔から好きなのは、人物の全身が丸みのある線で描かれる絵。

手塚治虫藤子不二雄赤塚不二夫なんかの古いタイプの漫画ならよく見られたのだが、最近はこういう絵柄が少ない。吾妻ひでお曰く、こういう絵柄はバランスが難しいんだそうである。最近だと、木城ゆきと銃夢火星戦記」とか、ユキヲ「邪神ちゃんドロップキック」なんかが回を重ねるごとにキャラクターが丸っこく小さくなってるのが嬉しい。


…逆に俺が送ったのは次の2点
■「US-2 救難飛行艇開発物語」

マンガとして面白いかは正直微妙なところなのだが、エンジニア目線での漫画としてここまで専門的な話が語られる漫画は少ない。そりゃ専門書での溶接マンガとかはあるが、一般的な読者を想定しての飛行艇に関する解説は限度をちょっと超えてるのが楽しい。


例えば”プロペラが全部同じ方向に回転するので、機体もつられて曲がる。その改善策としてほんの少しだけ斜めにプロペラをとりつける"という話なんかは、ナルホドと感心する。しかもその技術的な解説を絵で説明する+実際の数字を全部書くことで、リアリティはこの上ない。

 

興味深いのは、飛行機の開発手法全体が俯瞰して理解できるあたり。誰がリーダーとなって、どのように部分に分解して開発を進めていくかというのは、製品開発にとどまらず、プロジェクト的思考のヒントにもなりえるような漫画。

 

■「地元最高」

…実は上記の「US-2」はカモフラージュで、マジで読んでほしいのはコレなんだよね。。
いや、あわないというのもわかる。嫌悪感しかない、という人もわかる。

 

俺が久々に背筋が寒くなった漫画である。この作者の悪意というか精神状態が気になるような一冊。あまりの衝撃に怖くて1巻しか読んでない。
もしG監督が調子にのって騒いでいたら、そっと手渡して頂きたい一冊でもある。