親戚の子供が子供アニメ「かいけつゾロリ」が好きだという。
あ~、そうですかぁ~(ニッコリ)
「おしり探偵」も好きだと言うので、おしり探偵の髪の毛はケツ毛ですかね?
などと適当に話を合わせていると、
ところで君は何が好きなのか?と問われたので、
最近は座敷牢かなぁと答える。
え?いや~、怪奇小説とかのフィクションじゃなくて、精神病理学の研究書で最近読んだんですよ。
明治時代、1910年ごろというので、丁度百年程前にほぼ全国的な聞き取り調査で、
当時の精神病患者がどのような座敷牢で生活をしていたのかを写真や図解入りで説明した本である。
家族の資産状況から精神崩壊のきっかけ、座敷牢の構造などが100例程度紹介されている。
およそ1坪(3.3㎡)~2坪(6.6㎡)程度の広さの木製の牢を土間や離れにつくっていた。
※当時の法律で1坪以上と決められていたらしい。
ちなみに当時は、梅毒が原因の精神異常も多かったようだ。
ウツ病なんかでじっとしてるような患者は座敷牢送りにはならない。
家族なんかにケガさせたり、場合によっては殺したり、放火したりと暴れる患者を閉じ込めるための装置のため、ほとんど動物小屋であった。
写真なんかを見ると、今でいえば2畳程度の農家の物置小屋で、地面に畳がある程度、10センチぐらいの幅で木の格子が入った檻で、床に20~30センチ四方の便所口がある、というのが多かったようだ。
採光や通風、衛生面に関しての記載があるが、良いという記載を読んでも、冬に防寒はどうするのかと疑問になるほどのレベル。
研究論文とはいえ「この家族には患者以外に3人の精神障害者と1人のろうあ者がおり、悲惨である」などという記述を読むにつれ、何とも言えない気持ちになる。
まだまだ江戸時代の文化が消えないあたり、加持祈祷なんかが一般的に行われており、薬として猿の頭部の黒焼きを飲ませるは良く知られていたらしい。
なお秘薬として、墓を掘り起こし死体交じりの土を煎じて飲ましたという記録がある。
なお、警察官が月に何度訪問するかという記載があるが、当時、厚生労働省は存在せず、そーいう医療関係の役所は警察だったらしい。
時折はさまれる注意書きを読んで、ハタと気が付く。
現代ではよく異常者の方が"電波に命令されたぁ~"という話を聞くが、電波の無い時代は、"呪術で操られている~"となるワケだ。
要するに、"自分の意志じゃなくて何者かに直接脳みそに命令される感じ"は同じらしい。そういえば、以前、統合失調症の心象風景として"他人と自分の境界がわからなくなり、他人が言ったことなのか自分が考えたことなのかわからなくなる病気"と聞いたことがあるが、これはいつの時代も変わらない。それが陰陽師の呪いなのか、電波なのかは時代背景による。
ともかく「資産状況・下流(略)はなはだ不潔。患者の死を望んでいる様子」などという描写をいくつも読むにつれ、G監督の表現でいえば、"心がぬ~~~んとなる"
本書を某Hに自慢気に紹介したら「あ、それ読んだことある」と言われて、ぬ~~んとなる。
■「邦キチ!」で、あのただでさえ距離感が妙に近い香川照之が生き生きと変人役をやってる、というので見た。
「クリーピー 偽りの隣人」
う…う~ん、確かに中盤まで意味わかんない変人感は良かった。
ネタがわかりはじめたあたりで急速に失速するのは邦画にありがちなのかも。
香川照之の変人感でいえば、NHKの番組「昆虫すごいぜ!」のカマキリ先生役の香川照之の方がアクが強い気がする。
実際、上記の本じゃないけど本物の精神病患者というか、本物の"話の通じなさ"はこの映画どころじゃない気がするし、邦画ならば「冷たい熱帯魚」のでんでんの方が本物の頭おかしい感はある。まあ「冷たい熱帯魚」はホントの犯人が裁判所で言ったセリフをそのまま言ってるらしいので、その本物感はやはり本物(←?)。