3Dプリンタ顛末記 その4

小林武彦「生物はなぜ死ぬのか」読む。

本屋で平積みになってたのが気になったので手に取っただけで、マスコミで話題だったとは知らなかった。

 

内容的にはつまらん。

生物進化論のネオダーウィニズム説の高校生版といったところ。
生物の進化は「遺伝子の突然変異と自然淘汰」のみで決まる、という説がネオダーウィニズムである。

本書で語られる生物が死ぬ理由は、2つ。
・他の生物に食い殺されるから。
・遺伝子情報に老化してやがて死ぬってかいてあるから。

自然界でプランクトンとかマウスなんかは老化で死ぬより先に他の生物の餌になる。
人間は食い殺されることがないので、老化で死ぬ。老化は遺伝子によって決定づけられている。

 

なぜ老化するのか。その必要性については、
進化論的に考えて、世代交代させることが重要だから。
親よりも子、子よりも孫が進化論的に考えて多様性がある。
従って、古い世代が死ぬことによって生物の多様性が増加する。

 

…まあ、こんな感じでネオダーウィニズムの説教が繰り広げられるのが本書である。

 

俺はネオダーウィニズムが嫌いである。
ネオダーウィニズム理論は、一定確率で異形の生物が誕生し、生き残ったものだけが子孫を残すというルールなわけだ。
とすると、現在進行形で異形の生物たちがそこらじゅうに存在しないと変じゃやないか?という疑問がある。

最近の研究では、恐竜は鳥に進化した、という。
ならば、完全な翼になるまでの試行錯誤の生物の化石が無いのは変じゃないか?
さらに、今、人間も進化しているはずだ。
だったら、翼が生えかけとか、エラ呼吸しそうとか、そーいう突然変異の個体がそこらじゅうにいないと変じゃないか?
何故、進化してる最中の人類がなぜほぼ一人も見つかってないのか?
実は、歯の本数が現代人は減っているという報告もあるが、そんな些末なもんじゃねーよな。。

 

これまでの生物進化の化石調査においても、大進化といわれる大きな変化…翼が生えるとかエラ呼吸から肺呼吸になるとか…の、途中の化石が見つかっていない。突然に翼が生えたり、卵で生まれてきたり、目玉ができたりするのである。

非常に奇妙なのは、例えば卵は黄身があって白身があって殻があって~という複雑な仕組みがほんの少しでも違うと死んでしまう。そんな複雑な仕組みを偶然の組みあわせだけで説明しようとすると、膨大な失敗作がなければ説明がつかない。その失敗作が一個も見つかってないのはどういうことなのか?

 

この点についてダーウィニズムの連中は、進化ってのは数十万年以上もの時間間隔が~という言い訳をしてくるが、俺は全然納得できない。

 

…とかって、ともかく俺ぁネオダーウィニズムが嫌いなのだが、
この本の作者は最後の方に唐突に政治的な話を挟んでくる。

 進化論的には生物多様性が必要だ。
 なので、人間社会も多様性を認めよう。

要約するとこの2行になるのだが、生物多様性と、LGBTQみたいな人間社会の多様性とは全く意味が違うと思わないのか?

 

人間社会の多様性云々の話は、本書で専門的に語られる遺伝子情報のどこにあるのか指摘していただきたい。
自分が研究している分野は社会正義につながっていると思いたいんだろうが、アホとしか思えない。

 

ネオダーウィニズム創始者であるドーキンス利己的な遺伝子」にも、似ているといえば似ている記述がある。「利己的な遺伝子」では遺伝子の話を数学的に説明をしてたのに、突然、社会文化はまるで遺伝子のように継承されていく!これをミームと名付ける!という奇妙な短い章がある。
多分、それを作者は意識してんのかな?とは思うが、ドーキンスはまだ政治色が薄いものの、本書の社会的多様性の話は単に政治、しかも今、流行のポリティカル・コレクトネス的な薄っぺらい主張である。

 

それに、生物学的に死ぬ理由は新しい世代に引き継ぐためだと結論付けた後、じゃあ人間は?というと、老人は長生きしつつ死ぬまで働くべきだという変な主張が展開される。

 本書ではハダカデバネズミなんかの例も含めて、古い世代は"ピンピンコロリ"であること、つまり新しい世代が出てくると古い世代がリソースを使わなないようにすぐ死ぬことが重要だと書いてあるじゃないか。だったら、仕事ができなくなったら即死ぬのが生物学的に正しい、と主張しないと全然筋が通らない。ここらへんもポリティカル・コレクトネス的な薄っぺらさを感じる。

 

いや、まあ…久しぶりに新刊で新書買ったら不満たらたら云々だったという話はおいといて、3Dプリンタの話である。

 

さて、実際のデータを取り込んだらどうなるのか。

 

ず~~っと以前に、田舎の家並みを撮影した動画があるというので、早速、つかってみた。
動画をどうやって静止画にするのかと思ったが、ゼファー他、フォトグラメトリのソフトではおまけ機能で、動画を静止画に切りとる機能がついてある。

というわけで、
動画→50枚ぐらいの静止画→ゼファーで3Dモデル化。


そのモデルをXYZプリンティングソフトに入れてみた。

うん、3Dプリントいけそう…だけど、なんで白一色?ゼファーの出力はカラーだったのに?

 

実は、俺ぁこの時点で全然わかってなかったのだが、
ポリゴン(位置)データと、テクスチャ(色)のデータは別ファイルに保存される。

単純に説明するとこうなる。

 

形状はすべて三角形で表現される。その三角形(頂点・頂点を結んだ線・線で囲まれた面)をいくつも組み合わせて、ボールや箱なんかを形作る。この方法はポリゴンと呼ばれるのだが、このポリゴンだけだと色がない。


色は、ポリゴンの三角形ごとに分割して記録される。それぞれのポリゴンごとに色なり質感の画像データを対応させていく。これをテクスチャと呼ぶ。このテクスチャはポリゴンデータ全体で1枚の画像データとして保存される。

いわばポリゴンの折り紙の展開図としてテクスチャが保存されるのである。


上記の街並みのテクチャだけだとこんな感じになる。

ゼファーに特有なのかわからないが、ポリゴンデータ(obj)とテクスチャファイル(jpg)とは別にその2つを定義づけるファイル(mtl)が必要だった。

 

なので、カラーにしようとすれば、objファイル・jpgファイル・mtlファイルの3つが必要だったのだが、わからなかったのでobjファイルだけXYZプリンティングソフトに入れてみた結果、白色だけの3Dデータが出来上がったのである。