仕事付き合いで、取引先の事務のおばちゃんたちと昼飯を食う。
コレと言って話すことも無いんだが、何となく映画の話になる。
まあどーせ韓国ドラマかジブリでしょ、と会話をスルーしようと思った矢先、
「最近見た映画だとハンター・キラーが良かった」
え?ハンター・キラー!?あの潜水艦映画の?
「世界を相手に大統領を守る、ってのが映画でしょ?」
と言われて、素直に感動する。
ハンター・キラーは「漢」と書いてオトコと読むレベルの男臭ぇアクション大作映画なんですけど…。
そういわれると、最近の映画はスケールが小さい。
潜水艦映画とか戦争映画とか好きなんですか?と聞くと、そんなに興味は無いという。
「トム・ハンクスが好き!」
…!?ハンター・キラー関係なくない?
最近だとトム・ハンクスが出演してるのは「エルビス」
「エルビス」見ましたか?と聞くと、見てないという。
「エルビスって何?エルビス・プレスリーって誰?」
…!?あんた30歳超えてますよね?う~~~~~~ん。
マジでプレスリーを知らない中年女性に2度驚く。
なんでこんなつまんないシリーズを見なきゃいけないんだ?と毎回後悔するシリーズ。
1作目はまさに伝説だった。
アメリカでは輸入規制がかかっているはずの日本車をバキバキに改造して、ゼロヨンを戦う、というストーリー。
最後はトヨタ・スープラvsダッジ・チャレンジャーという日米対決に萌えた。
ある程度クルマを知ってる系で、脳みそが筋肉できてる男たちにバカ受けした一本だった。
2作目からもはやドラマ性ゼロで画面にいっぱいクルマ走ってるだけ、の馬鹿映画になった。
以降、なんか微妙な話が続くも売れに売れたっぽくて、どんどんスケールアップしてきた。
6作目あたりから、もはやクルマの必要性がほぼなくなってきて、スポーツカーで戦車と戦ったり、輸送機からパラシュートで落下してレースするとか、中学生が考えたさいきょうのくるまレベル。
8作目ではスポーツカーで潜水艦を攻撃する、という無茶ぶり。
この9作目、主人公に実は弟がいた!という、これまでの設定何だったんだという感じではあるが、そもそもこのシリーズ、魁!男塾並みに死んだはずのキャラが実は死んでませんでしたと生き返ってくるし、敵に寝返ったと思ったら特に理由なく仲間に戻るし、なんなんだコレと思って9作目を見ながら気が付いた。
この映画、田舎の中高生ヤンキー向けなのだ。
・とにかく家族が大事。家族=仲間=友情
・でもホントの血縁家族とは仲が悪い。俺をわかってくれない。
・クルマで走るか、庭でBBQするか、悪人をシバキ倒すかの3択。
・俺のクルマは最強。潜水艦より戦闘機より強い。
・実は喧嘩も最強。何十人束になろうがシバキ倒す。
以上の条件を守ることが大事。
しかも異常に予算があるので、今回はクルマにジェットエンジンを積んで人工衛星をシバキ倒す。
こんな作品の監督に指名されたら大変だろーなとは思う。
リアリティをどこに設定するのかがわからないうえに、あくまでもシリアスでなければならない。
例えば、ある人物の手がかりとして、メキシコの教会の絵葉書が届くシーンがある。
その絵葉書の消印は東京。
とりあえずアメリカから東京に行くものの全く手がかりが無い。
屋台でメシ食ってると、向かいの建物にメキシコの国旗があるので、ここに居ると判明しちゃう!
…これをコメディじゃなくてシリアスに撮れ!という注文は難しくないか?
さらに、メキシコ国旗がある建物に勝手に入ると敵?が集団で襲い掛かってくるところを返り討ち。しかも最後の敵は、その探してた人物によって狙撃されるというオチ。
そんな展開が延々と続く。それがワイルドスピード。
絶対に前作よりスケールアップしろ!と命令された監督の苦悩がにじみ出てるような気もする。
ついでといってなんだけども、シリーズ途中で主人公役が本当の交通事故で死んでしまっている。ファンサービスだろうとは思うがシリーズの中ではまだ生きてることになってるという無理も重なる。