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「天 天和通りの快男児福本伸行

福本伸行の初期作品はヤクザ人情モノの短編が多かった。その頃から面白さは突出していたが、やがてギャンブル漫画の金字塔「銀と金」が連載される。俺としては福本伸行の最高傑作は「銀と金」だと思うんだが、この「天 天和通りの快男児」も興味深い。

 

「天」は全18巻の麻雀漫画で、某Hが麻雀漫画を楽しめるなら1巻から読むので間違いないが、麻雀ルールはもちろんセオリーの詳細を知らないと面白くはないだろう。しかし、16巻から突然、麻雀と無関係に作者・福本伸行の生死感が語られるような内容となるのである。

 

16巻からは、本作の登場人物であり異形の天才=赤木しげるが自殺するという話から始まる。これまで赤木しげると文字通り生死をかけて麻雀を打ってきた敵味方が集まり、赤城しげるを順番に説得していく、という物語となっていく。

 

俺は10年以上前に読んだが、その時の衝撃は今も忘れられない。

赤木しげるが死ぬ理由もある程度は納得できるし、説得にあたる各メンバーのセリフも重い。ギャンブルで生死をかける人間の心理というものを知りえた気になるのがこの漫画である。

 

ちなみに”赤木しげる”というキャラクターはあまりにも魅力的であったため、その後のスピンオフ漫画「アカギ」の主人公にもなったし、「銀と金」のキャラクターともかぶっている。

 

16巻・17巻・18巻を送る準備はあるが、読んでみる?

 

オススメ度★★

 

所詮漫画はたかが漫画なんだけど、例えば西部邁の入水自殺の件なんかで考えさせられる。その西部が自殺をしたとき、その幇助をした2人がいた。

 

西部が自殺の相談を持ち掛けたとき、周りの人間は止めたはずだ。しかし、西部邁は元東大教授のインテリである。そんな人間をどう説得する?いや、そもそも自殺は悪なのか?などなど。

さらには、自殺幇助には刑事罰があるが、当の本人=主犯は死んでいるのである。その意をくんで手助けしたものだけが罪になる法律ってなんか変じゃないか?とか。