キリン解剖記

どれだけの時間、キリンについて考えたことがあるだろうか?

 

子供の頃、動物園でキリンだ~と喜んで見た記憶があるような…気もするが、1分も見てなかった気もする。
某Hから頂戴したこの本、キリンについて2時間ぐらい考えさせられた。

 

著者はキリンが好きで、キリン学者になり、キリンの首で新発見をした。
郡司芽久「キリン解剖記」

キリン解剖記

キリン解剖記

 

キリンの首はどーして長いのか?という単純な疑問から、キリンの解剖を行い、やがて胸の骨だと思われていた骨が、実は首となって動くという発見をするまでを描いたエッセイ本。さらに首って一体どこからどこまで?と問い直すのも面白い。

 

 文章としては高校生以下でも読めるよーに書いてくれてるのだが、いざ解剖の専門的な話になってくると途端に難しくなる。骨の図と、頸椎の何番目のアレがどーなって…という解説はあるが、どれがどーなってるのかよくわからん。。
そもそも「椎骨」という読み方を知らなかった。「ついこつ」って読む。へぇ~。

 

ゾウやオカピなど、死んだ動物の解剖についての苦労話なんかも面白いが、結構生々しくて、血の匂いが漂ってきそうな本ではある。

 

キリン好きにはたまらない…のか?よくわからないが、キリンの一部?について詳しくなれる本ではある。俺もキリンの角5本説を信じていたが、解剖学的には角は3本だという。へぇ~。

 

俺が興味深かったのは、鳥類の化石はなぜ首が反り返っているのか、という説明である。キリンの首は、その巨大な首を支えるために強力なゴムのような筋が通っていて、立ち上がっても首がまっすぐになるように支えている。しかし、死んでしまって地面に横たわると、その強力な筋のチカラで首が反り返ってしまうのだ、という。
これが鳥類でも同じで、化石で首が反り返っている原因だというのがすごく納得した。

 

さらに最後、一番興味深いのは博物館の3つの理念「無目的」「無制限」「無計画」というのは感心した。確かに50年後、100年後に何が重要視されるかはまったくわからない。だったら今は可能限り収集しておくのだ、というのは妙に納得した。

 

キリンと関係ないけど、ふと思い出したのだが、チョウチンアンコウのオスは、メスに比べて超小さい。さらにメスの体にオスがくっついて、やがて一体化してしまう。メスの血液から養分をもらう体になるのである。しかも、1体のメスに何体ものオスが融合しているのもあるという。

そこで疑問になるのが、免疫である。


人間を含め、動物には免疫が存在する。あらゆる病気から体を守ると同時に、自己と他人…母親と体内の赤ん坊ですら免疫機能的に自己と非自己を隔ていて、もし体液なんかが混ざると死に至る場合もあるのが普通である。

 

一体、チョウチンアンコウはどうしてメスとオスが一体化できるのか?といえば、実は「免疫を捨てる」からだという説が出てきた。果して免疫を失くすことでどーやって病気なんかから身を守るのか?もしかしたらまったく新しい免疫機能があるのか?というのが興味深いと思うんですけど、どーでしょうかね。