タイタンの妖女

ダーレン・アロノフスキーの映画「ブラック・スワン」に、日本のアニメ映画、今敏の「パーフェクトブルー」と同じカットが出てくるのは、映画好きには知られた話である。
この制作の裏話として、アロノフスキーと今敏とが直接会って話をするくだりが、今敏の日記に書かれている。

 

2人が会ってすぐ、今敏がアロノフスキーに「スローターハウス5」を好きか?と問い、アロノフスキーも好きだと答える。
今敏は、この映画の面白さが理解できない奴とは話をしたくない、とまで述べている。

その「スローターハウス5」という映画は、なんというか実に奇妙な映画である。


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この映画の話…というか、物語の時間軸はあるようで無い。現在と過去(と未来?)、場所もごちゃ混ぜになって、一体何の物語なのかは最後までハッキリとは分からない変な話なのだ。

 描かれるのは、時代に翻弄された主人公が時空を飛び越えて、地球上のどの時間、どの場所でもないところに自分の居場所を見つけるようなフワッとした内容である。

 

その「スローターハウス5」の原作者、カート・ヴォネガットの本を読んだ。
タイタンの妖女」結構分厚い小説である。

 

事故にあった宇宙飛行士が人類を超越したことから話ははじまるが、とにかく話があっちこっちに飛ぶ。世界で最も裕福な男の話から火星人の話、意味があるのか無いのかわからない章を読み進み、一体、どーやって話がまとまるんだ?と思いながら読んでると、最後、アッと思わざるをえない。


人間、さらには人類の持つ意味を含めて、強烈な皮肉を交えて考えさせられる奇妙なSFであった。
この本が人生最高の一冊であるという人の気持ちも理解できる。

 

岡田斗司夫が「人類の進化の行きつく先は重力波になると思うんだ」というセリフに、なんて頭イイんだ!と思ってたが、この本が元ネタだったというのもわかった、