ゴッドファーザー 最終章

ゴッドファーザー パートⅢ」をコッポラ監督自身が再編集した「ゴッドファーザー 最終章 マイケル・コルレオーネの最期」が公開された。


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俺はうろ覚えどころかストーリーもまともにおぼえてなかったんで見たら、いや~、いいんじゃね?俺ぁ見ごたえあると思うんだけど…「ゴッドファーザー」はパート1,2は絶賛される一方でパート3は酷評される。

 

パート1,2もほぼ忘れてたんでこの際全部見直してみた。
なので、3→1→2の順で見た。

結果、なるほど、パート3の評価が低い理由もわかる気もする。

 

しかし、長い。

パート1は3時間、パート2は3時間半ぐらいある。
今でいえば、1話1時間のドラマシリーズで全10話ぐらいと考えればいいんだけど、これが連続だから疲れる。
しかも登場人物が多いし、話も複雑でちゃんと見てないと置いてけぼりになる。

 

パート1は今見ても凄い。
西洋絵画のように異様にコントラストがはっきりした絵で、編集も現代的、話も濃密でテンポもはやい。とても半世紀前につくられた映画だと思えない。
映画全体はあんまりおぼえてなかったのに、あのラストのカットは子供心によくおぼえている。

最後、主人公の妻の目線から、主人公がマフィアのトップとして別世界に行ってしまった…という印象を観客に決定づけさせる強烈なカットに震える。

 

パート2は今見ても話が複雑ぅ…。
俺の頭が悪いのはまあ仕方ないとして、時折でてくる名前と顔が一致しない。あれ?誰が誰だったっけ…

 

パート3は、1と2と比べると、さすがに30年近く後に制作されたぶん絵は現代風だが、話の全体像は単純といえる。
いや、物語自体は複雑なんだけど、敵味方としてみれば比較的単純。
1と2は、ファミリーを守るためにファミリー自身、そして自分自身をも傷つけていく物語構成になっている。パート2はそれがテーマになっていて、本来守るべき自分の血を分けた兄弟を自身で殺すに至るまでの物語である。

 

パート3はあまりに組織が巨大化しすぎて、敵の組織もバチカンのトップ。巨悪vs巨悪だけども、善人のフリしてる方がもっと悪人じゃね?というつくり。

 

これまでのシリーズ同様、ジリジリと緊張感が高まり、ラストに皆殺し…までは一緒なんだけど、そもそもここまでファミリーがデカくなってしまうと、これまでの"弱小組織であるが故のやむにやまれぬ抗争"という物語ができない。
そして1と2にあった内通者へのケジメという物語もない。

 

パート3としては、老境を迎えて全てを手に入れたはずのマフィアのボスが一番大切なものを失い、失意のどん底に至る、という劇的な話なんで、面白いと思いますけどね…俺は。