手打ち麺

銀行のロビーで地元情報誌を読んでたら、近くのラーメン屋が紹介されてた。

 

気にはなってたけども、一度も行ったことがない。
小さい店で駐車場も微妙に止めにくい。
雑誌の紹介によれば、ラーメンは注文されてからの手打ち麺だという。
オススメはその手打ち麺のラーメンと水餃子だという。

 

うーん、時間はあるし、まあ一度行ってみるかと、1時過ぎに入店した。

 

なんだか薄暗く狭い店内で、テーブル席が1つ、カウンターが3席。
全部空席。

 

すぐに店員さんが出てきて、カタコトの日本語で
「チョト今日ハ混ンデルンデ時間かかりますがイイデスカ?」
と聞いてきた。中国人だろう。

よく見ると、テーブル席のついたての向こう側に小部屋があるようだが、人の気配は感じなかった。

 

まあ、時間はあるし、手打ち麺っていうのも手間がかかるだろうし、最悪小一時間ぐらいはいいかなと、時間かかってもいいッスよと、ラーメンと水餃子を注文した。

 

カウンターに座って山積みになった雑誌を読んでたら、4~5歳前後の幼児を一人連れた母親とその友人と思われる女性1人が入ってきた。
女性2人とも30代前後、こざっぱりとした身なりで、場末の感じがするラーメン屋にはあわない。

 

店員さんが同じセリフをいう。
「チョト今日ハ混ンデルンデ時間かかりますがイイデスカ?」
女性2人は、いいですよ、と子供含め3人が俺が座ってる斜め後ろのテーブル席に着いた。

 

どうやら、その女性らもこの店ははじめてだったようで、しきりにメニューを相談する声が店内に鳴り響く。

 

ほどなくして店員さんを呼んで、アレコレと注文し始めたが、品数が多い。
う~ん、そもそも時間がかかるって言ってるのにそんな6品も7品も注文して大丈夫か?幼い子供がぐずらないか?という俺の余計な心配をよそに、
友人と思われる女性が「この肉まんってオイシイですか?」
と、ストレートな疑問を店員に投げかける。

 

店員さんも腰が低いので、本場中国と日本との味付けの違いなどを説明するのだが、それが果たしておいしいのかどうかは、主観の問題じゃね?としか思えない。

 

なんだかんだで注文が終わり、女性2人の会話が始まる。
後ろに座ってる俺はまる聞こえなんだけども気にしてる様子はなかった。

 

母親の方のダンナはパチンコに行ってて、トータル勝った負けたの話になった。
友人女性は、パチンコ行ってる奴は勝ったときのことはおぼえてるが収支まで把握してないんだよ、と、ありがちな"パチンコ行ってる奴クズ呼ばわり"である。

ただ、その母親は夫がパチンコに行くこと自体、どーでもいいような感じである。

 

俺としては、ああ…田舎の典型的ヤンキー家族とその友人なんかな~…とテキトーな想像を膨らませていたが、そのパチンコ夫は、実は超大手証券会社の社員で、地方に転勤してきたというのがわかってきた。

 

母親と友人は田舎で久しぶりの再会を果たし、たまたま近所のラーメン屋に入ったようである。

 

やがて、そのパチンコ夫が、資格試験に落ちたという話になった。
昇進には不可欠らしいその試験に、一回落ちており、2回目の挑戦でも不合格になった。
そこから、その友人は、なぜ母親の夫がそんな試験に落ちてるのかわからないと言い出す。

えっ、まあそれなりに勉強しないと駄目らしいし…と母親が夫をかばう?のだが、
「いや、あたし、その資格持ってるし」
と、なぜか自分のキャリア・ウーマンっぷりを話し出す。

 

う~ん…ずいぶん友人側はマウントとってくるなぁ…。
なんか微妙な友人関係だな~…と、もう20~30分ぐらい待ってるんだけど料理が来ない。

 

と、注文を聞きに来た店員さんが料理を片手に、奥の小部屋に消えていった。
ここで気が付いたのだが、どうやら1人で店をまわしているようである。

 

う~ん…まあ、そりゃ時間かかるのも無理ないか…と思いつつ、手元の雑誌も段々飽きてきた。

 

後ろの2人は、やがて子育ての話になる。
しかし、幼児は物音もたてずによくジッとしてるな…。

「やっぱ子供とかいるとさぁ~。これだから結婚は嫌なんだよね~」
と、友人が何かとよくわからないマウントをとってくる話を否応なく聞き続ける。

 

ほどなくして料理を持ってきたが、女性側の料理であった。
同時に小部屋にも運んで行ったので、まあ、先に小部屋側が注文した料理と女性側がかぶってて、同時に料理したんだろうな…とは思うが…どうなん…それ…。

 

「スイマセン、時間カカッテ、スイマセン」
と、微妙なタイミングで店長…1人だから店長だろう…が腰を低く謝ってくるので、なんか帰るタイミングを失くす。

 

そこでもう一人、男性が入店してきた。
奥から店長が出てきて、同じセリフをいう。
「チョト今日ハ混ンデルンデ時間かかりますがイイデスカ?」
男性は「あ、ハイ、イイッスよ」と、俺の隣の席に座ってメニューを見ると、俺と同じくラーメンと水餃子を注文した。

 

この時点で俺はいつ店を出るかどーか考え始めていた。俺が座ってるカウンター席の目の前は壁で仕切られてて、厨房の様子は全くわからない。

 

しばらくして、小部屋からぞろぞろと人が出てきた。4人。
え~…4人でこんだけ時間かかったんか。。と思いつつも、これで俺の料理の番になるだろうとボンヤリ待ってた。

 

やがて店長が料理をもって、奥の小部屋に入っていった。

え?まだ中に人がいたのか…!?しかし、ほとんど奥の小部屋から声が聞こえてこないんだけど、建物はどーいう構造になってんだ?…しかし、もう小一時間超えてる…もう出るか…いや…ここまで待ったし、店長は低姿勢だしなぁ…もしかしたら隣に座ってる男性は常連で、待ってても食いたいほどのラーメンと水餃子なのか?

 

え…もう帰ろうか…と思った矢先、水餃子が出てきた。
隣の男性と同じタイミングで。
結果、うまい。
いや、すっごくウマイのかと言われたらそこまででもないが、これが5分ぐらいで出てくるならまた来たいとは思う。しかし、さすがに水餃子一皿に小一時間待たされるレベルでもない。

 

やっとラーメンか…まあ、この水餃子のレベルならちょっと期待できるかもな…。
しかし、後ろの女性はあいかわらずマウントとりまくりの会話としか思えないんだけど、母親側は受け流す感じで、こーいうのが慣れてる関係性なのか…う~ん、友人と思われる女性がマウントとりたがるのはコンプレックスの裏返しなんだろうかな…それを母親側がわかってて聞き流してるのかな…しかし、あんまり幼児が聞いてていいよーな話でもないんだど…

 

水餃子から20分経ってもラーメンは来なかった。もうそろそろ1時間半がくる。
う~ん…もう後ろの女性の話を聞いてるのも勘弁して欲しいし…もうカネだけおいて帰るか…と思った矢先、ついにラーメンが来た。
隣の男性と同じタイミングで。

 

いかにも手打ちらしい不ぞろいな麺には期待できる。
昔、六本木で刀削麺を食ったことがある。小麦粉のカタマリを腕に乗せて、ナイフでそぎ切りしたのを鍋でゆでるという、キシメンよりもホウトウよりも太く不ぞろいだったが、その不ぞろいさが新しい食感ともいう感じで美味かったのを思い出した。

 

で、結果、そのラーメンはうまくも不味くもなかった。
1分ぐらいで食い終えて、会計を済ませた。
「ホント、待タセテスミマセン」と、終始、店長は低姿勢であった。
…なんというか…その…二度と行くことはないかな。。


いや、そんなモヤ~っとしたラーメンの話よりもですね、
最近、俺はyoutubeタモリ倶楽部ばっかり見てる。

一番面白かったのは、大学の国語試験を解くという企画
「受験業界震撼の問題企画!作者の気持ちを作者は解けるか!」


タモリ倶楽部 181208 「受験業界震撼の問題企画!作者の気持ちを作者は解けるか!」入試国語の問題文の原作者が問題に挑戦!まさかの間違い続出に騒然!原作者VS問題作成者!正しいのはどっち

期待通り、国語の問題となった文書を書いた作者自身が、その国語の問題を間違えて、出題者側に詰め寄るというのは面白かった。