真の保守としてのサピエンス

で、お前はウヨクのクセに天皇ドー思ってるの?と言われると、実はあまりいい印象は無い。

 

個人的なコトを言わせてもらうと、田舎の狭い車道でクルマで信号待ちをしてた時のことだった。
6車線のデカい道路と交差する信号とはいえ、いつも1分ぐらいで切り替わる。
ところが、いつまでたっても信号は赤のまま。
もう5分ぐらいたってるハズ。
いや、いくらなんでもコレは故障か?
あれ…?目の前の6車線道路に一台もクルマが無いぞ?
ここら辺一体が信号機故障か?

と思ったその時、
6車線の真ん中を、皇太子を乗せた車が通り過ぎた。

 

あっ、そういうコトだったんだ!と瞬間的に理解したが、ああ、コレが権力ってやつかと肌で実感したのも確かである。救急車とか消防車とかパトカーが赤信号無視するのはわかるが、信号自体を操作する、という権力に素直に驚いた。
東京の中心、皇居あたりだとこーいうのは頻繁にあるのかも知れないが、こんなクソ田舎でこんな経験したのははじめてであった。

 

なんだよ、お前、小っせ~ハナシだな~!

と俺を批判するのはわかる。

 

しかし、フランス革命時、バルナーブが革命家になった理由は、バルナーブの母親が満席の劇場で芝居を見てたら、後からやってきた貴族が席がないからと母親を劇場から追い出したのがキッカケである。
同じくフランス革命ジロンド派の女性指導者ロラン夫人は、家族で貴族の城をたずねたら、客なのに台所でメシを食わされたのを恨んで革命家になった。

 

いや、別に俺は革命家を目指す気はないけど、
今の天皇って、何でエライのか、いまいち俺にはわからんのですよ。

 

いや、はじめの天皇はエライと思う。だって国家を建設したんだから。神話も含めて2千年以上も前の話だが、実在したとすればエライとは思う。でも、単に世襲…それも何世代も後の子孫がなんでエラいのか、よくわからんのですよね。

 

ちなみに、網野善彦なんかによれば、世襲でもエライというのは唐から輸入された律令制度あたりがモトだという。奈良時代大宝律令以後、徐々に役職が世襲に固定化されていく。つまり、天皇世襲の"天皇職"だという指摘である。さらに古来日本には無かったと思われる男尊女卑的思想が唐から持ち込まれる。それまで女性天皇なんかがいたのに、そーいうのがいなくなるのである。


(ここら辺、ネトウヨがキライなはずの天皇男系男子=中国大陸輸入説である。ついでに言えば、"日本"の語源は中国大陸よりも太陽が先に出るところ=東側という意味だという指摘もある。本当に独立国家とするなら、日本という国名を変えることも考えなくてはならんかもねぇ、という話も興味深い。

同時に、日本のサヨクフェミニストなんかが好きな中国大陸が男尊女卑の輸出元だった、というのも興味深い)

 

さらに、天皇って何をもってして天皇といえるのか?
仮に天皇のクローンができたとしよう。

天皇とそのクローン、どちらが見わけがつかなくなったら、どうやって判別するのか?

 

あるいは、天皇が行方不明になって、100年後に俺が天皇なんだよねという奴が出てきたらどー判断するのか?

 

いや、もっと現実的に考えて、このままの法でいけば、遅かれ早かれ、天皇の跡継ぎが生まれてこない事態になるのは目に見えている。その時、誰が天皇になるのか?その資質は何かあるのか?

 

ちなみに天皇個人の資質を問わず、天皇が存在してればそれでよい、というのを「天皇機関説」という。近代日本、法治国家の日本においては天皇機関説にならざるを得ない。

 

ちなみに、マジで行方不明の天皇が突然現れたという事例がある。
熊沢天皇(事件?)である。

 

中世日本で、天皇家南朝北朝にわかれた。現在の天皇北朝の血統とされる。では南朝はどうなったのかといえば、わからない。
なので、戦後の混乱期に俺が南朝天皇なんだよね~という自称南朝天皇が何人か登場した。
うち、最も有名なのが熊沢天皇である。

吾輩は天皇なり―熊沢天皇事件 (学研新書)

吾輩は天皇なり―熊沢天皇事件 (学研新書)

  • 作者:藤巻 一保
  • 発売日: 2007/09/01
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 熊沢天皇はGHQなんかにも尾行され、もちろん右翼勢力にも徹底的にマークされながらも、結局誰も手出しはできなかった。

 

ひとつの要因は、もし本当に南朝天皇家だったら?という疑念がぬぐえなかったからである。そしてもうひとつ、その熊沢天皇自身、単に人のいいおじさんだったからである。

 

実際、南朝天皇の証拠らしい証拠はなかった。別の言い方をすれば、自分は南朝天皇だと確信してる以外はフツーの、ひとのいいオジサン以外の何物でもなかった。

 

なので、GHQも公安も右翼も、コレと言って手出ししなかったと思われるが、熊沢天皇を利用して金もうけを企むよーな連中に付きまとわれて結局貧乏なまま生涯を終えた。

 

そもそも民主主義を目指すなら、誰の目にも明らかな身分差別である天皇を、なぜサヨク連中は憲法改正反対~!とか言って憲法に組み込まれた天皇制を守るのだろうか?

俺にはサヨクが論理矛盾してるとしか思えない。

 

ちなみに、簡単に言えば、天皇・王がいる民主国家=立憲君主制(日本とかイギリスとか)である。
王がいない民主国家(フランスとかアメリカとか)を共和制という。

サヨクが真の平等を目指すなら、天皇制廃止させて憲法を共和制に書き換えるべきでしょ?

 

と、俺は結構最近まで思ってたんだけど、
ロバート・A. ハインライン月は無慈悲な夜の女王」を読んで以来、俺の考え方がビミョーに変わった。

月は無慈悲な夜の女王
 

地球の流刑地として月に犯罪者が送られ、地球から月に暮らす人は差別されていた。やがて月で暮らす人々がついに独立戦争を起こし、月面国家を建設するという内容である。

 

1966年に書かれたSF小説であるため古臭いのもしょーがない。前半は正直読むのが苦痛というのもわかるが、後半の独立戦争あたりからは現代SFと比べても遜色のない科学的視点で描写されるのがワクワクさせる。

 

…いや、内容はともかく、最後、新国家の建設にあたって、共和制を選ぶか立憲君主制を選ぶかという話がある。

主人公含め3人の指導者のもと戦争を勝ち抜いたうち、1人の老人は、立憲君主制を選ぶのである。

 

俺はてっきり共和制を選ぶものと思っていた。
なぜなら、まず、月に王様はいなかった。そして、月面人は地球からの自由と平等を求めて戦争したが、そのリーダーである主人公はコンピュータ技師の一般人だった。

そこであえて「国家建設の立役者となった主人公は、大統領ではなく王となるべきだ」と、主人公の相談役で共に戦争を勝ち抜いた老人がアドバイスし、主人公も従うのである。

 

理由はハッキリとは語られないが、共和制だと独裁となったときのブレーキが存在しないからであろう。独裁・ファシストは民主主義でしか誕生しないが、王は民主主義の範囲外の存在であるため、民主主義の枠外からリーダーに対抗できる存在は必要だと説いたのである。

 

具体例でいえば、タイ王国がある。
タイは、しょっちゅう政権転覆が起こる。大規模デモが起こって社会が大混乱になるのだが、そのたびに、タイの王様が「まあまあ」と言ってその場をおさめるのである。

※ちなみにタイの皇太子はマジでヤバイ。もしかしからタイに王様がなくなるかも知れないレベルでヤバイ。

 

選挙で選ばれた政党・リーダーが独裁化するのは民主主義においてよくある。そこに対抗できるのは王という権威が有効であると「月は無慈悲な夜の女王」が暗に指摘した点に俺は妙に感動したのである。

 

えーっと、何だったっけ…?

 

あ、俺がウヨクだ、というのは、サヨク入門一歩前で説明した分類で言えば、俺は右翼になるからである。
なぜなら、数百年程度の歴史しかない民主主義思想ってなんか胡散臭いと思ってるから。

 

民主主義以前の思想、封建制度は文明史と同じレベルで2千年以上続いた。
現代人は封建制度が"悪"で民主主義は"善"であると教え込まれている。
だけども、ホントに悪い制度・思想が2千年以上も続くとは思えない。
みんな、ホントに封建制度を知ってるの?という疑問がある。

 

そして、俺は仏教思想なり古代ローマ思想なんかも興味はある。

さらに、俺はウヨク=保守として、1万年、それ以上前のホモ・サピエンスの社会性についてはもっと興味がある。