環境危機をあおってはいけない その2

例えば、現在の出生率の世界平均は何人かご存知だろうか?


ある程度年齢が高い人は学校の授業で「人口爆発が起きていて、このままでは食料が足らない、資源が足りない、地球がもたない!我々は宇宙船地球号の乗組員なのだ!」という話を聞かされたはずだ。


なので、出生率はすごく高いだろう…5人とか、それ以上かな?と思いがちである。

 

「FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」

この本によれば、現在の出生率の世界平均は約2.5人らしい。
もはや発展途上国平均ですら夫婦で子供は3人できていないのが現状だ。

 

上記のFACTFULNESS(ファクトフルネス)は、おおよそ昔学校で習ったような世界危機云々の話は、今や状況が全く異なっているのだよ、という本である。

 

環境問題も同じである。
昔、大問題だ!と喧伝されたものは、実はそーでもなかった、というのは多く存在する。というのが本書「環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態」の趣旨でもある。

本書で大事なのは、環境問題は現状のデータからして誇張されているが、全くないワケではない。ということ。これが第一章の趣旨だ。

環境問題はそれぞれ改善の余地はあるが、100%改善しようとするとコストがかかり過ぎて不効率あるいは不可能である、という内容ともいえる。

 

冒頭の出生率のハナシに戻ると、
例えば内閣府のホームページを見てみると、人口増加のグラフがある。

www8.cao.go.jp

「第1‐補‐1図 世界の人口の動き」の右肩上がりのグラフを見れば、やっぱりスゴイ勢いで人口が増えてる!と感じる。

 

しかし、出生率は2000年代以降3以下である。何か奇妙に感じないだろうか?
実は、2050年頃に世界人口の増加はほぼ終わり、2100~2200年頃の予測は、ほぼ横ばいとなるのだ。

 

では、食料はどうなのか?人口増加による飢餓・栄養失調問題は?

 

現在、食料は、現在の全人口をささえるのに十分な量が生産されている。
これは、小麦なんかの生産量と価格を見れば一目瞭然。
小麦の生産量はソ連崩壊時を除いて増加しており、価格は下がる一方である。
つまり、飢餓の原因については政治と輸送コストの問題といえる。

 

では、エネルギー問題は?
石油の埋蔵量と消費量をグラフにすると、毎年のように発見される油田、さらにシェールオイルなどの技術革新における埋蔵量の増加と比較すれば、全世界の石油消費量の増加はさざ波程度に過ぎなくなってしまう。

 

…と、世界的に問題とされた様々な環境問題について疑問を投げかける内容である。

ここらへんまでが第2部ぐらいの話なんだけど、とにかくこの本は分厚い。
2段組みハードカバーで580ぺージ以上の論文なのでなかなか読み終わらない。