フォードvsフェラーリ

「フォードvsフェラーリ」見る。
クルマ好きおじさんにはたまらない映画だろう。ただ、俺はそれほどクルマに興味が無いけどさ。。
フォードGTは知ってたけど、それがルマン用に開発されたクルマだったのをはじめて知った。
前評判通り良かったが、なんというか、欠点の無い映画という感じだった。


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物語は、フェラーリにバカにされたフォードがムカついてルマンで勝利するまでの過程。
後半の小一時間はルマンでのレースシーン。

好感が持てるのは、ほぼヒロインが出てこないところ。
フォードで車を開発して運転する2人の男を中心に、男の意地と義理と人情、そして中間管理職の悲哀。

 

カネのかけ方も半端ない。60~70年代頃のアメリカの風景描写はどこまでCGかはわからないが、ほんと感心する。
その頃のクルマにあこがれたおじさんというか老人にはドストライクの話だろう。

 

この映画はラスト、敵に勝つことがすべてじゃないというメッセージがドーンと語られる。俯瞰してみるなら、アメリカの求めてる物語は勝利主義じゃなくなったんだなともとれる。

 

…と、まあさすがハリウッドですよね、紹介動画の冒頭の夕暮れのシーンとかの照明は超一流だとは思うし、レースでのアクションシーンなんかの画面の豪華さも凄い。何か不満なの?といわれると、う~ん。。

冒頭に言った通り、欠点は無いが、ハッとさせられるシーンも無い。

 

この監督、ジェームズ・マンゴールドの映画は全部見たわけじゃないが、初期の「17歳のカルテ」なんかはハッとさせられた、いわゆる"作家性が強い"一本だった。
その後の「ウルヴァリンSAMURAI」「ローガン」「グレイテスト・ショーマン」とか、すげえ予算のデカイ企画の映画をバンバン撮ってるけども、どれも"この監督ならでは"的なシーンは思いつかない。なんというかソツなくこなしてる感じ。作家性とは真逆の"職業監督"って感じ。

ちょっと毛色は違うがJ・J・エイブラムスなんかもそんな感じかな。。

 

勝手な予想だけど、職業監督として巨大な企画の中に放り込まれて、別に自分の色を出すよりも、ハイハイと予算と時間通りに仕上げてくることができる、という才能なのかも知れないな~と思いながら見てた。

そこからさらに推論に推論を重ねて、この映画、職業監督だからこその中間管理職の悲哀が凄い出てるのかも…?だからこそオジサン好みかも知れない。

 

今から思えば、フォードもフェラーリもすべて実在する人物がモデルになってるんだからそうそう悪しざまに描くこともできなかったんだろうなぁ。フォード側の物語だけどフェラーリが一方的に悪い描き方はしてない。

一番の悪役はフォードのナンバー2というのも、フォードとフェラーリ両方に忖度した結果なんかな~と、ここでも中間管理職?の悲哀を感じるといえば感じる。

 

ま~…あえて文句を言うなら2時間半は長い。

クルマの開発に前半の1時間半が費やされる。これで終わりかと思ったら、後半の1時間で映画もう一本分ぐらいの長さを感じる。


さらに難癖付ける気は無いんだけど、やっぱ自動車レースの映像って、今や車載カメラの迫力に負ける気がする。
迫力だけでいえばF1なんかのドキュメンタリー映像の方がいいかな。。実際のレースだしなあ。