ウヨク入門一歩前 その1 国を愛せよ

左翼の説明はマルクスでちょっと疲れたので以上です。
んじゃ、もう一方の右翼は?

 

左翼の反対勢力です。
お・わ・り。

 

…いや、ちょっと、石を投げないでください。
サヨク入門の一番最初で右翼・左翼の説明をしましたのが、一言でいえば
状況を変えようする側が左翼で、それに反対するのが右翼です。

 

え~、もうちょっと、なんかあるでしょって?そうですね…
右翼は、国を愛している!
お・わ・り

 

…あっ、石を投げないでください。
泣く子も黙る右翼団体一水会の代表、鈴木邦男「左翼は勉強しないとなれないんですけど、右翼は"俺の方が国を愛している!"と言えばすむんです」とコメントしていましたので間違いありません。

 

まー、とにかくサヨクの反対がウヨクなんで、ウヨクのコレと言った世界標準みたいなのは無いんです。


日本だと天皇万歳、みたいなのがウヨクじゃね?と思われますが、一方の中国では、現在の指導者・習近平は昔の共産党指導者・毛沢東を見習え!と言ってるので、中国国内から見れば習近平はウヨクもウヨク、スーパー・ウヨクだと俺は思うんですけど、日本から見ればサヨクなんで、まあヤヤコシイといえばヤヤコシイですね。

 

なので、日本のウヨクは日本のサヨクの反対勢力なので、日本のサヨク史をざっと俺的に振り返ってみます。異論はたくさんあるでしょうけどね…。

 

日本の左翼、日本の社会党共産党の歴史を振り返りますと、はじめからソ連(ロシア)の言いなりでした。
特にスターリンは絶対に正しいということになっていたので、日本の左翼は単にソ連の命令に従っていただけです。
つまり、ソ連共産主義の本店、日本が支店みたいなもんです。
ただし、これは日本に限ったことではなく、世界的に社会主義共産主義の本店はソ連でした。

 

昭和の戦争あたりまでは日本で共産主義ってのはイジメられてました。
それが終戦直後、GHQも乗り込んできて、日本はけしからん!お前ら全員クビだ!
ということで、約20万人ともいわれるトップの人たちクビになりました。
"公職追放"って奴です。
で、その後釜に座ったのはトップになれなかった人、あるいは、サヨクの連中でした。

 

GHQは当初、サヨクにはかなり甘かったといえます。そもそもアメリカはサヨク嫌いのはずなんですが、日本がアメリカと戦争したのは天皇万歳と叫ぶウヨクのせいだ!という理屈もありましたので、その逆のサヨクなんて、まあ~いいんじゃね?というのはわかります。

 

あと、ソ連によるアメリカへのスパイ活動を報告したベノナ(ヴェノナ)文書が1995年以降に公開されました。それによると、実はアメリカによる日本統治については、かなりソ連の思惑が入ってたと記されています。
まあどこまでコレがホントかは知りませんが、記録を読む限り、真実味はある気がします。

 

ともかく、公職追放とGHQの甘い政策で、サヨクは息を吹き返します。
が、サヨクソ連本店・日本支部の関係は1960年代前半まで続きます。
え~っと、ジャイアント馬場アントニオ猪木がデビューしたあたり、1回目の東京オリンピックが開催されたあたりですね。

 

一方、ソ連では「すたーりん!」が終わったあと、続編に「ふるしちょふ!」がはじまりましたが、イマイチ人気がでませんでした。
まあ、「すたーりん!」があまりに最強の魔王だったため、制作者側のソ連もビビッてしまって、自主規制した(スターリン後のNo,1権力者をわざと選ばなかった)もんで「ふるしちょふ!」の魅力はイマイチだったようです。

 

日本のサヨク視聴者もこれでソ連を見限り、中国が制作した「もーたくとー!」を見るようになったんですが、これも続編の「とーしょーへー!」は、あまりにも中国が貧乏だから資本主義も一部取り入れようぜ!と言い出してしまいました。この「とーしょーへー!」が現在の中国経済が発展した要因なんですけど、サヨク的魅力という点ではイマイチです。

 

というわけで、日本のサヨク視聴者は1970年代後半あたりから、ついに日本独自でサヨクとは何か?と考え出すに至ります。

 

その頃、日本は経済は高度成長期です。労働者の給料はどんどん高くなってくるため、貧困は大した問題だとは思われませんでした。

今さら共産革命とかって流行らないよな~、という雰囲気がありました。

 

昭和の時代、ソ連や中国と比べて日本は圧倒的に経済は発展していました。
サヨク系国会議員の議席数はそれなりにありましたが、一般庶民にサヨクのイメージは悪かったといっていいと思います。暴力的だし。

 

そこで社会・共産主義者たちはイジけてしまいます。
俺たちの方がリクツだと絶対に"正しい"のに、それがわからない奴らは馬鹿だ!
俺たちがいかに正しいかを仲間内で競い合ううち、どんどんタコ壺化していき、

一方はさらなる暴力で訴え、

一方では理屈(理論武装)を積み上げていきました。
大島渚なんかの映画は、その頃の左翼青年の苦悩を描いちょります。


大島渚 『日本の夜と霧』 予告篇

左翼の暴力事件はマジ・ヤバいですが、それをひとまずおいといて、
そもそも左翼は理屈そのものです。


マルクスの説明もなにもかも、すべてが理屈です。皆から煙たい目で見られるのは、理屈が甘いからなんじゃね?ということで、徹底的に理屈を掘り下げにかかるようになりました。

 

その徹底的に理屈を掘り下げる、というのは頭が良い人=インテリの大好物です。
なので、公職追放以後、先生とか教授とかマスコミとか、いわゆるインテリ系の職場は左翼一色となっていきます。
もちろん、これは戦中に天皇一色だった流れから戦後のサヨクの流れにのっただけ、というのもあります。

 

んじゃ、その頃、サヨクに反対するウヨクは?

 

理屈に理屈を重ねる左翼の口げんかに勝てる人はまずいませんでした。何しろ、複雑奇怪な革命理論を引っ提げてくるサヨクを受けて立つには、まずはそのリクツを理解しなければならないので大変です。正面切って左翼と議論した右翼で有名なのは三島由紀夫でしょう。当時、右翼が左翼に対抗するにはそのぐらいの知性が必要でした。


映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』予告編

 

んじゃ、なんで今、サヨク側の元気がないのか?
ひとつは、あさま山荘事件です。日本のサヨクの暴力が行きついた先は、凄惨なリンチ殺人でした。これが日本全国にテレビで中継されたおかげで、日本サヨクのイメージはがた落ちになりました。

 

そして最大の原因は、ソ連の崩壊です。
左翼の理屈のうえで絶対正義であったはずの国家、ソ連が、実は滅茶苦茶で、理想郷とは真逆だったことが誰の目にも明らかになってしまったからです。これで左翼側は意気消沈してしまいました。

 

さらに最近では北朝鮮の実情が明るみになったこともあります。サヨクの牙城ともいえる北朝鮮が日本人を拉致している、というのはマスコミも信じていないレベルでした。この拉致被害者が事実である、ということで、ますますサヨクへの信頼がなくなったワケです。

 

暴力は駄目なんじゃね?サヨクってソ連といい北朝鮮といいウソつきなんじゃね?という日本の風潮に、日本の左翼は

1、革命を捨てて人権思想を推し進める方向

2、資本主義の限界はココだ!と指摘する方向

おおよそこの2方向にかじを切りました。

 

あ、またクソ長くなってきたので…

待て、次号!(←少女漫画雑誌「りぼん」の決め台詞)

サヨク入門一歩前 その5 マルクスの魅力

マルクスヒューマニスト、人権主義者です。
ウソではありません。
マルクス自身、自分はヒューマニストだと言っています。

 

この"サヨク入門一歩前"の、いっちばん最初にフランス革命の話がありましたが、左翼側に座った人々は、王様や教会が駄目だという根拠として人権という(当時は)新しい思想を主張しました。


マルクスも、王侯貴族が支配する階級社会で生まれつき差別される人々、権力べったりの腐敗したキリスト教、台頭する金持ち連中から虐げれらる貧しい人々らを解放し、王も貴族も奴隷もない平等な自由な世界にしたかったのです。


何も保障のない社会で、教育も受けれらず、自らの生活を切り売りしてやっと生きている貧困労働者たちから、人間性を取り戻すのがマルクスの描いた理想郷でした。

 

そして、そんな貧困労働者の人権を、現実の社会でどのように実現できるのか考え抜いた末に生まれたのが共産主義思想です。
共産主義思想は抑圧された人々の自由を約束する、まさしく世界を救う愛の思想なのです。

 

マルクスの説明には神様が登場しません。
マルクスより先にフォイエルバッハという人が、キリスト教の救済は実は人間なんだ、と説きました。
(※俺はフォイエルバッハの理屈がよくわかってません。すいませんね…。)
神じゃない、俺たち人間だ!というあたりが無神論者と言われる理由で、基本的には聖書の神様の役割が人間に入れ替わったワケです。

 

マルクスはその理屈で、天国へ至る階段は神様が作るんじゃない、俺たち人間が作るんだ!と宣言したわけです。
このとき、天国へ導く救世主は工場のアルバイトたちです。

 

…いや、ここ笑うトコとは違うんですけど、理屈で言えばそうなります

 

そりゃ、今の日本でアルバイトと日雇い労働者たちを集めてきて革命を起こそうってのは滅茶苦茶ですが、差別され抑圧された数万人の前で、どんなスピーチで彼らを鼓舞し、勇気づければいいのか考えてみてください。

 

俺はいわゆる被差別部落地区に行ったことがあります。山のふもとに小川が流れてまして、みじかい橋を渡ると、雰囲気がガラッと変わります。数十世帯が暮らしているであろうその地区は、すべて平屋ですべて同じ建物、区画も完全に正方形で、その地区に通じる道はそのみじかい橋だけです。私がクルマで橋を渡った瞬間から、周囲の人々、古い建物の中からの異様な目線が忘れられません。昼間だったんですが、暗くよどんだ感じはなんとも言えませんでした。

 

世界には貧民街、スラムがたくさんあります。俺は行ったことないですのでエラそうなことは言えませんが、そんな彼らが数千・万・億人単位で暮らしているような場所で、地域で、国で、資本主義バンザイと唱えて彼らが奮い立つでしょうか?流浪する貧民たちに、今から10年、いや100年ぐらいしたら学校とか行けるんじゃね?と言って彼らが納得するでしょうか?

 

彼らは幼い子供、そして老いた両親を抱え、一日中働いて、その日のご飯が食べられるか否かの瀬戸際で生活しています。
彼らは何のために生き、何のために死ぬのでしょうか?
生まれてから死ぬまで何も良いことがない世の中で、果たして生きていく意味があるのでしょうか?

 

否!

 

貧困であればあるほど正しい。

無知であればあるほど美しい。

何も持たない君たちにしか世界は救えない!

さあ、俺たちと一緒に世界を変えようじゃないか!

君たちはそのために生まれたんだ!


…という共産主義の言葉がいかに力強いかわかる気がします。

 

よくある共産主義の説明として、強制的に財産を取り上げ、平等に分けよう!という、究極の平等が語られます。それも共産主義の重要な一面で、恐ろしくも魅力的です。
しかし、共産主義の本当の恐ろしさとは、貧困であればあるほど、無知であればあるほど貴い…あまりにも暗く、あまりにも残酷であるがゆえに救われる、という思想なのです。そこに世界中の指導者やインテリらが熱狂したのではないでしょうか。

 

パンクバンド「ザ・スターリン」の遠藤ミチロウが、なぜ"共産党宣言"からの引用に「暗~い、臭~い」というセリフを加えたか、もうご理解いただけたかと思います。「吐き気がするほど、ロマンチックだぜ!」と叫んだ歌詞は、共産主義の本質なのです。


繰り返しますが、マルクスは、共産主義思想は人権思想です

 

これは「サピエンス全史」だったと思うんですが、ユヴァル・ノア・ハラリも同じことを言っています。

日本や欧米の資本主義下での人権思想は人権を個人の幸福を基準に考えますが、社会・共産主義思想においては、人権は集団の幸福が基準となります。その点では同じ"人権"という言葉でも意味が違いますが、同じなのは、抑圧された人間を解放し、本来の人間性を取り戻して自由を平等を目指すということです。

 

…え~…だってさぁ~…
だって共産主義を目指したソ連や中国で自国民大虐殺の事実があるでしょ?人権無視してんじゃね?
という話はよくありますが、んじゃ、核爆弾を落とし、ベトナム枯葉剤をまいたアメリカは人権マジ・リスペクトしてるんでしょうか?

 

右翼も左翼も結局は人権思想って点では同じです。
明治チョコスナックのきのこの山たけのこの里ぐらい同じです。今が食べ頃です。

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ウヨクとサヨクの違い(イメージ)

え?だから戦争になるんだって?まあ…それならしょうがないですね。。

 

…最近、アニメとかマンガとかラノベとかでは"なろう系"が流行してます。
現代に生きる主人公がドラクエみたいな異世界にとばされて、どんどん活躍していく、みたいな話です。その世界観は中世ヨーロッパが多いようです。


それって、まさしくマルクスの時代です。
マルクスマルクスに続く指導者たちは、困窮と圧政に苦しむ人々の解放を目指し、王を殺し、やがて数億の人々を従え、さらに従った人々を虐殺しつつも世界最強の軍事国家をつくりあげ、最終戦争へと向かっていったのです。今でもです。

 

マルクスを恐れ最終戦争を恐れる人々にとってマルクスは魔王ですし、マルクスを信奉する人々にとってはまさに神様、マルクスとそれに続く指導者たちはチートの主人公です。

 

いや、別に俺はなろう系アニメとかキライじゃないんですけど、現実に起こった革命運動の凄まじさと比べて、アニメや漫画の方がスケールが小さいってのはな~…とは思います。「まるくす!」ってアニメがあったら見ますよ、俺。「れーにん!」でもいいですけど「すたーりん!」は最凶の魔王だと思うんですよね。…え?センスが古いって?

 


このブログ"サヨク入門一歩前"シリーズ?を最後まで読んでいただいたアナタ、もしかして、ちょっと共産主義ってアリじゃね?と頭の片隅にでも思っていただけましたか?
そんなあなたに、マルクスエンゲルスが書いた「共産党宣言」の冒頭の一文をお贈りいたします。
亡霊が出る…!共産主義という亡霊が…!

 

 

…え?俺はどうなんだって?
俺は共産主義なんてまっぴらゴメンです(ニッコリ)
いや、そもそも人権ってなんかウサン臭くね?と思ってます。

 

サヨク入門一歩前 その4 マルクスとキリスト

これは共産主義が広まるにつれ結果的にわかったことですが、マルクスが唱えた歴史にはいくつかヤバイ点がありました。

 

1、資本主義が超発展します。

2、少数のスゴイ金持ちと、大多数の貧乏人(プロレタリアート)の差が開きます。

3、大多数の貧乏人(プロレタリアート)が金持ちをやっつけます=革命

4、共産主義社会という天国がやってきて、貧乏人がむくわれます。

これですが、


2、少数のスゴイ金持ちと、大多数の貧乏人(プロレタリアート)の差が開きます。

これは、ものすごい貧富の格差が"できなければならない"のです。
つまり、貧乏になればなるほど革命の日が近いというわけです。
なので、強制的に貧乏にしてもいいんじゃないか?という人が登場しちゃう理屈を与えてしまいました。

 

次に
3、大多数の貧乏人(プロレタリアート)が金持ちをやっつけます=革命

この革命をどうやって実行するのか、マルクスは手段までは言いませんでした。
なので、暴力を使ってもいいじゃないか!だって最終的には天国になるんだから!という理屈を与えてしまいました。
これは現在に至るまで、共産主義者が暴力OKになってしまった原因です。

 

そして、この革命がいつ来るのか?についてもマルクスは、そのうち自然にやってくるとしか語っていません。


そこで、はやく天国に行くために、無理やりにでも暴力的に革命を起こそうぜ、という人々がたくさん出てきてしまいました。

 

ソ連レーニンは、先に暴力的に革命を起こしてしまったので、革命後にどーやってプロレタリアートをつくるべきか?と本末転倒な話になってしまいました。

中国の毛沢東は、革命を起こすための暴力=農民たちを武装させ、いかに暴力で社会を混乱させ疲弊させるかというエグイ話が多いです。

 

最後に
4、共産主義社会という天国がやってきて、貧乏人がむくわれます。
さて、ここで、この天国って具体的に何?といえば

「全ての人間がピンハネされずに労働して平等に暮らしていける社会」です。

え~…俺は個人的にはちょと…働きたくないし~…というのは許されません。個人的な幸福の追求はマルクスの言う歴史の発展にとってむしろ有害となります。


おそらくマルクスからの共産主義思想で、現代の我々が最も受け入れがたい部分と言っていいでしょう。

 

そんなスカポコに文句を言われるマルクス主義がなぜヨーロッパを席巻したのか?

 

それは、キリスト教だったからです。

 

…え!?全然違くね!?神とかでてこないって言ったじゃん!
はい、マルクスキリスト教を否定した無神論者だと言われていますが、もう一度、マルクスが予言した歴史を見て下さい。

1、資本主義が超発展します。

2、少数のスゴイ金持ちと、大多数の貧乏人(プロレタリアート)の差が開きます。

3、大多数の貧乏人(プロレタリアート)が金持ちをやっつけます(革命)

4、共産主義社会という天国がやってきて、貧乏人がむくわれます。

一方、キリスト教の流れはこんな感じです。

1、神が世界をつくります。

2、神に反抗する者たち(堕落した人間とか悪魔とか)がはびこります

3、最終戦争が起こります。

4、神が勝利して天国が約束されています。

…なんか似てません?俺はソックリだと思うんですけど。。

 

マルクスの時代、キリスト教徒は不安になってた時期でもあります。
教会は権力者にベッタリだし、産業革命で科学とかなんか凄そうだし、キリスト教大丈夫?ホントに神様っているの?という不安を抱えていました。

 

そこでマルクスが登場して言います。
俺はキリスト教徒ではない。しかし、科学的に考えても結論は同じになる!
これに(元?)キリスト教徒らが熱狂したのもわかる気がします。

 

「神はいてもいなくても、キリストの教えは本当だったんだ!」と。
あるいは
マルクスは"神は無い"というが、真実を語っているのは間違いない!」

 

あるいは逆に、ボンヤリと神様の存在を疑っているに人とっては
「科学的な歴史は真実で、神はいないんだ!」と考える人がいてもおかしくない気もします。

 

すでに世界宗教だったキリスト教に乗っかって、あっという間に世界に伝わったのもうなずけるのではないでしょうか。
ちなみに、1900年頃、日本ではじめて共産主義者たちの団体ができましが、その多くがキリスト教徒だったのも偶然ではないはずです。

 

そのキリスト教の聖書には「金持ちが天国に入るのはラクダが針の穴を通るより難しい」という言葉があります。
貧乏人こそが天国へ行ける…これ、マルクスは同じことを言っています。

 

マルクスは「財産も何も持っておらず、身を粉にして働くしかない貧乏人(プロレタリアート)によって世界が救われる!」と断言したわけです。

貧乏であればあるほど、無知であればあるほど(唯物史観的に)正しく、美しいのです。


東洋にも、これに似た"清貧の思想"がありますので、日本人でも納得しやすいはずです。

 

…ただ、キリスト教徒じゃない俺にとっては、不思議な点があります。

 

仮に4の天国がおとずれたとしましょう。で、次はどんな世界になるの?

キリスト教では、その次の世界はありません。これで世界は終わりです。

めでたしめでたし…?

 

西洋と東洋の違いは何かという議論はよく耳にしますが、
世界に始まりと終わりがある、というのは西洋・キリスト教タイプの考え方です。
一方で、世界には始まりも終わりもない、というのが東洋思想タイプです。
俺としては歴史に終わりがあるというのは腑に落ちないんですけど、どうなんでしょうか。

 

話は変わりますけど、物理学で「宇宙はビックバンにはじまって、熱量的死を迎える=宇宙に始まりと終わりがある」というのも俺は妙にキリスト教臭いな~と思ってるんですが、そこらへんの物理学は俺の理解を超えてるのでなんとも言えません。

 

さらに、歴史が"発展"するとか"進歩"する、という考え方には違和感があります。
昔の人より今の人の方がエライ、さらに今の政治や社会制度が変わった・変わるはずの未来の方がもっとエライ、と俺には聞こえます。

なんか差別的じゃないですか?

 

これも同じくキリスト教の影響があるとしか俺は思えません。
前のブログで「社会進化論」とか馬鹿じゃね?などと俺が口汚く罵るのはここらへんに原因があります。ハイ。

 

…では、マルクスは単に別の語り口でキリスト教を再度、布教しただけでしょうか?

 

いいえ、違います。愛です。人類の愛をマルクスは語ったのです。マジで。


マルクスは、神が人間を救うのではなく、人間が自分自身の手で天国の扉を開くために共産主義を提唱したのです。

 

さらにメッチャ長くなりそうなんで、次回に続きます。

サヨク入門一歩前 その3 マルクスの何が悪いっていうのさ!

マルクス批判?何を今さら?
というのはごもっともですが、マルクスは文字通り世界を震撼させた思想家であることは間違いありません。共産主義を目指したソ連が崩壊した現在でも新冷戦時代とか呼ばれて、資本主義の権化であるアメリカと共産主義が正しいとする中国との争いは激化しております。

 

なぜこれほど共産主義は世界の半分から嫌われ、そして半分をいまだ魅了してやまないのでしょうか?

 

まずは結果として見れば、共産主義への夢は完全にキチガイだったとしか言いようがありません。
共産主義こそが正義としたソ連スターリンや中国の毛沢東は、自国民を数百~数千万人規模で虐殺しました。ポル・ポトが政権を取ったカンボジアでは自国民の半分以上が虐殺されたことを考えると、こいつはヤベェ思想だと誰もが思います。

 

どこで何を間違ったのでしょうか?

 

前に説明したマルクス主義の歴史から考えてみましょう。

1、資本主義が超発展します。

2、少数のスゴイ金持ちと、大多数の貧乏労働者(プロレタリアート)の差が開きます。

3、大多数の貧乏労働者(プロレタリアート)が金持ちをやっつけます=革命

4、共産主義社会という天国がやってきて、貧乏人がむくわれます。

この歴史は本当でしょうか?


資本主義側も、資本主義がメッチャ発展したら貧富の格差は広がると考えてますので、1~2は今のところ正解だと俺も思います。

経済学者のピケティも、歴史上、資産を持ってる金持ちがずっと儲かってたよね、という科学的調査を発表しました。

 

昨今はGAFA…グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンのIT系企業が国家を超えて超巨大化しているのは誰もが知っています。

10年ぐらい前にニューヨークの金融街(ウォールストリート)を99%の貧乏人が占拠するぞ!という運動が起こりました。アメリカでは金持ち上位1%がアメリカの30%以上の資産を持っているんだそーです。

 

そして昨今、AI(人工知能)で仕事がなくなる!という話、ここらへんのマルクスの話とすごい似てると思うんですよ。資本主義の発展によって高度な技術・機械化で人間の仕事が奪われる…って、マルクスの言う通りだと思いませんか?


(ただしこの部分、俺としては、マルクスの話と同じだということで、だったら逆にAIで仕事がなくなることは無いなと思っています。なぜなら、200年ぐらい前からずっと高度な技術・機械化がされていますが、そのせいで大量の失業者どころか大量の就職先が生まれ続けてきたからです。200年近く間違い続けてきたんですから、おそらくAIも同じ道をたどるんじゃないでしょーか。)

 

んじゃ、

3、大多数の貧乏労働者(プロレタリアート)が金持ちをやっつけます=革命

はどうなんでしょう。これまでプロレタリアートが金持ちをやっつけたことがあったでしょうか?

 

…ところでプロレタリアートって何?
これまでの俺の文章で貧乏労働者(プロレタリアート)と、わかりにくく書いてます。なぜかといえば、200年ぐらい前にマルクスが考えたプロレタリアートというのは、実はかなりボンヤリしてたからです。
マルクスは実際に見たワケじゃなくて、マルクスが考え出した想像上のモデル=プロレタリアートなのです。

 

マルクスが考えたプロレタリアートは、資本主義が発展してできる集団(階級)です。技術の高度化・機械化によって、今にも失業しそうで、何も保障がなく、人生を切り売りして生きていくしかない労働者たちです。


これって俺が思うに今でいうところの2次産業=製造業の工場労働者で、かつ、非正規雇用(アルバイト)みたいなもんじゃないかと思うんですよ。

 

なので、農家、農民はプロレタリアートではありません。このことはマルクスも指摘しています。

日本だとプロレタリアート=農民というイメージがありがちですが、農民もプロレタリアートと一緒に革命しようぜ!と言ったのは、ソ連レーニンからです。

さらに、いろんな(弱小?)民族たちも一緒に革命しようぜ!とか言い出したのはレーニン後のスターリンです。

 

マルクスは資本主義が発展しまくったイメージは、当時のパリあるいはロンドンでした。ドイツはパリに比べて全然発展してない田舎でした。ロシアなんてさらに9割が農民というド田舎だったので、マルクスにとって、先にロシアが革命を起こしてしまったというのはあまりに予想外でした。

 

そもそもはじめに資本主義社会がメッチャ発展する必要があります。マルクスはフランスやイギリスこそが見習うべき資本主義社会で、自分の生まれ故郷のドイツ頑張れよ!という気持ちがあったことは多くの人が指摘してます。さらに、ドイツより東のヨーロッパはド田舎です。
マルクスポーランドを除いて、東ヨーロッパに住む田舎者のスラブ系民族をかなり馬鹿にしてたようです。

 

ちなみに「翔んで埼玉」で例えるとですね、埼玉県出身のマルクスが、共産主義革命は東京都心3区でしか理屈上ありえないと思ってたのに、まさかの群馬県共産主義革命が起こったみたいなもんですね。そりゃマルクスも関西弁で「なんでやねん!」と叫ぶ気持ちはわかります。

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マルクスが想像した群馬=ロシアのイメージ(ウソ)

ともかく、ホントに貧乏で教育も受けられない貧民たち、そもそも農業しかない無いクソ田舎の群馬…じゃなかった、国家や民族を小馬鹿にしてたあたり、マルクスエンゲルスが実は金持ちのボンボンだったのが理由かもしれません。

 

結局、資本主義が発展しまくったはずのフランスやイギリスで革命は起こりませんでした。
革命が起こったのは西側諸国と比べて資本主義が全然発展してないロシアとか中国、ユーゴスラビアベトナムキューバとかのクソ田舎だけでした。マルクスが小馬鹿にしていた地域でしか革命は起きなかったのです。

 

ここで先の
3、大多数のプロレタリアートが金持ちをやっつけます=革命
は、革命は起こったことは起こったんですけど、マルクスが思ってたのと違った革命でした。ロシアや中国の革命は、王様が農家の集団に倒されるというもので、資本主義の発展云々なんか関係ありません。
なので、革命がおこった後の4、天国が来るというマルクスの予言とはまったくかけ離れていきました。

 

フランスやイギリス、それにアメリカや日本、そしてマルクスの故郷ドイツなんかは、資本主義が発展した結果、金持ち階級(ブルジョア)とも貧困の労働階級(プロレタリアート)とも区別できない、真ん中あたりの小金持ち(中産)階級が大量に生まれました。その結果、革命なんか起こりませんでした。
※実はドイツは革命が起こりそうだったんですけど、それを止めたのはヒトラーでした。なんか皮肉です。

 

まあ、いくらマルクスが天才であっても、さすがに200年前に今の職業を予測することができなかったワケです。某HやG監督の職業はいわゆるサービス業・3次産業で、そんな仕事が将来山ほどでてくるなど思ってもみなかったし、製造業の2次産業でも、大規模化すると経理や人事や労務管理なんかの仕事が必要になってきますが、それも予想するのは無理でした。

 

■なんでそーなるの?それは唯物史観だから!

そのマルクス主義の歴史のもとは「唯物史観」です。さらに「唯物史観」のモトとなる「上部構造と下部構造」のさらにモトになった哲学唯物論」っていいの?悪いの?どっちなの!?といわれても、これは単にモノの見方であって、どっちが正しいというワケではないと思います。

 

人間はなぜ机の上の果物がリンゴだとわかるのか?という質問に答えようとすると、
まず原子があって分子があって細胞があって脳があって眼があって…と答えていくのが「唯物論」です。
一方で、先に「リンゴ」という考え方があって、それを脳が理解して目で確認するからだ、と答えるのが「観念論」です。

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別にどっちが間違ってるワケではなくて、卵が先か鶏が先かみたいな話です。


その唯物論から考えたら「上部構造と下部構造」があって「唯物史観」になるじゃん!というのはかなり強引な気がします。その上部構造と下部構造とかって、そんな設定自体が無理があるんじゃない?というのが俺の素直な感想です。

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下部構造=物資・経済が豊かじゃないと、ろくな上部構造=宗教・哲学も生まれないというなら、2千年前に登場したキリスト、ブッダ孔子なんかはどう考えるべきでしょうか。現代に至るまで圧倒的なカリスマ、知性があるんですが、2千年前の下部構造なんて現在と比較にならないほど貧弱だったはずです。

…まあ、共産主義は絶対に正しい、これまでにない究極の知性だ!とすればわからなくもないんですけど、結果的にそーではなかったですよね?


さらに直感的に考えて変だなとわかりやすいのは、芸術あたりでしょうか。
芸術=美しさというのは、善悪とか真偽を超えて、美しいという理由だけですべてがひれ伏すのです。
なので、唯物史観的に美しいというのは、もはや純粋な美しさとは違うんじゃないでしょうか。

 

ここらへん、ちょっと抽象的な話でわかりにくいんですが、
マルクスの時代、ヘーゲルの哲学が大流行します。基本的にA対Bでどっち?やがてAとBから生まれたCが勝つ!みたいな考え方です。
なので、妙に二項対立(ブルジョアvsプロレタリアート唯物論vs観念論)で考えるクセがあるような気がします。

 

いや、でもさ、人間が野蛮な文化から発展して今の高度な文化に至るという説明
野蛮→古代の奴隷社会→王様・貴族・平民がいる封建社会→資本主義
ってのは正解なんじゃないの?という気もします。

これはマルクスから100年ぐらいは誰もがそう思ってました。

 

そこにレヴィ・ストロースというフランス人が、いや、違うよ?野蛮人から洗練されるなんて無いよ?俺、見てきたもん!と主張しました。
見た目は野蛮人でも、ちゃんと観察すれば、奥底には現代ヨーロッパ人と同じレベルの文化があると"発見"したわけです。群馬の原住民たちは見た目はともかく東京都港区と同じレベルの文化があったのです!
前に「衣食足りて礼節を知る」というセリフがでてきましたが、衣食なんてなくても礼節はあったのです。

 

これは自分たちこそが善であり洗練され優れた人間だと思っていた西洋ヨーロッパ人らにとって、ダーウィン種の起源」以来の超ド級の衝撃だったと俺は思うんですが、そこらへんはどうなんでしょうか。

 

ちなみに、マルクス唯物論が正しくて観念論が間違っているとは言っていません
むしろ、ソ連レーニン以降の共産主義者たちが唯物論だけが絶対正しいと主張しはじめました。

 

■ところで、ピンハネ(搾取)ってなんだ?

マルクスは経済学として、労働とカネは同じと考えていました。つまり、Aさんが一日した労働とBさんの一日した労働の価値は同じで、交換可能だという考え方です。

 

単純な肉体労働だとだいたい当てはまる気もします。俺は、一日中ベルトコンベアから流れてくる商品にシールを貼るアルバイトをやったことありますが、こんなの誰がやっても同じです。

 

しかし、当然ながら、少し仕事が複雑になってくるとAさんとBさんとの知識や技術が違えば結果は変わってきます。
…これを考慮に入れる必要はなかったんですよ。マルクスの時代はとにかくモノがなかったんですから。

 

一番の問題は、商品の値段は労働力で決まる、という考え方です。
1日でできる仕事よりも1年かかってできた仕事の方が値段が高いのはわかりますよね?
1人でできる仕事よりも10人かかってできた仕事の方が値段が高いのもわかりますよね?
なんか、わかる気がします…が、本当でしょうか?

 

もし、10人が1年がかりでつくった商品がクソだったら誰が買うでしょうか?

 

つまり、商品の値段は、買う人(需要)と作る人(供給)とのバランスです。
1人でパッと作ったモノでも、必要があれば高値でも欲しがる人はいます。
モノの価値は労働力ではなく需給関係で決まる、という当たり前の話です。

 

さらに言えば、マルクスのいうように、利潤とは経営者がピンハネしてるぶんだ!というのは正しいといえば正しいのですが、世の中で売られている商品・サービスにはすべて利潤があります。商品にかかったコストに利潤を乗っけないと、売れば売るほど赤字になってしまって、やがてその商品は消えてしまうのは当たり前だからです。

 

ただし、資本主義でもこの利潤をのせなくてもいい、というルールが通用する分野があります。
公共財・福祉サービスの分野です。単純に公務員は利潤を追求してません。
しかしながら、公務員の給料は税金からですので、みんなからピンハネ(搾取)してるのは逆に公務員だという話も成り立ちます。

 

いずれにせよ「搾取」という意味はボンヤリとしてて、いまでも言ったもの勝ちみたいな話です。

 

それはそれとして、現実に革命が起こってしまったソ連なんかは、誰がどのようにしてモノの値段を決めるのか、大問題になりました。

 

仮にパン1個の値段を決めようとしたとき、材料の小麦の値段、パンをつくる調理器具、オーブンの部品、オーブンを組みたてる職人の給料、パン職人の給料、小麦を育てる農家の給料、その肥料…気が狂うほどに細かく分かれた値段とその整合性について、誰かが"正しく"判断しなければなりませんでしたので超大変です。

 

さらに、いくら"科学的に正しい生産"でも、計画通りにいくことはありません。農業は天候に左右されますし、工業でも慣れない仕事はうまくいきませんし、原材料を国外から輸入したり完成品を輸出する際は値段が変動します。


そこで、先に正しい値段を決めて現実を従わせる、従わなければ現実が悪いんだ、という無理な方向になりがちでした。

 

ちなみに、マルクスの理屈として労働はカネと同じなので、労働力を銀行にあずけて労働力を引き出す!という銀行が実際に設立されたことがありますが、あっという間につぶれました。

 

…え?まだマルクスの悪口が続くの?

いえ、それでもなぜ世界の半分がマルクスのトリコとなるのか?その魅力について説明しようかと思います。

サヨク入門一歩前 その2 マルクス爆誕

今から200年ぐらい前なので、フランス革命のすぐ後ぐらいです。

ドイツでマルクス爆誕します。
父親が弁護士の家で育ち、けっこう裕福でちゃんと教育を受けて育ちます。
(この"マルクス自身は裕福な家庭で育った"点は重要な気がします。)

 

マルクスが30歳の時、エンゲルス(28歳)との共著で共産党宣言を書きました。
その後の代表作資本論なんかを含めてその影響力は聖書と同じかそれ以上、まさに世界を変えたのです。

共産党宣言」は短い本です。内容がわからないところは読み飛ばしてもらってかまいません。シビれるのは、現実に世界を変えた中二病満載のセリフです。世界を変えようとする者は、このぐらいカッコいいセリフを言って欲しいものです。

 

全くの余談ですが、遠藤ミチロウのバンド「ザ・スターリン」では、この共産党宣言のカッコいいセリフをそのまま「先天性労働者」という歌の歌詞として歌ってます。

www.uta-net.com

もちろん上記の歌詞で「くさ~い くら~い」あたりは遠藤ミチロウの創作ですけども。

歌う様子もyoutubeで見ることができます。


The Stalin - 先天性労働者

いや~パンクですねぇ~(ニッコリ)パンクスは無政府主義、つまり究極の共産主義です!…え?youtubeで何言ってるか聞こえないですって?いいんですよ。ルー・リードもロックに歌詞は関係ぇ無え!って言ってましたから。

 

俺は遠藤ミチロウのソロ・ライブに行ってですね、観客は30人ぐらいだったでしょうか。帰りにCDを手売りするミチロウが「なんだよ!誰も買わね~のかよ!」とボヤいてたのがカッコよかったです。ハイ。

 

…え~っと、マルクスの話に戻りますけど、
文字通り世界を変えることとなった「共産党宣言」を、30歳以下の2人が書いたというのは、まさしく数百年に一度の天才だったことは間違いありません。


ちなみにヒトラーの著書「我が闘争」なんかは、国内政治のチマチマした話と、恨みつらみと、ボクたちの民族が一番偉いんだ!という話が延々と続くので、俺は最後まで読めませんでした。"簡潔なわかりやすさ"というのは人の心を動かすのに重要だとは思います。

 

では、そのマルクスは何を語ったんでしょうか。
はじめにマルクスが語った共産主義という話は、あっという間に世界中に伝わりました。

 

しかし、伝わるうちにどんどん内容が変わってきたのも事実です。

マルクス主義とは何か?という答えは人によって違うレベルにまでなってきます。マルクス自身「私はマルクス主義者ではない」と言ったというエピソードは有名です。

 

以下の話は、マルクスがはじめに考え出した(初期?原始?)マルクス主義を俺が簡単にまとめてみました。

 

■世界はかならず共産主義になっちゃうゾ♡

マルクスは人間の歴史は必ずこうなる!と断言しました。

1、資本主義が超発展します。

2、少数のスゴイ金持ちと、大多数の貧乏労働者(プロレタリアート)の貧富の差が開きます。

3、大多数の貧乏労働者(プロレタリアート)が金持ちをやっつけます=革命

4、共産主義社会という天国がやってきて、貧乏人がむくわれます。

 

くわしく説明してみましょう。

マルクスの時代は、かなり混沌とした状態です。

フランス革命にもあるようにヨーロッパ全土で、王様ぶっ殺せ!俺たちが政治やるんだ!という感じと、おなじ国・民族で団結だ!違う連中をやっつけろ!という感じが混ざって、各地で革命・革命騒ぎが起こりまくり、誰が国家権力を握るのかをめぐって政治は超不安定です。

 

政治なんて貴族じゃあるまいし~と思っていた平民たちも、産業革命で機械化がじわじわ普及してきて、先祖代々続けてきた仕事が明日にもなくなるかもしれない、という不安もでてきました。

 

マルクスは、そんな混乱のなか、ついに歴史の真実を見つけ出した!お前ら安心しろ!と発表しました。
それがさっきの1~4の順番です。

 

1、資本主義が超発展します。
これまで工場などというものはなかったんですが、技術の向上と機械化によって、大量生産が可能になってきました。

企業(工場)の経営者たちは、それで儲けたカネで、さらに土地を買って、さらにデカい工場をつくって、機械を買って、さらに儲けたカネで土地を買って…というサイクルを繰り返します。このサイクルが資本主義の発展です。

 

マルクスの時代、フランスのパリやイギリスのロンドンで実際こんな感じになってきました。

 

2、少数のスゴイ金持ちと、大多数の貧乏労働者(プロレタリアート)の差が開きます。
この1のサイクルで資本主義が発展しまくると、結果的に経営者と労働者(プロレタリアート)の間でものすごい貧富の差が開いてきます。

 

技術の高度化・機械化はとどまるところを知らず、人間がいなくてもどんどん生産できるようになりますので、労働者は明日失業するかもしれないマジでヤバイ状況となります。一方で、経営者はどんどん金持ちになっていきます。


なぜ経営者は金持ちになるかといえば、労働者の給料をピンハネ(搾取)しているからです。そして金持ちは金持ちどうしで食い合いをし、結局はよりデカい金持ちだけが残ります。
最後に残るのはごく少数の超金持ちと大多数の超貧乏な労働者という社会になります。

 

3、大多数の貧乏人が金持ちをやっつけます=革命
ここで立場が逆転します。高度に発展した生産体制によって、生活に必要なモノはそろっています。経営者など不要です。


金持ち連中はビンボーな労働者(プロレタリアート)たちの手によって消えてなくなります。

 

4、共産主義社会という天国がやってきて、貧乏人がむくわれます。
もはや給料をピンハネ(搾取)するような人はいません。機械化によって生きるために必要なすべてのモノは、計画的につくられ、みんなに平等に配られます。ここにはもはや人間を制限するような仕組みはありません。政府も国家もありません。


※政府も国家も無い=無政府主義アナーキズム)、だからパンクス(=アナーキズム!)は共産党に通じるのです。

 

以上、この歴史の流れは、必ずそーなります。太陽が沈んだらまた昇るのと同じぐらい絶対です。
だって科学的に正しいんだも~ん!…と、マルクスは主張したわけです。

 

■なんでそーなるの?それは唯物史観だからさ!

なんで1~4の歴史になるの?その科学ってなんなの?という理由は唯物論といわれる哲学がモトになっています。その唯物論からマルクスが考えるに、すでに歴史の流れはそーなると予想できたわけです。これが唯物史観です。

 

んじゃ、その唯物史観ってなんじゃらほい?

まず、すべて世界は上部構造と下部構造に分かれます。

↓ ネットで見つけた図解

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こんな感じ。
要するに物理的なモノと豊かな経済があってこそ、あるいはそのレベルに応じて、哲学とか法律とか芸術とかができるようになるんだよ、という考え方です。


「衣食足りて礼節を知る」なんて言葉がありますが、意味は近いんじゃないかと思います。前原誠司もそう言ってますし。

globis.jp

 

ここで非常に重要なのは、世界の成り立ちの説明で神様がどこにもいないことです。

 

当時、キリスト教ガチガチのヨーロッパで、神様抜きで世界の仕組みを説明しようとしたというのは画期的、いや天才的でした。これが共産主義無神論者と言われるゆえんともなります。

 

ともかく、人間はもともと自然で野蛮な状態なので、はじめは幼稚な文化しか持てませんが、やがて技術を持ち、それが発展していくことで、どんどん進歩していくというワケです。


人類の歴史から考えますと、
野蛮な人類→古代の奴隷社会→王様・貴族・平民がいる封建社会→資本主義
と発展してきたわけです。


さて、その資本主義の次を考えますと、高度な技術・機械化でものすごく経済が発展したら文化とかヤベェぐらい発達するじゃん!最後はもうパラダイスですよパラダイス!となるわけです。さて、そのパラダイスはどんな世界でしょうか?

 

マルクスが考えたパラダイス=人類すべてがピンハネされずに労働して自由に豊かに平等に暮らせる社会=共産主義の社会というパラダイスだったワケです。

 

■ところで、ピンハネ(搾取)ってなんだ?

なぜ労働者(プロレタリアート)は経営者よりビンボーなのか。それは経営者がピンハネ=搾取するからです。

 

なぜ経営者側は搾取ができるのか?

それは、労働者が作った商品は、必ず労働よりも付加価値をつけて売るからです。

 

つまり、
商品を作った労働力の値段 < 商品の値段
となるからです。

 

労働者が1人で1時間ぶん労働してつくった商品は、その1時間分の時給よりも高いワケです。
なんでなのか?といえば、その商品を作るために必要な土地や機械なんかにかけたカネの分が加算されてるからです。

 

土地や建物、機械なんかを所有するには、はじめにおカネが必要です。労働者はもともとカネがないので買えません。おカネを持つ経営者だけが土地を買い、さらに買い増ししていく、という構図になるんですね。

 

労働者(プロレタリアート)はビンボーなので、そもそも何も所有できません。労働者(プロレタリアート)は、自分自身を商品として経営者に売るしかないワケです。

それはもはや自分の時間を、自分の人生を会社に切り売りしてる奴隷じゃないか!

そもそも自然状態から考えると、土地を誰かが所有しているなんてのは不自然です。みんなのモノにしたらいいじゃん!

まるで日雇い派遣のように、大切な日々を切り売りしないと生活できないなんて非人間的なことはやめよう!
土地や会社はみんなのものにしよう!

 

これが共産主義のはじまりの考え方です。

 

異論は…いっぱいあると思うけど、原始マルクス主義ってこんな感じだと思うんスよね。

 

で、次は、なんでマルクス主義をみんないじめるの?どこが悪いっていうの?を説明してみます。

サヨク入門一歩前 その1 左翼って何?

先日のブログで

自分なりにマルクス主義というか共産主義への理解をまとめてみよう 

とか書いちゃったので、しばらく悩んだ結果、とりあえず左翼って何かって説明からしてみようと思い立ちました。

 

…左翼をどう説明するのか?と考えた時点で某Hがゲラゲラ笑ってるのが目に浮かぶが、まあ、所詮俺のアタマの程度なんてこんなもんよ!と思うしかねぇ…。

 

とりあえず俺としてはG監督に「サヨクってこんな感じだと思うんですよね~」って感じで話す内容だと思ってください。
あるいは将来、フジオ君が社会科の宿題か何かでこのブログをコピーして提出して、先生に渋~い顔されるあたりで考えてみました。

 

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左翼って何?

 

今から230年ほど前、フランスで王様いらなくね?と、革命がおこります。フランス革命ってヤツ。そのとき、フランス議会の座席で左側=左翼に座った連中が、王様なんていらねーよと主張したワケです。王や貴族による政治(専制政治)を変えようとしたんですね。

 

というわけで、
 これまでの政治制度を変えよう(改革・革新)派=左翼
 これまでの政治制度でいいんじゃね(保守)派=右翼
となります。

 

んじゃ、なんで今の日本で、社会・共産主義の連中をサヨクと呼ぶのか?

 

そもそも資本主義・社会主義共産主義って何?とゆーのもボンヤリしてるんですが、
ざっくり言って、
 資本主義=会社は民営、私有財産OK(少しは制限アリ)
 社会主義=会社は公営、私有財産OK(多少制限アリ)
 共産主義=会社は公営、私有財産は原則ナシ

という感じでしょうか。

 

(あれ?民主主義ってどこかに入らないの?というご質問が俺の脳内から寄せられましたが、説明がややこしくなるので省きます)

 

今の日本は資本主義です。なので、企業=会社は株を買うことで個人でも所有できますし、家やクルマを個人で持てますし貯金もできます(私有財産OK)。少し制限がある、というのは、多少の税金はとられるからです。

 

資本主義なんだから税金無しにしろや!というのは極論です。
いくら資本主義でも道路なんかは公共でつくりますし、公務員ゼロというのはむずかしいからです。実際に税金がない国があるらしいですが、それはよほど貿易で儲かっていて国民が少ないという特殊事情があります。

(まあ、共産主義になれば税金そのものがなくなってしまうと言えるかもしれませんが、ややこしいので掘り下げません。)

 

んで、会社を公営(国営)企業にしちゃおうぜ、というのは基本的には社会主義です。

むかし、電話の会社NTTは電電公社という国営企業でしたし、電車の会社JRは国鉄という国営企業でした。
なので、一昔前の日本は社会主義だった、といってもいいかもしれません。

 

いわゆる発展途上国は、社会的に重要な会社を民営企業にしてしまうと、すべて海外の企業になってしまって自国の経済が発展しません。なので、いわゆるインフラ企業…製鉄とか交通・電気・水道・ガス電話云々を担う企業は、まずは国営で、というパターンが多く見られます。

今の日本でも上下水道は(ごく少数を除いて)国営ですし。

 

資本主義と社会主義の境目はボンヤリしてます。個々人の見方によって資本主義なのか社会主義なのかわかれるというのはよくあります。

 

ともかく、今の日本の企業は原則民営なので資本主義です。これを社会主義、やがては共産主義へと変えようとするのは改革派なので、左側、サヨク側ということになります。

 

まあ、今の左翼運動はさすがに民営を公営企業へ変えよう!とは言ってはないですが、資本主義の代表である企業のトップ=経営者とは反対の立場の運動をします。雇用者の賃金を上げろとか、社員を失業させるな、とか。

 

そもそもサヨクは社会(共産)主義をなぜ目指すのか?といえば、失業者がいない社会(=究極には全員公務員!)のためですし、私有財産に制限を加える、というのは企業や個人から税金を多めにとって福祉の充実(=医療・教育・年金なんかを皆が平等に受けられる!)を実現しようとするためです。

 

なので、医療・教育とか福祉が充実してる方が資本主義よりも社会(共産)主義だ、という見方もあります。

 

たとえば日本には国民健康保険がありますが、アメリカは基本的にありません。これは、資本主義である以上は健康保険も民営企業にまかせるべきで、公営(国営)にすると社会主義共産主義につながる!という議論がマジであるからです。

 

ところで、共産主義私有財産が駄目、というのは強烈にやばいニオイがします。

 

自分が使っている家も車も服も食べ物も酒もタバコも、自分のもの(所有物)ではない、ということです。
んじゃ、どーするの?とえいば、必要な分だけ(国とかから)分け与えてくれるからOK、という考え方です。

 

え~!?そんなの超不便じゃね?と思うのは今の日本だと当たり前ですが、まあ、物資が不足してるよーな超貧乏なところで暮らしていかなきゃならないと想像してみてください。ある日、いきなりG監督がアフリカのマリ共和国の片田舎で暮らしていかなきゃならないとき、酒もたばこも売ってないとしたら?そんな時、共産党員から職場を紹介してくれて、月に一度でも配給があった方がいいですよね。…って、マリ共和国すいません。俺はマリ共和国行ったことないですけど。

 

ともかく、基本的には資本主義より社会・共産主義がいい!というのが左翼(社会・共産主義者=左翼)とゆーことになります。

 

あと、これは余談になるかもしれませんが、今が社会主義の国だと左右の意味が逆になります。
つまり、左翼=改革=資本主義、右翼=保守=社会主義ということです。
例でいえば、中国で文化大革命ってどう思います?とマイクを向けられて「いや~むかしの文化大革命時代は良かったのに、今の拝金主義はなんだ!まるで資本主義じゃないか!」などとコメントすれば、その人は保守=右翼になるワケですね。

 

…ヤヤコシイですか?まあ、右翼左翼にキッチリ分けることはできません。どこまで行ってもグレーです。
人によってはあいつは左翼だ、右翼だと評価が全く分かれることなど、しょっちゅうです。


次の話は、その共産主義の生みの親、マルクス爆誕する話を書こうかと思ってます。

監視資本主義

映画「サーホー」、10分程で見るのをやめる。うーん…これを見続けるのはキツイ…。

saaho.jp

「バーフ・バリ」前編・後編とも、あまりに面白過ぎたんで、ちょっと期待しすぎたな…。


映画『バーフバリ 伝説誕生』予告編

 

…それはそれとして、俺はスマホを持ってない。

理由は3つ。

 

ひとつは、単に本体料金と基本料金ともにガラケーより高いから。安くなれば乗り換えるかもしれない。そもそも、スマホのアプリの必要性をそれほど感じていないのでガラケーで十分。

 

ひとつは、モバイルとしての物理的機能性。ガラケーの方が携帯性・耐久性・バッテリーが長持ちする。ポケットに入れるならガラケーの方が小さいし、落としても画面が割れることはほとんどないし、そもそも画面が小さいのでバッテリーの消費が少ない。

 

最後の理由は、自分の行動履歴が他人に丸見えというのはなんか気持ち悪いから。


ネットで何かのサイトにアクセスした場合、そのスマホの緯度経度、電話番号などがサーバー側にわかる。
これはどーいうことか、といえば…例えばグーグルなりフェイスブックなりツイッターなりを一日何度も見たとする。このとき、グーグルなりフェイスブックなりツイッター側は、スマホ所有者の名前と住所はわからないが、そのスマホがいつどこでどのぐらい使用されたかは把握できる。つまり、朝晩同じ場所ならば、所有者の家が特定できるし、平日のオフィス街でランチを検索したなら、所有者の職場の特定も容易だろう。

 

そーいう話の、実際のグーグルやフェイスブックの開発者のインタビューで構成されたドキュメンタリーが興味深い。
■監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影

www.netflix.com

フェイスブック等のSNSで、イイネ!を20回程度押したなら、ここらへんですでにフェイスブック側がユーザーの好みを分析し終わっているという。友人関係、恋愛感情、食い物の好み、政治的思考云々、どの場所のどの時間でどの画面を何ミリ秒見たのか見なかったのか、どのリンクをたどったのか、すべて分析する。


その分析は別に個人を特定するわけじゃなく、AI含めたアルゴリズム(プログラム)が自動的に分析し、好みを割り出す。

目的は、個々人の好みをスポンサー側へ無意識的に誘導させるためだ。

個々人が見ている画面はすべて異なるが、ユーザー全員を無意識的にある方向へと導いていくのである。

 

え?自分はそんなことないって?…なら逆に聞くが、なぜ無料で使えるグーグルやフェイスブックが今やトヨタを凌ぐ大企業となり、一体何で儲けているのかを考えてみて欲しい。

 

上記のドキュメンタリーでも語られるが、グーグルで検索した結果は場所によって異なる。"地球温暖化"の検索結果など、どの場所で検索しようが関係なさそうなのに、場所によって結果が異なると紹介されている。

 

わかりやすい例とすれば、今日の昼飯何にしよ~かな~とグーグルで検索したとする。その時、そのスマホの緯度と経度の場所によって表示されるレストランは異なるし、さらに所有者の好みに応じた結果が表示される。

仮にスマホ所有者は過去のGPS分析から週に1度ぐらいの頻度でラーメン屋めぐりをしており、ここ一週間以上ラーメン屋に立ち寄ってないことがわかる。そして、これまで行ったことがないラーメン屋が近くに1件あるので、そのラーメン屋を検索上位に出してみる、という感じである。

 

しかも、この話がどこまでホントなのか、もっとエグいのか、意図的なものなのかユーザー側には全くわからないというのがミソでもある。その検索結果に妥当性があるか、ホントに人気順なのかは決して語られないし、語る必要もない。要するにグーグルは再度グーグルを使わせるために検索結果を表示しているだけの話である。

 

フェイスブックの場合(このドキュメンタリーでは説明が顕著だが)フェイスブックでフレンド登録している、あるいはフレンドのフレンド同士が物理的に近寄った場合、フェイスブック側から無意識的に近くのユーザーを意識させ、画面から目を離せなくさせる。

 

まあ、こーいうのはガラケーでも同じだが、俺はガラケーでブラウザを起動したことがないので、俺の携帯電話データは、キャリア会社の位置情報分析に使われる程度だろうとは思う。会話を録音して分析するほどの能力は今のところ無いとおもうんだけど…。まあ、携帯持つ以上はこの程度の覚悟は仕方ない。

 

グーグルでもツイッターでも何でも、巨大営利企業のサービスがなぜ無料なのか?
このドキュメンタリーのコメントが意味深い。
「無料ということは、ユーザー自体が商品として売られているということ」

 

もはやネットで検索できない店や商品・サービスは存在しないのと同義語になりつつある。
もうすぐグーグル眼鏡が登場するらしいが、その眼鏡をかけて街を歩けば、グーグルにとってカネなる道や店だけが表示されるおっそろしいメガネになるだろうと思うと、なかなかディストピアっぽくて面白い。
ちなみにフェイスブックの仮想通貨リブラが出たら、買うつもりだけどさ…。