個人的な体験からいえば、携帯電話とネットが普及し始めたのは90年代頃です。
当時、携帯電話を個人で持ってる奴は金持ちだけでした。ネットを使うのも一部のマニアだったし、それも電話料金がアホほどかかるので皆、夜の23時から朝まで電話料金が一定になるサービス(テレホーダイ)を使ってました。
ネットが登場するまで、コンピューターというのは基本的に1台で使うモノでした。複数台を連結させて使うほどの、すげえコンピュータ・システムであっても、制御する側は1台、他はすべて制御される側にキッチリと別れてました。
図にすれば、三角形の頂点に制御するコンピュータが1台あって、他のコンピュータは下部組織になる。いわゆるピラミッド型というわけです。
一方、インターネットはピラミッド型とは異なります。
そもそもインターネットとは軍用に開発された仕組みです。ピラミッド型の場合、もしも敵が頂点のコンピュータを破壊すれば、同時に連結されたコンピュータがすべて使えなくなります。ある程度の攻撃をうけても情報伝達ができるような仕組みとして開発されたのがインターネットです。
なので、インターネットは頂点・中心を持ちません。一か所が壊されても、他の拠点どうしで連絡できる、という仕組みなのです。
以下は拾ってきた図ですけど、左側がピラミッド型、右がネットワーク型ですね。
インターネットが流行り始めるのは90年代ぐらいだと思うんですけど、当時、そんなに社会的インパクトはなかったと思います。
それは、ずっと以前の固定電話の普及率と同じ理由です。
なぜなら、自分一人だと何も使えないが使う人が増えるほど加速度的に便利になる、という特性を持つからです。
徐々にネットが普及するにつれ、あれ?これ、もしかして凄い使えるんじゃね?という人が加速度的に増えていき、さらに社会学的にもネットってなんか新しいんじゃね?と考える風潮がでてきました。
前のブログでいうシステムとは"要素の集合"ということで、ピラミッド型もネットワーク型もシステムってことでいんじゃね?システム論として考えるのもOKじゃね?という感じです。
ところで、社会学には組織論という分野があります。
組織、つまり人間がたくさん集まって仕事するにはどーしたらいいか?という分野を研究する学問だと思ってください。
そこで、これまでの人間の組織図ってピラミッド型じゃね?というわかりやすい話があります。
普通の会社とか役所とかは、ひとりか少人数の偉い人がいて、その下に中間管理職がいて、その下にさらに多くの下っ端がいて…という図です。
この組織体系は、目的と行動が決まっている場合には有効です。
例えば軍隊です。
組織に属する全ての個人に役割が決まっていて、誰の指示でどう動けばよいかはあらかじめ決められてる場合、円滑に機能します。
一方、何をしていいのかボンヤリしてる場合はうまく機能しません。
例えば、新製品とか新しいアイデアを考え出す、という場合です。
このとき、組織の上下関係を無くしてネットワーク型にした方がいいんじゃね?というのが80年代後半たりから提唱されたネットワーク型組織です。
この本、専門的な本ともいえますが、素人でも読めます。読めますが、正直、中身はモヤ~っとしててまとめるのは難しいでしょう。ネットワーク型組織ってイイことあるよ!みたいな本だと思ってください。
今、探しても本棚に見つからなくてですね…確かこの本、前のブログにある動的平衡あるいは負のエントロピーっぽい話のあたりで、イギリスのバンドSoft Machineのアルバムthirdの冒頭の曲faceliftが、無秩序から秩序が生まれてくるような曲だよね!みたいなことをかなり唐突に書いてあったハズです。
Soft Machine好きな俺にはたまりませんねぇ。。
この曲、冒頭5分ぐらいは単にノイズみたいな音が出てるだけなんで、まあ、好きな人だけ聞くと良いと思います。
soft machineはともかく、ネットワーク型組織云々の話をしてるのは日本ぐらいなんじゃないか?という気もします。
よく日本的経営の特徴として終身雇用制が言われます。
昨今ではそうでもないですが、それでもアメリカほど頻繁に転職する人はほとんどいません。その原因は人事評価制度が~新卒制度が~という話もありますが、最も大きな原因は、法律で社員をクビにできないからです。
ハッキリ言って、無能な社員はドロボーか何かして警察沙汰にでもならない限り、会社側からクビにすることは法律上難しいため、仕事を取り上げて職能給を減らして最低基本給だけにして、自発的に退職してもらうぐらいしか法的には手段がありません。
俺の正直な印象からして、転職できるほど有能な人間はほんの一握りです。むしろ多くの社員はクビにできないという日本の法律に守られている側です。
日本はよく生産性が低い、と言われます。言い換えれば、その分だけ無能社員たちに人件費を支払っているといえます。生産性が低い=悪、というのは株主の立場であって無能社員の立場ではありません。
つまり、無能社員がクビにならずに給料をもらっているからです。それが社会悪なのか、あるいはセーフティ・ネットと言えるのかは見方の違いともいえます。
この話の根本原因として、実は住宅ローンがあるんじゃないかと俺は思ってるんですが、まあ横道にそれちゃうので今度にします。
んじゃ、仕事ができる人は損してるんじゃね?というのはその通りです。
景気が良くて全体的に年収が右肩上がりの場合はそれほど問題にならなかったでしょうが、バブル崩壊から年収が右肩下がりになってしまった現在、なんで俺が稼いできたカネをみんなの給料に分散しちゃうの?という反動がでてくるのはわかります。
ただ、仕事ができない人が大半なので、正論であっても多勢に無勢といったところでしょうか。
まあ、それはともかく、多くの社員を抱えたまま、売り上げが下がってきた…なんかこれまでだとヤバイ気がする…でも、みんなで何をしたらわからん…みたいな状況になれば、ピラミッド型組織よりもネットワーク型組織の方がいいんじゃね?という胡散臭い話が語られるようになりました。
なんで胡散臭いのか?といえば、ネットワーク型組織が良いという証拠なんて何もない、というのがひとつ。
そして、新しいアイデアって何?というのを科学的に定義できない、ということがあります。
とはいえ、ネットワーク型組織のメリットは、あるといえばあります。
みんなで話し合いをすると不平不満が出にくい、ということです。
こんな実験があります…と紹介しようとして詳細を忘れました。。
(こーいう話は詳細こそが肝心なんですけどねぇ…)
何人だったか…確か5人ぐらいでカードの裏に書かれた図形の種類を全て当てるゲームです。
カードの種類は計7種類として、5人にはそれぞれ以下の感じで5枚のカードが配られるとします。
具体的にはこんな感じで、カードを配るとします。
Aさん ▽,△,▲,▼,〇
Bさん △,▲,▼,〇,□
Cさん ▲,▼,〇,□,△
Dさん ▼,〇,□,△,▲
Eさん 〇,□,△,▲,◎
カードを他人にみせてはいけません。
なので、各人はそれぞれ何のカードを持ってるのかはわかりません。
このとき、テストの条件を2つ設定します。
条件1:
全員、仕切り版のある長椅子に座ってると思ってください。
で、Aさんだけが他のメンバーと話ができます。
なので、全ての人はAさんだけにしか話すことができず、他の人の話し声も全くことができません。
条件2:
全員、順番に円卓に座ってると思ってください。
両隣の人とは会話できますが、それ以外の人とはまったく連絡できないとします。
つまり、
Aさんは、BさんとEさんと話すことができますが、他の人とは話ができません。
Bさんは、AさんとCさんに話すことができますが、他の人とは話ができません。
Cさんは…以下、同じです。
もちろん、条件1がピラミッド型組織で、条件2がネットワーク型組織を模しています。
さて、どういう結果が出たかと申しますと、
条件1:ピラミッド型組織の方が回答が早い。ただし各メンバーは不満が残りやすい。
条件2:ネットワーク型組織の方が回答が遅い。ただし各メンバーからは不満が出にくい。
なんかわかる気もします。
これをどう解釈するかは人によって違うとは思いますが、
仕事が早い方を良しとするか
メンバーの不満が無い方を良しとするか
どちらをとるかで組織形態を変えるといいですよ、という話で解釈するのが一般的でしょう。
しかし、目的が決まってない組織ってなんかあるんですかね?
何か仕事をやるために組織化されたのであれば、目的は決まってます。
その仕事が無くなれば組織を解散させるべきです。
それが、会社なんかになると、仕事がなくても組織だけがズルズル残ってしまう、という現状が問題じゃない?それってピラミッド型とかネットワーク型とか関係なくない?というのが俺の正直な感想です。