見栄っ張り

10年以上の付き合いになるが、仕事の関係で年に一度会うおばさん、というか、おばあさんがいる。

 

もともと貧困とまではいかないが平均以下の家に住み、古い軽自動車に乗っていた。やがて昭和の匂いのする文化住宅に引っ越しした。

 

引っ越しした当初、こんな家で恥ずかしい、みたいなことを言ってきたのだが、そういう人はごまんといる。

「いやぁ~この周囲はそんな家ばっかじゃないですかぁ~」

と俺は適当に誤魔化して答えた。

実際、ほぼ交流の無い俺にとってはどーでもいい話だった。

 

そして、数年たって、今度は古い軽自動車だとカッコ悪いという。
なので、もっと新しい軽自動車…それも中古だが…に乗り換えたいという。

 

俺は、ああ、そうですかと答えるだけだったのだが、妙に考えさせられる。
俺のように彼女にとって無関係な人から見れば、そんなどうでもいい見栄っ張りは滑稽にしか思えない。

 

しかし、俺もそんな欲求があるのは間違いない。
裕福層から見れば、俺のカッコつけなど滑稽に違いない。
ただし、その滑稽な様子を俺本人は頭で理解したところで感情で理解できないんだろうなと思うのだ。