映画プリキュアオールスターズF

「映画プリキュアオールスターズF」劇場で見る。


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中年…いや、初老のオッサンがターゲットの映画ではないことはわかっている。
わかっているだけに、90分の上映中、20分ぐらいは寝てたと思う。

 

プリキュア映画といえばミラクルライト(劇場で配布されるペンライト)。普段の映画館では御法度といえる照明を、上映中の合図でつけまくるべし!という謎のルールがある。

今回もミラクルライトが配布されたが、上映前の注意動画で、スマホとか発光させるな!というのも矛盾ありまくりである。

なにしろ子供相手なだけに、上映開始直後からあちこちの座席が光るのもプリキュア映画ならでは。

 

まあ中身の議論は幼年連中に任せるとして、制作者側の意図を考えざるを得ない、

・綿々と続くプリキュアの映画は毎年そこそこ売れる。

・だからこそ奇抜な話は不要。予定調和で良い。

・メイン客層は小学生以下だが、保護者も否が応でも見に来る。
・小学生以下が理解でき、かつ上映時間は90分以内
・およそ3世代前のプリキュアメンバーはある程度活躍させる必要がある。
・そのため、登場人物が最低20人位はいる。
・オールスター版になると、何十人ものプリキュアがセリフ込みで動く必要がある。
プリキュア同士で喧嘩してはいけない。
(仮に喧嘩しても10秒後ぐらいに仲直りする必要がある)
・子供が見たいのは、プリキュアが悪をフルボッコで倒すシーン。
・暴力的だなどと保護者からのクレームは無論避けるべし。

・ミラクルライトを点灯する場面…つまりプリキュアの大ピンチをつくらなければならない。

 

さて、この制約で物語をどうする?

 

これには答えがある。
現役プリキュアだけでは歯が立たない強い敵が出てきたので、歴代プリキュア全員でタコ殴りにする
このパターン以外の回答は非常にむつかしい。

 

今回の映画も、ドチャクソ強い敵が出てくる。
確か宇宙人設定だったと思うんだが、自分と同じぐらい強いプリキュアに興味が出てきたので、はじめはプリキュアの真似をしてたが、やがて全プリキュアを倒して最強の座を手に入れる、という物語。

 

やはり問題なのは、悪の表現である。
一般人やプリキュアを殺傷することは許されない。
殴る蹴るの肉弾戦なのだが、鼻血含めて流血表現ができない。

 

そこで今回、悪としては地球環境をモデル化し、そのモデル化した地球環境を過去と現在の時間軸含めてバラバラにしてしまう…のだが、俺も書いてて、これで合ってるのかよくわからない。妙に概念化してしまった"悪"なのである。
子供に「この悪い奴は何がしたかったの?」と聞くと、やっぱりよくわかってなかった。

 

悪をどうするか問題は、勧善懲悪もので最も重要といっていい。
昨今のポリティカル云々含めて、表現自体がかなりの制限を食らう。
さらに、政治・文化的背景は子供はわからないし、子供が不安になるようなほど悪い奴も描けない。

 

実写版の宇宙戦艦ヤマト、2010年の「SPACE BATTLESHIP ヤマト」では、悪役が"悪い思念体"という、もはや概念自体が敵というあまりにもボンヤリした話になってしまったのと同様、今回のプリキュアも敵自体は存在するが、悪行が抽象的という訳がわからない内容であった。

 

歴代プリキュア映画で俺が良かったと思えるのは
2015年の「映画 プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪」


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悪役がそもそも間抜け設定であるというのもあるが、そもそもダンス大会に参加するという物語で、歴代プリキュア含めて全員で歌と踊りがそれなりの必要性で登場するのは感心した。

 

ところで、今回の映画のタイトルにアルファベットのFとあるが、最後までFの意味は明示されない。
まあフレンドのFあたり、ひねってもフラタニティのFぐらいかと思ってたら、カミさんが
「Fっていうからフリーザが出てくるかと期待してた」