東京ヒゴロ

某Hの課題本、松本大洋「東京ヒゴロ」読む。

何気なく1巻手に取ったら3巻の最後まで一気読みしてしまった。
もうね、マンガ読みにはたまらん漫画でしたよ。

 

主人公が漫画と決別しようと整理してたとき、床に漫画本をブチまけるんだけど、その漫画本にアッと声が出る。
大友克洋「ショートピース」、諸星大二郎「僕とフリオと校庭で」、手塚治虫ブラックジャック」…
昭和からの漫画世代にはシビれる。

そんなディープな漫画好き主人公が、自分好みの漫画雑誌を創刊する、という漫画。

スゴイね、松本大洋。。
1巻の最後の話、ある女性漫画家がスーパーのレジ打ちの仕事と同時並行で血沸き肉躍る漫画を描くというものだが、そもそもがオフビートで語られる本作で、血沸き肉躍る漫画が同時に進行する手法…これはモンタージュ技法っていうのか?登場人物がスーパーのレジ打ちをし、クソにもならない噂話をスーパー仲間と会話しつつも、こんなにもドラマチックな漫画を描いているんだよ…って文字で描くとなんかパッとしないが、この漫画表現に震える。

 

 

炎の転校生」なんかで知られる漫画家、島本和彦は自身がモデルとしか思えないマンガ「燃えろペン」「吼えろペン」にて、ついに自分が編集長になって漫画雑誌を創刊する話がある。
その漫画雑誌のコンセプトをどうするか?という会議で、主人公は
「漫画エリートのための漫画!」と叫ぶのだが、
まさしくこの漫画が漫画エリートのための漫画といえよう。


なお、島本和彦の話では依頼した原稿がほぼ全員間に合わず、「一番信頼できない漫画家を信頼せねばならない!」と叫び狂い、
漫画家をボコボコに殴った後に「俺が(全連載作品をトレスして)全部描く!」という狂気を描く漫画であった。

 

しかし、本作「東京ヒゴロ」を読んだ漫画好きは皆、COMIC CUEコミック・キュー)を思い浮かべたはずだ。
当時から原稿を落とすことで有名だった漫画家、江口寿史が編集長となって、激シブの作家陣を引っ提げた漫画雑誌だった。
まさしく本作の主人公であり、まさしく漫画エリートための漫画雑誌だった。結局は廃刊?休刊?したけど。
今、amazonで調べたら、COMIC CUEはとんでもない価格になってるなぁ。。